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【北京春秋】留置場となったホテル

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【北京春秋】
留置場となったホテル

 中国東北部の地方都市に出張することになり、以前に利用したホテルを予約しようと電話をかけたら「今は営業していない。理由は言えない」と言われた。

 気になっていろいろと探ってみた。すると、ホテルは共産党の規律検査委員会に徴用されたことがわかった。名前を確認できなかったが、ある大物政治家とその関係者たちが拘束され、そこで取り調べを受けているらしい。

 中国では、汚職事件を摘発する主役は警察や検察ではなく、共産党の規律部門だ。犯罪の疑いがある幹部を党が拘束して取り調べることを「双規」という。党紀から由来する言葉で、規定の時間(決められた時間)と規定の場所(決められた場所)で調査を受けるという意味だ。本人による任意出頭の形をとっているが、実態は逮捕監禁で、拷問を受け自白を強要されるケースも少なくない。

 ここ数年、権力闘争に敗れて失脚した薄煕来、周永康、令計画といった元指導者たちの悪夢はみな「双規」から始まった。最近、習近平政権が主導する「反腐敗キャンペーン」がますます過熱し、拘束者が急増したため、党の関連施設が足りなくなったという。

 民間のホテルを借り切って留置場代わりに使うとは、今の中国社会のゆがみを象徴しているようだ。(矢板明夫)

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