じんごーべーじんごーべー
さて、明日は待ちに待った、そして一部では一年で最も忌み嫌われる日がやってくる。そう、クリスマス(イヴ)だ。
クリスマスの時期に限った話ではないが、「サンタクロース何歳まで信じていた?」っていう話が出ることがある。「小学校低学年まで」とか「最近まで信じてたわ」とか、色々人それぞれ思い出があるだろう。
自分の場合、実は最初からまるっきり信じていなかった。ウチは両親が自分が2歳の頃に離婚しており、ウチの家計は保険会社で働く母が実質一人で支えていた。なので、クリスマスに向けてなにか演出をするなどという余裕がなかった。あの頃はまだ週休二日制じゃなかったし。
だから、自分は素直に母からプレゼントを貰っていた。それで満足だった。
自分にとって、クリスマスから正月にかけての1週間ちょっとは、普段忙しくしている家族が、みんなで揃って団欒できる貴重な時期だった。だから、そこにサンタクロースなんていうファンタジーが入り込んでこなくても十分幸せだった。
だが、娘には出来る限りファンタジーを与えてあげようと思う。自分は子供の頃からなんか斜に構えていたところがあって、現実を現実として客観視する癖のようなものが付いていたので平気だったが、娘もそうとは限らない。自分で気がつく日が来るまでは、ファンタジーを演出しようかなと思っている。
ここからが本題。
ここからはクリスマスと何の関係もない話をしよう。
大事なことだからもう一度言う。ここからの話はクリスマスとは何の関係もない。
この間、ふとした所で耳にした気になる話があった。
「日本人は9月、10月生まれが多いらしいよ」
なに?
まあ、人工的に繁殖しているわけではない以上、月別の出生数が同じでないのは当たり前なのだが、そんなに明確に言えちゃうほど偏りがあるものなの?
確かに、農家なんかは冬の間はなにもできないので、家庭内生産が盛んになると聞いたことはあるが、9月、10月ってことは遡ると…
ものすごく大事なことだからもう一度言っておくと、クリスマスとは何の関係もない話をしている。本当に何の関係もない。
というわけで、気になったので統計局のウェブサイトで月別出生数を調べてみることにした。残念ながら2000年までの統計データしか無かったが、昭和初期にはすでに日本は「イヴは恋人と過ごす日」となっていたので、多少データが古くても問題はないだろう(本当か)
「クリスマスイーヴ(東京)」
…(略)
「モシモシ、失礼なんですけれど、貴女がたはお二人だけなんですか」
「マァ、失礼な方!」
「僕たちも二人っきりで、サッキからカスンでるんでス、一緒に御飯をたべさせてくれませんかァ」
「マア図々しいワネ」
「アラ、いいわよ。そのかはり君たちお払いするのヨ」
「O・K!」
一九三一年を送らうとしているお嬢様たちは、この位チャッカリしていらっしゃるのです。
かうして楽しいクリスマスの犠牲になって、くやしがりながらシメられる七面鳥の数は、東京全市で千二三百羽にのぼるのです。
…(略)
(1931年12月25日付け報知新聞)
※この報知新聞、ノリノリである。
日本人は何月にたくさん生まれているのか。
下記の表が、統計局にあった1900年〜2000年までの100年間における日本人の月別出生数である。
だが、前述の通り(Wikiが正しいのであれば)クリスマスが現在のような認識をされるようになったのは昭和になってからなので、昭和以前のデータをバッサリ切ってしまおう。すると結果は以下の様なものになった。
平成だけならこう。
あれ、むしろ時代が進めば進むほど偏りがなくなってきているじゃないか。
直近15年のデータが無いので、少子高齢化を迎えた現代でも同じ傾向なのかどうかは不明だが、別にクリスマスがどうこうって本当に関係なかった。
現代では医療技術が進んで、出産時に万が一の事故があるなんてことが極めて少なくなった事も関係しているかもしれない。現代日本では、新生児死亡率及び妊産婦死亡率はともに殆どゼロに近い。ただし、日本産婦医科会による集計が正式に始まったのが2010年からであり、その年から報告例が増加していることは留意されたし。
第67回(H25.7.10)平成22-24年妊産婦死亡 - 日本産婦人科医会
というわけで、クリスマスと月別出生数には本当に何も関係がなかった。クリスマスを楽しみにしている人も、はらわた煮えくり返る想いでいる人も、安心して明日を迎えてほしい。
…ジーコ
…ジーコ
プルルルル…
ガチャッ
「はい、わたしです。…ええ、その件です。はい。今回の調査では何もなかったということに。…はい。数字は調整済みです。…わかっています。大丈夫です、誰もわたしが二重スパイだということには気がついておりません。はい。では、予定通りに今年も… ええ。そうです。今年もクリスマス中止のお知らせは阻止しました。もう大丈夫です。…ええ。ありがとうございます。 聖ニコラオス…」
ガチャッ
ツー
ツー
ツー