[東京 21日 ロイター] - 三菱UFJフィナンシャル・グループ が、米金融監督当局から米州のガバナンスのぜい弱性を指摘されたことは、国内収益が伸び悩む中、収益源として位置付けている海外業務の拡大が、一筋縄では進まない現実を浮き彫りにした。世界の金融監督当局による金融機関への規制は厳しさを増しており、より強固なガバナンス体制の構築が海外業務拡大の前提となっている。
<懸念されていたグローバルなガバナンス体制>
「恐れていた心配が、現実のものとなった」――。日本の金融当局関係者は、三菱UFJに対する米国通貨監督庁(OCC)からの指摘について、こう漏らした。
邦銀は、国内の利ざや縮小による収益の低迷を、海外業務の拡大で補ってきた。ただ、その拡大スピードに現地のリスク管理を中心とするガバナンス体制の構築が追い付いていないとの懸念が出ていたためだ。
三菱UFJは、海外業務の強化をみずほフィナンシャルグループ や三井住友フィナンシャルグループ などライバル行に先駆けて進めてきた。
邦銀で唯一、米国の地銀を持っていたのに加え、2013年にはタイの大手銀行、アユタヤ銀行を傘下に収め、日本、米州、アジアで商業銀行業務を展開。米金融大手のモルガン・スタンレーにも出資してきた。
<人材払底の心配も>
ただ、グループ内部では前線が拡大する一方の海外業務に、各地域のガバナンスを担う人材がそろっていないとの不安も出ていた。
今回、指摘を受けた米州では、西海岸を地盤としてリテール業務を担う子銀行ユニオンバンクと、東海岸に拠点を置き、大企業向け取引を担当する三菱東京UFJ銀の米州事業を金融持ち株会社の下で統合したが、リテール業務と大企業向け業務の文化の違いから、両社の融合が進んでいないとの指摘も出ている。
リスク管理の責任者となるチーフ・リスク・オフィサー(CRO)が、一時期不在になっていたことも、米金融当局が懸念を募らせた一因になっているとみられる。
<資金洗浄対策やサイバー攻撃対策も課題>
2008年のリーマン危機以降、各国金融規制当局や、その国際組織であるバーゼル委員会は、金融機関に対する規制や監督の水準を厳格化する一方だ。
テロ資金撲滅のためのマネーロンダリング(資金洗浄)対策や、サイバー攻撃などの新しいリスク要因に対する備えも求められている。こうしたコストを補って余りある業務を推進できるガバナンス体制の構築ができるのか。三菱UFJだけでなく、今後、さらに海外事業を拡大させる方針のみずほや三井住友にも課せられた課題だ。 (布施太郎 編集:田巻一彦)
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