【記者手帳】韓国社会、「二流の寄付」払拭に知恵を絞れ

【記者手帳】韓国社会、「二流の寄付」払拭に知恵を絞れ

 毎年この時期になると、記者の電子メール受信トレーはキムチ関連のプレスリリースでいっぱいになる。その内容はどれもほぼ同じで、「恵まれない人たちに」から始まり「○○市場ではキムジャン(越冬用のキムチ漬け)キムチを配布している」といった言葉で終わる。同じようなメールを送ってきたある金融機関の社会貢献事業担当者に、キムチばかりに関心を寄せる訳を尋ねたところ、その回答は「カネが掛からないし、社長がキムチを手にしていれば絵になるから」という単純なものだった。練炭の無料配布や壁に絵を描く活動がたびたび行われているのも同じような理由だ。

 地球外知的生命体探査計画(SETI)の下、米国カリフォルニア州に建設中のアレン・テレスコープ・アレー(電波望遠鏡)を数年前に記者が取材した際、谷間に並んだ42の望遠鏡と同じくらい印象的だったのがこの名称だった。「アレン」とはこの望遠鏡建設に3000万ドル(約37億円)を寄付したマイクロソフト社の共同創業者、ポール・アレン氏のことだ。アレン氏はこの特異なプロジェクトに寄付を行った理由について「人類にとって重要な科学的問題を解決する革新的な技術に投資したい。この望遠鏡は宇宙ができて進化してきたプロセスに対する理解を深めてくれるだろう」と説明した。ベンチャー投資家の先駆けともいえるいかにもアレン氏らしい言葉だ。まさに「科学が躍進する可能性」に喜んで寄付することを宣言するものに他ならないではないか。

 現在世界14位の経済規模を誇る韓国の企業・個人は、寄付の必要性をどれだけ深く認識しているだろうか。韓国における慈善活動の中身をのぞいてみると、その多くは社会の問題や発展について深く悩むこともなく、単に企業の宣伝手段としか考えない低レベルの寄付ばかりではないか。それに対して先進国で行われている寄付は、その理由や使い道に対する説明の中に「社会のどのような問題をいかに解決するか」に対する苦悩と哲学が表現されている。最初は誰にも理解されない慈善活動も、寄付者が実際に資金を拠出する時の説明を聞くと、誰もが深くうなずくことができるものばかりだ。

経済部=キム・シンヨン記者
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