韓国の憲法裁判所は23日、植民地時代の強制動員被害者の遺族が「対日請求権を制限した請求権協定第2条第1項は違憲」と訴え出ていた憲法訴願事件を「違憲審判の対象ではない」と却下した。
却下決定とは、憲法訴願自体が憲法裁の判断の対象ではないとみなし、本案審理をせずに下す決定のこと。請求権協定が強制動員被害者個人の請求権を制限しているかどうかについて、憲法裁は判断しないというわけだ。
原告の父親は、1942年10月に軍属として強制動員されたが、きちんと賃金を受け取ることができなかった。2008年11月、太平洋戦争戦後国外強制動員犠牲者支援委員会から、父親の死亡当時の未収金5828円について、1円あたり2000ウォン(現在のレートで約206円)と換算し計1165万6000ウォン(約120万2000円)の支給決定を受けた。原告は09年、「両締約国(韓日)は、両締約国およびその国民(中略)の間の請求権に関する問題が、(中略)完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」と定めた1965年の請求権協定第2条第1項は憲法に背いているとして憲法訴願を行った。
憲法裁は、請求権協定が本事件に適用される法律の条項だとはみなし難く、「裁判の前提」が存在しないと判断した。また憲法裁は、太平洋戦争戦後強制動員犠牲者支援法第5条第1項について「合憲」と決定した。