「強制連行」案内板の要求を不許可 高島炭坑 長崎市「客観的事実を」
世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の一つ、高島炭坑(長崎市高島町)近くの供養塔に、韓国人大学生らが「強制連行」の言葉を盛り込んだ案内板の設置を市に求めていた問題で、市側が許可しないと回答したことが22日、分かった。
この問題は10月下旬、漢陽大学(ソウル)の学生を名乗る人物らから、メールや電話で、供養塔周辺に案内板を設置したいと要請があった。案内板の文案として「強制連行された韓国人の魂が眠っている場所だ」などとしていた。
だが、供養塔にまつられた炭鉱労働者に朝鮮半島出身者が含まれるかは不明だ。長崎市の島民への聞き取りなどの調査でも、供養塔に半島出身者の遺骨が納められているとは確認できなかった。
また、供養塔にあった遺骨は昭和63年、近くにある金松寺に預けられた。
長崎市は「供養塔の遺骨は金松寺納骨堂に移転の上、慰霊碑が高嶋神社横に建立されている」とする説明板を、供養塔周辺の3カ所に設置した。その上で、韓国側の要求を退けた。
同市の山口太理財部長は「韓国側の意見や感情はいろいろあろうが、供養塔を訪れる人には客観的な事実を伝えなければならない」と説明した。
高島炭坑が世界遺産に登録されて以降、強制連行された半島出身者の慰霊目的で、多くの韓国人が供養塔に訪れるようになった。聯合ニュース(電子板)など韓国側の報道によれば、9月に韓国放送局文化放送(MBC)が「高島の供養塔は、半島出身者の遺骨埋葬地の目印として建てられた」などとバラエティー番組で放映した。