韓国の自由貿易協定(FTA)戦略が周回遅れに陥った。中国との協定は発効したが自由化のレベルは低い。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に不参加で、日中韓FTA交渉では日本に突き放された。世界の潮流に取り残された中国と“心中”する気なのか。
中韓とも発効と同時に一部品目の関税を撤廃したり、引き下げたりした。今後も段階的に引き下げ、20年以内に品目ベースで韓国が92・2%、中国が90・7%の関税を撤廃する。
韓国は、最大の貿易相手国である中国とのFTAで不振の輸出を回復させたい狙いだが、自動車や液晶関連など中国が自国産業を育成する工業製品については関税が残る。韓国側も中国産農水産物の多くを関税撤廃の対象から外した。聯合ニュースは、米シンクタンクの研究員が「経済的目的より政治的利害関係が優先されている」として、自由化レベルが低いと指摘したと報じた。
一方、日中韓3カ国のFTA交渉の局長・局次長会合は、農産物などの関税協議の枠組みや進め方について合意を来年に持ち越した。日本が高い貿易自由化水準を突きつけたのに対し、中韓は後ろ向きという構図だ。
日本側は米国などと大筋合意したTPPを軸として自由貿易戦略を進めていく方針。TPP参加の意向を表明している韓国は日本の要求に応じるのが筋だが、中国と歩調を合わせている。
TPPなど多国間のメガFTAが加速するなかで、二国間FTAを進める韓国の戦略は色あせてみえる。TPPに参加しなかった朴槿恵(パク・クネ)政権の判断ミスは尾を引きそうだ。