「私、死んだ方が保育園に入れますか?」壮絶保活で母親うつに
待機順位は200番台、見学予約さえままならない……子どもを保育園に入れるための「保活」は相変わらず熾烈を極める。保活に翻弄されて、ゆっくり育休も取れない現実に迫る。
都内で会社を経営する40代の女性は、胎児の心拍を確認した直後から、住んでいる区内の認可、認証、認可外、事業内保育所すべてに電話したが、すでに後れを取っていた。待機順位は100番台、200番台はざらで、ときには300~400人待ち。見学予約を取り付けるためのウェイティングを余儀なくされるところや、「再来年の春まで埋まっている」と言われた施設もあった。「不妊治療を始める前にお金を払って認証をおさえた」という母親もいた。
妊娠5カ月の時には、近隣4区まで範囲を広げて探すことにした。電車と徒歩で自宅から45分かかるところも候補に入れた。116軒の認証・認可外のリストを手に、すべての施設に連絡して見学をスタート。「都心の一等地にある月20万円の認証」すらいっぱいだった。預けられるところといえば、ラックに固定された哺乳瓶からミルクが自動フィードされて「保育」ならぬ「飼育」をしているような、劣悪な環境の施設ばかりだった。
切迫早産で自宅安静を言い渡されても、保育園の見学予約はキャンセルできない。夫に付き添ってもらったりタクシーを使ったりしながら見学をこなし、申し込める施設にはすべて待機リストにのせてもらった。
出産1カ月前にはさらに体調が悪化して入院したため、保活は中断せざるを得なかった。生まれてからしか予約できない施設45軒には、あらかじめ申込書に子どもの名前以外をすべて記入しておき、帝王切開で出産した翌日に夫が名前を記入して提出した。
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