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家族の介護をしながら働く人を支える制度の見直し案を厚生労働省の審議会が…
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家族の介護をしながら働く人を支える制度の見直し案を厚生労働省の審議会がまとめた。
介護休業(93日間)は1度しか使えないことから、利用をためらう人が多かった。これを3回まで分けて取れるようにする。1日単位だった介護休暇(年5日)も半日単位で取れるようにする。短時間勤務やフレックスタイムなどの働き方も、これまで介護休業と合わせて93日までだったが、介護休業とは別に3年まで利用できるようにする。介護をしている人の残業を免除する制度も新設する。
介護のために仕事を辞めざるをえず、生活破綻(はたん)につながってしまうケースすらある。そして介護はみなが直面する問題でもある。見直し案は、全ての職場に求める、いわば最低限の支援だ。企業側は、実態に応じてさらに使いやすく、多様な選択肢を増やす努力を重ねて、社会全体として支援を厚くすることに貢献してほしい。
介護休業は、特別養護老人ホームなどを見つけるための準備期間と位置づけられている。しかし、労働組合の連合の調査では、施設への入所が必要になった人のうち実際に入るまでに93日以上かかった人が36%いる。入所待ちの人には期間を延長するなど、工夫の余地がある。
また、在宅で介護を続ける人には短時間勤務のニーズが高い。しかし、短時間勤務を取り入れるかどうかは会社の選択に委ねられており、こうした柔軟な働き方などの仕組みがない所も4割以上ある。
仕事を休んだり、勤務時間が短くなったりする人のカバー態勢など、職場の理解と協力が不可欠だ。仕事を辞めざるを得ない人が増えれば、職場も立ちゆかなくなる。そのことを経営者も直視してほしい。
制度の見直しとあわせて、介護サービスの充実も必要だ。例えばデイサービスの朝夕の送迎は、働いている人には大きな負担だ。延長保育のようなサービスを求める声も多いが、対応するサービスはまだ少ない。
介護休業などの制度を利用しない主な理由に、職場に制度がないこと、仕事を代わってくれる人がいないことが挙がる。
しかし、介護休業や介護休暇はそもそもが法律で定められた働く人の権利で、希望すれば誰でもとることができるものだ。制度に通じていない人への情報の提供とともに、相談窓口を整備することも大切だ。
希望する人が働き続けられるようにすることは、急速に高齢化が進む日本に必要な取り組みである。
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