篠塚健一
2015年12月23日22時45分
近代のしゃべくり漫才の祖である横山エンタツ・花菱(はなびし)アチャコの最初期の音源が現存していることがわかった。コンビを組んだ1930年に吹き込んだ国勢調査の啓発レコード。85年前のボケとツッコミのかけ合いに、今日のお笑いのルーツが宿る。
レコード文化史に詳しい京都市立芸術大の大西秀紀非常勤講師が両面約6分のSPレコードを所有している。レコードコレクターの友人から譲り受けた。
「君の名前は?」「はあ名前だっか、名前はコンドユウタロ」「いや今度言わんと、ちょっと今言ってごらん」「せやよって言うてまんがな、コンドユウタロでっしゃないか」「いやコンドユウタロではわからんやないか」「ああこれは悪かった。コンドウというのは名字で、ユウタロウというのが名前だんねん」――。
「君」「僕」とモダンな呼称を使い、国勢調査で申告する姓名、職業、出生地などをボケとツッコミで笑いにした。落語「代書」の趣向や、夢路いとし・喜味こいしの代表作「交通巡査」にある「名前は?」「イマユウゾ」「はよ言えや」などに先駆けるやりとりも盛り込まれていた。
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