【コラム】台風ではなく梅雨、韓国に迫り来る長期不況

【コラム】台風ではなく梅雨、韓国に迫り来る長期不況

 1990年代末のアジア通貨危機を経験した世代なら、マーク・ウォーカーという名前に聞き覚えがあるかもしれない。同氏は当時、韓国の対外債務返済繰り延べ交渉団の法律顧問を務め、韓国政府に自身のウォール街の人脈を紹介し、債務管理策をアドバイスした。そのおかげで、韓国は当時250億ドル(現在のレートで約3兆300億円、以下同じ)に達していた短期対外債務の返済を先延ばしすることができた。1998年2月、政府は同氏に修交勲章興仁章(2等級)を授与した。「経済国恥」を経験した私たちにとってはありがたい人だ。

 そのウォーカー氏が、17年ぶりに再び韓国を訪れた。今回は現代商船の経営立て直しを手助けするためだ。海運業は船主から船を借り、貨物を輸送して利益を得るが、不況のあおりで運搬料が暴落し、現代商船が稼いだカネよりも船を借りるカネ(用船料)の方が年間2000億ウォン(約206億円)以上も多くなったという。ウォーカー氏は同社の再建に向け、債権団の産業銀行に債務の帳消しを要請し、海外の船主とは用船料の引き下げ交渉を行っているようだ。

 だが、肝心の産業銀行が全く動こうとしないという。巨額の赤字を出している大宇造船海洋にすでに7兆ウォン(約7200億円)近い支援を行っており、ほかの企業のことを考えるのさえ嫌な様子だ。政府も不振が際立つ海運業の構造調整問題を何度か大統領府(青瓦台)西別館会議(非公開の経済金融点検会議)で話し合ったが、結論を出せなかったとされる。このまま放置しておけない企業がありながら、誰もがぐずぐずしている。

 企画財政部(省に相当)は、来年の経済政策方向に「メード・イン・コリア」から「メード・バイ・コリア」への政策転換方針を盛り込もうとして、結局取りやめた。収益性が低下した企業を安価な労働力と工場が確保できる海外に進出させ、競争力を取り戻すというのがその趣旨だったが、「企業が去って雇用が減ったら誰が責任を取るのか」という反対意見に押されたのだ。

キム・テグン記者
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