今年は2月に忍び込んだガザでねこちゃんなどを描き、つい先日、フランスのカレーの「ジャングル」難民キャンプの高架下の壁にスティーヴ・ジョブズを描いたバンクシーは、10年前(もう10年前!)の2005年、西岸地区の分離壁に「芸術テロ」をぶちかまし、2007年にはベツレヘムで「サンタのゲットー」というイベントを行なった。
そんなベツレヘムについて説明が必要だという人はさほどいないかもしれないが、「それって食えるのおいしいの」と思った人はウィキペディアの概要部分の第二段落の最初の文の後半の25字分くらいを読んでほしい。(リンクをクリックして、そのくらい、探して読めるでしょ?)
ベツレヘムはパレスチナ(ヨルダン川西岸地区)にある。そして、ヨルダン川西岸地区は、イスラエルによる不法(国際法の無視)にさらされ、壁とか作られて分断されまくっていて、そして「警察力」的なもの(そういう名目の何か)を行使するのもイスラエルである、という不条理の中にある。それでいてイスラエルは「我が国は宗教に寛容、ユダヤ教以外も厚遇」ということを言いたいので、ベツレヘムに関しては「観光振興」とかいろいろある。しかし現実には……である。
そして外部では、こういう「報道」がなされる。
"Very quiet " Christmas in Bethlehem reported by Japan's national broadcaster, NHK.
聖地ベツレヘム 閑散としたクリスマスに NHKニュース https://t.co/LkIDUquI3s
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) December 22, 2015
然るに、私の見ている範囲には「閑散としたクリスマス」とはちょっと違う光景の写真も流れてくる。こういうギャップも、毎年恒例だ。
Lovely #Xmas in #Bethlehem! Santa Claus protest Photo story https://t.co/JVa30uYqn6 pic.twitter.com/YGAFcpINqD
— anne paq (@annepaq) December 20, 2015
Re https://t.co/LkIDUquI3s NHK's narrative is a bit sad bc I'm seeing something very resiliently festive. #bethlehem https://t.co/35scuVPX5O
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) December 22, 2015
PHOTOS: Palestinian Santa Clauses clash with Border Police in Bethlehem https://t.co/LSca3Sp4wR by @annepaq pic.twitter.com/wE1e9PHVKn
— +972 Magazine (@972mag) December 20, 2015
T'is the season, #ChristmasWeek in #Bethlehem. pic.twitter.com/90IeijRnll
— Rania Zabaneh (@RZabaneh) December 21, 2015
そして2015年のベツレヘムでは、こういう「再生アート」がある。
Bethlehem’s resistance branches out this Christmas https://t.co/6jrFyLUTkH pic.twitter.com/IV4MjO3KJS
— Ben White (@benabyad) December 22, 2015
ベン・ホワイトさんのツイートに出ている写真は、記事ページのキャプションによると、"Tree of Resistance in the courtyard of the Nativity Church Bethlehem, West Bank."
つまり、ベツレヘムの聖誕教会(降誕教会)の庭にある『抵抗の木』。
The tree is an olive tree that is nearly 2,000 years old which was recently uprooted by Israeli bulldozers in Bir Ouna, near Bethlehem, in order to build part of the wall, according to the event organiser, Mazen Al-Izza.
『抵抗の木』の木は、樹齢2000年近くにもなるオリーヴの木だ。ベツレヘム近くのビール・オウナという場所に立っていたが、最近、イスラエルのブルドーザーによって引き抜かれた。建設予定のショッピング・モールの敷地内になるからだという。
イスラエルというのは、こういうことをやっている。それでいて自分たちのその地での存在を正当化するための理由を探すために、地面を掘り返している(それを「考古学」と呼んでいる)。
On the sidelines of the tree lighting ceremony, Al-Izza said: “Today we place the tree of life here, in the Nativity Church courtyard, as a form of resistance, decorated with the remnants of the occupation’s weapons used to oppress the Palestinian resistance in order for the world to see.”
“This tree was planted in Palestine during the time of Christ and it is proof of the sanctity of Palestine. The occupation uprooted the tree of peace from the land of peace,” he added.
“This tree will remain in the Nativity Church courtyard until the end of the Christmas celebrations,” adding, “we are here to highlight the violations and injustice the Palestinians are subject to.”
『抵抗の木』の点灯式典では、「今日ここ、降誕教会の中庭に、抵抗のひとつの形として、生命の木を設置します。木に飾り付けられているのは、パレスチナの抵抗を押さえつけるために使われた占領の武器の一部だったものです。全世界にこれを見ていただきましょう」という挨拶があった。
「この木は、イエス・キリストの時代にパレスチナに植えられたものです。パレスチナの神聖さの証拠です。占領(者)は、平和の地から、平和の木を根こそぎ引き抜いたのです」
「この木は、クリスマスの祝賀が終わるまで、降誕教会の中庭に設置されます。パレスチナ人がさらされている権利侵害と不正義に光を当てましょう」
「再生」のアートはこのほかにもある。
With a little ribbon and a lot of love, tear gas canisters are transformed into Christmas ornaments in Bethlehem:
https://t.co/qJzfvfJEuP
— AJ+ (@ajplus) December 22, 2015
パレスチナ(ヨルダン川西岸地区)にあるベツレヘムでは、催涙ガスのキャニスターがクリスマスのオーナメントとして再生されている。 https://t.co/3jnyRoFr7N
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) December 22, 2015
1分程度の短い映像だ。冒頭、ベツレヘムの大通りを、催涙弾をバンバンバンバンと発射しながら軍用車両が進んでいく。一帯に白い煙が立ち込める。「毎日イスラエル軍によって発射される催涙ガスのキャニスターが、西岸地区の町を散らかします」というようなキャプションが出る。
映像は、そのキャニスターを拾って「クリスマス・ツリーに飾るオーナメント」として再生しているカナダ人の学生を紹介している。「勉強中でもおかまいなしに催涙ガスが窓から入ってくるんですが、このキャニスターを使って何かできるんではと思ったんです」。
そう語るウォルター・ブリンソルフソンさんは、街路で拾い集めた催涙ガスのキャニスターをきれいに磨いて、カラースプレーで塗装し、きれいなリボンをかけてクリスマス・ツリーにひっかけられるようにしている。彼はこれを「ピース・パーセル(平和の包み)」と呼び、個人が手作りアイテムを販売できるサイトでネット通販している。これを通じて関心を高めてほしいというのが彼の考えだ。パレスチナの土地と人々に加えられる抑圧という問題を解決するには、「国際的なプレッシャーが一番効果的」という。
Twitterのアカウントがある。
https://twitter.com/peaceparcels
Massive protest in #Aida camp, #Bethlehem at the death of young boy Shot by IDF. pic.twitter.com/tR0A6WFFja
— Peace Parcels (@PeaceParcels) October 5, 2015
Some say this may be the start of the #3rdintifada . pic.twitter.com/bJdWezTYlX
— Peace Parcels (@PeaceParcels) October 5, 2015
Smry since 2:00. IDF shoots young kid, #Palestinians gather & throw rocks, IDF shoots them, #RedCross cleans up. pic.twitter.com/cZjv6RgDqB
— Peace Parcels (@PeaceParcels) October 5, 2015
First product launch! Add some festive Apartheid cheer to your Christmas tree. https://t.co/ueeXJm6CzI pic.twitter.com/64v7XjIC3E
— Peace Parcels (@PeaceParcels) December 15, 2015
Using Entrepreneurship to share stories and develop empathy. https://t.co/N7fnaM5miS
— Peace Parcels (@PeaceParcels) December 17, 2015
11 online orders and 45 local sales (to Israelis and Palestinians). Not bad for the first product launch. pic.twitter.com/3okaFDYSkN
— Peace Parcels (@PeaceParcels) December 22, 2015
そしてアルジャジーラに取り上げられ、著名人のツイートもあり、ちょっとすごいことになったらしい。
Our tear gas ornament product page seems to have been removed without warning. What's going on @etsy?
— Peace Parcels (@PeaceParcels) December 22, 2015
Ohhhhhh! Problem solved @Etsy. There were so many sales that the product was changed to "inactive "... :O
— Peace Parcels (@PeaceParcels) December 22, 2015
文字通りの「嬉しい悲鳴」ですね。:)
ベツレヘムのクリスマスについては、3年前、2012年に作成したページもご参照のほど。
Three years ago (2012): Christmas in #Bethlehem (pictures et al)
【現地写真】ベツレヘムのクリスマス・イヴ(2012年12月24日) - NAVER まとめ https://t.co/BeX8rNTEcD
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) December 22, 2015
※この記事は
2015年12月23日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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