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 強い繁殖力と攻撃性で日本の在来種を駆逐し、生態系に影響を及ぼす南米原産のアルゼンチンアリ。これまで大阪市内の一部のみだった府内での生息域が、堺市にじわりと広がった。特定外来生物として生きたままの持ち運びが禁じられており、荷物や土砂などについて運ばれたとみられる。堺市などは駆除を検討している。

 「列を作ってアリが家に入っている。アルゼンチンアリか見てほしい」。10月22日、堺市西区の住民から市にメールが届いた。市の担当者が駆けつけ事情を聞くと、大量のアリが台所や風呂場に侵入し、炊飯器の中まで入ったこともあったという。現場から標本としてアリを持ち帰り、府立大生命環境科学域の上田昇平助教(昆虫学)に確認してもらうと、アルゼンチンアリだと判明した。

 市と上田助教、近畿地方環境事務所(大阪市)が現場調査に入ると、畑に敷いたカーペットの下に大量のアリがいたほか、コンクリートの割れ目などで複数の巣があったため、周辺を生息域と判断した。上田助教は「どのくらいの規模で分布域が広がっているか心配だ。拡大を最小限に食い止めたい」。同事務所は「実態を調べて堺市と駆除に取り組みたい」としている。