2015年 オリコンシングル年間ランキングトップ100の結果速報です。
ランキングそのものの解説に移る前に、まず2015年のシングルランキングの概況と音楽ランキングを取り巻く状況の変化について軽く触れる。
説明不要の事項とも言えるが、今年のシングルランキングでも、昨年同様に特定のグループ・派閥・陣営が上位を占拠している。握手会などのイベントを多種多様に多数実施したアーティストの作品ほど上位に来る傾向は、年々強まっている。
このような状況から、今年は「2015年のヒット曲はシングルランキングに存在しない」という類の声が、昨年以上に多く飛んでしまっている。代わりに、握手会などのイベントや音楽以外の特典・グッズに左右されないiTunesのランキングを、音楽のヒットを探る指標として重視する傾向が強まった。音楽のヒットを探る指標として、シングルランキングの重要度が少しずつ下がってきていることは、残念ながら事実と言わざるを得ないだろう。
このように、2015年は個々人のランキングへの関心や捉え方も大きく変わっていった。2015年は前述の状況に加え、定額制音楽配信がスタートしたために音楽配信そのものへの関心が高まり、多くの人にヒットの見方に関する意識の変化をもたらしたようだ。時代の移り変わりの中で、音楽への接し方が変わり、シングルの購入目的も変わり、そしてヒットの見方も変わっていると言えるだろう。
ただ、前述のようにシングルの購入目的は変わっても、シングルが1枚売れた事実の積み重ねから、毎年、シングルの年間ランキングは決まる。シングルの年間ランキングから、イベント等の特典を通じて勢いを上げたアーティスト、これらの特典がなくても上位に来れるアーティスト、iTunesのランキングには存在しなかった作品・・・といったように、アーティストの勢いの大きさであったり、配信よりもシングル中心に売れた作品を知ることが可能である。また、ジャニーズの作品の売れ行きはiTunesのランキングでは分からない。シングルランキングでしか分からない事実もあり、見逃すことはできないだろう。
今年も、1年のオリコン集計期間(計53週分)を集計した、シングル年間ランキングの結果が発表された。年間1位は、果たしてどのアーティストのどの作品だったのだろうか。また、トップ100の顔ぶれは、どのようなものとなったのだろうか。多くの人にとって、シングルランキングの見方が昨年までと大きく変わっているかもしれないが、今年も1位~100位までを眺めながら、2015年のシングルランキングについて分析しているので、今年の総まとめとしてご覧頂ければ幸いである。
■ AKB48グループと乃木坂46、トップ10のうち9作を占めるが好調は乃木坂46だけ
今年のシングル年間1位を獲得したのは、AKB48の「僕たちは戦わない」であり、AKB48の作品が6年連続でシングル年間1位を獲得した。同一アーティストが6年連続で年間1位を獲得するのは、オリコン史上初のことである。今年は1位〜4位までをAKB48の作品が占める結果となったが、昨年同様に「恋するフォーチュンクッキー」のような幅広い層に知られる楽曲ではない。シングルでは握手会日数・部数の調整、イベントの種類の増加などを図り、売上枚数を維持しているが、最新作「唇にBe My Baby」ではついに初動ミリオンセラーの連続記録が途切れた。ちなみに、iTunesの配信では著しく成績が落ちている。状況は2014年に比べて悪くなっていると言わざるを得ないようだ。
後ろでは、SKE48の「コケティッシュ渋滞中」が70万枚を超える売上枚数を記録し、AKB48との差を縮めたように見えるが、こちらの売上枚数の上昇は、個別握手券付きの劇場盤にMUSIC CARDをセット販売し、1枚の握手券につき2枚を数えたためである。SKE48の他のシングルは40万枚台に落ちていることを考えると、SKE48にも若干パワーダウンの様子が見える。(ちなみに、AKB48のシングルでは姉妹グループのメンバーの握手会参加券も付属しているため、迫ることはあっても逆転は困難である。) NMB48とHKT48も、一部の作品で昨年以上の勢いを見せたものの、爪痕を残す飛躍とまでは至らなかったと言えるようだ。
確実に勢いを上げてきているのは、今年のシングル3作全てが60万枚を超え、昨年の全てのシングルの成績を上回る勢いを見せた、乃木坂46であろう。こちらはCD・配信の両方で快進撃を見せており、人気が拡大していることは間違いないと断言して良い。メンバー1人あたりの売上枚数も、乃木坂46の方が圧倒的に大きい。年末には初の「NHK紅白歌合戦」出場も決め、新グループの欅坂46も始動するなど、乃木坂46の回りには明るい話題が多く、来年はさらに売上枚数を伸ばしてAKB48に追いつき、追い抜くことがあるかもしれない。ちなみに、iTunesの動向などから、実人気では既に乃木坂46 > AKB48になったと言われており、あとはシングルの売上枚数で追い抜けるかがポイントとなっている。
■ ジャニーズは嵐が9年連続の年間トップ10入り 嵐の後ろにキスマイが躍進!
ジャニーズからは、こちらも毎年恒例の嵐が強力な強さを見せ「青空の下、キミのとなり」を9位に送り込んできた。嵐のシングル年間トップ10入りは、2007年から9年連続である。嵐は、今年60万枚を超える作品がなかったものの、ランクインした3作は全て50万枚台を記録し、昨年とほぼ同等の勢いを維持したと言えるだろう。
その嵐の真後ろに迫ってきたのが、13位に入ったKis-My-Ft2の「Thank youじゃん!」であり、12位の嵐「愛を叫べ」との差はおよそ4万枚という小差である。ここまでの小差になった理由は、Kis-My-Ft2側がハイタッチ会等のイベント参加権や映像といった特典の充実により爆発的に売上枚数を伸ばしたためであるが、特典頼みとは言え、嵐の一強状態に迫ってその牙城を崩そうかというところまで順位・売上枚数を伸ばしたところは、注目点と言えるだろう。嵐がイベントに頼らずに50〜60万枚の売上枚数を記録している点を考えると、実人気や勢いでは、嵐とKis-My-Ft2の間にまだまだ大差があると言わざるを得ないが、ランキングの上では下克上があり得ると感じさせた結果であろう。
先ほども書いたとおり、嵐は既に9年間ジャニーズのトップを走っており、ジャニーズ内では不動の絶対王者と言える存在である。そんな嵐の天下を脅かす新鋭の登場を期待する声も高まりつつある。来年も絶対王者の嵐に対して、他のグループが様々な手で逆転を狙う構図が見られそうだが、その中で下克上が起きるのか、嵐が全てを跳ね返すのか、要注目と言えるだろう。
■ EXILE TRIBEでは三代目 J Soul Brothersが今年も強かった
>iTunesのランキングを見ている人にとっては、三代目 J Soul Brothersの人気が本物であることは周知の通りである。ただし、シングルランキングではAKB48グループやジャニーズの方が強く、トップ10の座にたどり着くことは容易ではない。CD付きライブチケットの販売で枚数を積み上げた「starting over」では45万枚まで売上枚数を伸ばしたが、この作品が発売された後、オリコンがCD付きライブチケットの売上枚数を集計しない方針を発表したため、同じ手はもう使えない。そんな状況下で、来年さらに順位を上げることができれば、EXILE TRIBEの中でEXILEを超え、人気No.1の存在を確固たるものにできるだろう。
■ 27位まではAKB48系、ジャニーズ系、EXILE系のみ
最近のシングル年間ランキングで常態化しているのは、冒頭でも書いた通り、特定のグループ・派閥・陣営が上位を占拠する構造である。今年もその構造に変化はなく、1位〜27位はAKB48系、ジャニーズ系、EXILE系の3陣営だけで占められている。昨年は1位〜35位までがこの3陣営だけで占められていたため、あまり変わっていないとは言え、昨年よりは占拠の構造が緩まったとも言えるだろう。ただ、この3陣営による占拠を崩すような勢力は存在せず、この3陣営の勢いが落ちる気配もないため、おそらく来年も同じような構図が続きそうである。
■ 3陣営以外ではBUMP OF CHICKENがトップ
AKB48系、ジャニーズ系、EXILE系の3陣営以外では、 BUMP OF CHICKENの「Hello,world!/コロニー」が28位に入り、トップとなった。BUMP OF CHICKENの今作はiTunes等の配信でも売れ、三代目 J Soul Brothersの作品に続いて、世間に広く浸透した楽曲と言えるだろう。
3陣営以外では、 B’z、福山雅治、東方神起、JYJ、モーニング娘。’15といった面々がトップ50に入り、勢いを見せた。この中では、今年シングルを初めて世に送り出したJYJの勢いが見逃せない。シングル発売を熱望していたファンの多さから、強大な支持と人気の大きさは明らかであり、来年以降の動向にも要注目と言えるだろう。
また、50位以下になるが、アニメ「ラブライブ!」の関連作品が次々にランクインしたことも見逃せない。「ラブライブ!」人気は、iTunesのランキングでもこれらの作品が上位入りしたことから、明らかであろう。この「ラブライブ!」の成功を機に、今後はアニメや漫画の世界からもアイドルが続々と飛び出してきそうであり、来年以降のランキングの構造に変化をもたらす存在が登場するかもしれない。
最後に、上記の解説に登場しなかった作品も含め、今年のシングル年間トップ100を一気に振り返ってみよう。
※ランキングについて
・ 1桁までの正確な数字は載せておりません。順位が分かる範囲までの数字を最高で小数第1位(それ以下は四捨五入)としました。また手集計という性質上、オリコンで正式に発表される数字と若干の誤差が生じる場合があります。正確な数字はオリコンの公式サイトを参照するか、オリコン本誌・オリコン年鑑(2016年春発売予定)をご購入の上、ご確認をお願い致します。
・オリコン公式はこちら。2015年 年間音楽ランキングを発表! (From ORICON STYLE)
[集計期間:2014/12/22付 – 2015/12/21付]
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