笠原将生の話、読者諸賢もほぼ同意見のようだ。年寄りくさいが「今どきの選手は」と思ってしまう。

「野球賭博」は、プロ野球においては絶対的なタブーだ。

NPBも、MLBも、過去に「野球賭博」に関わる深刻な事件を起こしている。
MLBの「ブラックソックス・スキャンダル」は、選手が野球賭博に関与し、八百長も行っていた。球界を揺るがす大事件となり、検事のケネソー・マウンテン・ランディスが初代コミッショナーとなって事態を収拾した。
はるか後年、ピート・ローズも野球賭博に関与し、自らが監督を務めるチームの試合にも賭けていたことが発覚。ローズは永久追放となった。
NPBで起こった「黒い霧事件」は、西鉄ライオンズの選手などが、裏組織と組んで八百長を仕組んでいたことが発覚した事件だ。結局、西鉄ライオンズはこの事件を契機に球団売却に追い込まれた。

暴力事件や女性スキャンダルなどとは性格が違うのだ。その手の事件なら当事者がペナルティを受ければ済むが、野球賭博は、プロ野球そのものの信用を失墜しかねない。
そして過去に、実際にそのような危機に見舞われているのだ。

そのことを認識していれば、草野球とはいえ衆目の前で野球をしたり、プロ野球の本拠地球場に足を踏み入れたりすることは考えられない。

あえて言うが、3人はもう野球はできないと覚悟すべきだ。野球ファンや、仲間の選手に対する背信行為によって、彼らは「野球の国」から追放されたのだ。

野球協約第60条には

この協約の第180条に規定する行為をした選手は、コミッショナーにより1年間、又は 無期の失格選手として指名され、失格選手名簿に記載される。

とある。第180条とは、(賭博行為の禁止及び暴力団員等との交際禁止)である。

その第180条の2には、
2 前項の規定により無期の失格処分を受けた者(後に期限が定められた者を除く。)であっても 処分後5年を経過した者でその間において善行を保持し、改悛の情顕著な者については、本 人の申し出により、コミッショナーにおいて将来に向かってその処分を解くことができる。

という条項がある。確かに復活の可能性はある。
しかしここに言う「善行を保持」「改悛の情」とは、常識的に考えれば「自らの行ったことを反省し、社会人としてまともな生活をする」ことだと思う。まずは正業に就き、毎日まじめにはたらくところから始めるべきではないのか。

やることがないから草野球をすることが「善行を保持」「改悛の情」顕著だと思う人は少ないだろう。

笠原がこのまま5年間草野球に興じたとして、コミッショナーは彼を復帰させるだろうか。
「いつでも野球界に復帰できるようにコンディションを整えようと思った」のであれば、自らの立場を全く誤解しているというしかない。

まずは野球界からきっぱり足を洗い、まともな社会人になることから始めるべきだっただろう。それがあってからの「野球界復帰」だ。

巨人は3人を支援すると言ったが、それは球界復帰を支援するのではなく、彼らがこのまま裏社会に取り込まれることを防ぎ、まっとうな人生を歩むことを支援するということのはずだ。

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東スポによれば
笠原を受け入れた軟式野球チーム「Naughty」のGMは
「もし福田選手や松本選手からそういう申し出があって、うちのチームに理解があるのなら、もちろん前向きに考えてみますよ」
と話したという。
この人物は
「笠原も第2の人生を頑張っている。仕事は現在探しているところで、今は自分探しの期間。NPB復帰の意思は本人にしかわからないが、温かく見守ってください」
とも語っている。

笠原はドロップアウトした若者のように「自分探し」をするような悠長な立場ではない。その前に、世間に対し「謝罪」の意を表し、行動をもって「更生の意思」を示すべきなのだ。

笠原と同年のGMは、「美談」だと思ってこの話を進めているのだろう。最近は道理がわからない人間が増えたと思う。

メディアの中にもこれを「美談」に仕立てて報道するものも出てくるかもしれない。
石原豊一さんのこの本でも言及したが、最近は、若者の無謀な挑戦を「夢」だの「希望」だの無責任にほめそやすメディアが多い。



笠原将生がやっていることは筋が通らない。野球からいったんは離れないと更生は始まらない。リセットすべきである。

今回の処分は「野球賭博に関与しても5年経てば許してもらえる」ということではない。
無期限の失格処分とは「永久追放に準ずる処分」であり、復帰はほとんど不可能な処分である。

彼らには、ほんの少しだけドアは開いているのは事実だが、そのドアを通って中に入るために、今、やるべきは草野球ではない。

追記:「人様のことをあれこれ言うな」という意見がまた来るかもしれないが、笑止である。野球ファンは野球界の最も重要なステークホルダーである。我々の共有財産を毀損する輩の行状については、無関心を装うことはできない。


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