近現代史の勉強会、初会合 議論の方向性に溝
自民党は22日、日本の近現代史の勉強会「歴史を学び未来を考える本部」(本部長・谷垣禎一幹事長)の初会合を開いた。今後、学術性、中立性、国際性を基準に講師を選び、月1〜2回のペースで会合を開く。安倍政権の歴史認識問題は安倍晋三首相の戦後70年談話でひとまず収束しただけに、執行部は「謙虚に歴史を学ぶ場」にしたい考えだが、党内には異論も根強く、方向は定まっていない。
冒頭、谷垣氏は「政治家が歴史をろくに勉強しないで、歴史、近現代史教育を振興せよというわけにはいかない」と述べ、冷静な議論を促した。
しかし、佐藤正久参院議員は日本の戦前・戦中の対外政策について「帝国主義に基づく植民地政策とは違う。誤解している国民がかなり多い」と歴史観の修正を主張。衛藤晟一首相補佐官も「最初から中立性や国際性を考えると通説優先になる」と講師選びの基準に疑問を呈した。
稲田朋美政調会長ら保守派は当初、極東国際軍事裁判(東京裁判)の評価を含めて歴史を検証する党機関の設立を目指したが、谷垣氏が本部長に就任し、軌道修正を図った経緯がある。勉強会が報告書をまとめないのは、こうした党内事情の反映といえる。この日は海外メディアの取材も認めなかった。【中島和哉】