[シンガポール/ソウル 22日 ロイター] - 韓国のサムスン電子(005930.KS)のスマートフォン(スマホ)部門が伸び悩んでいる。OBや関係者の間では、同社の技術部門を支配している文化である「ハードウエア至上主義」を変えない限り、かつて好調だったころの勢いを取り戻すことは不可能との見方が多い。
彼らによると、こうしたサムスン電子の文化は、スマホ事業を支えるようなソフトウエアやサービスプラットフォームの開発努力を妨げてきたという。過去1年の間に、幾つかのサービスが中止に追い込まれ、立ち上げから1年もたたずに停止されたものさえあった。
「幹部らに対する不信感は強い。実際にはもっと多くのソフトやサービスを提供できるはずだ」と、内部事情に詳しい人物は話す。「『ハードの売り方が分かっている私たちは、ハードを売る』という考えがいまだに根強い」という。
携帯電話の売上は、市場が成熟するにつれて伸びが鈍化している。他社のアンドロイド携帯がより低価格で販売されているいま、特色のあるソフトウエアやコンテンツ、サービスを提供できなければ、サムスン電子が差別化を打ち出すことは不可能だ。
同社は過去から学んだ成果として、独自のモバイル決済システム「サムスン・ペイ」を開発したり、あらゆるモノをインターネットにつなぐIoT(インターネット・オブ・シングズ)と呼ばれるプラットフォーム関連の米スマートシングスを買収することで方向性を示した。
ただ、それだけでは十分ではない。
サムスン電子のOBや現在の社員らを取材すると、部署間の業務重複や混乱が透けて見えてくる。そこではハードウエアの販売を短期間で伸ばそうとするあまり、顧客のための価値を生み出し「サムスン・ブランド」への忠誠心を高める長期的努力がないがしろにされている。
「サムスン電子の上級幹部は、ソフトウエアを本質的に理解していない」と元社員は言う。「ハードのことは分かっている。実際、誰よりも分かっている。だが彼らにとって、ソフトは完全に別物なのだ」と指摘する。
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