広州=延与光貞
2015年12月22日19時35分
中国広東省深圳市で起きた大規模な土砂崩れで、土砂を流出させた残土受け入れ場の工事にあたって実施された環境影響評価(アセスメント)の報告書が、地滑り発生の危険性を指摘していたことが分かった。適切な対策がとられないまま、事故につながった可能性がある。
報告書は今年1月に提出され、同市光明新区政府のホームページに載せられていたが、事故後に削除された。朝日新聞が入手した報告書によると、工事は残土などを高さ155メートル、容積800万立方メートルまで受け入れられるようにするもの。
報告書は、工事で地形が変わり、土砂や水の流出が激しくなることから、有効な措置がとられなければ、地滑りの危険性があると指摘。特に土砂の流出を防ぐ堰(せき)が崩れた場合は、(今回被害を受けた)ふもとの工業団地の安全にも影響を及ぼすとして、夜間も含めたパトロールや危険を知らせる警報の整備、観測施設の設置などを求めていた。
ただ、結論としては「残土受け入れ場そのものが環境改善に役立つ。適切な措置をとれば、工事を進めてもよい」と評価。区政府も3月に許可していた。今後、業者や政府の対応が問われることになりそうだ。
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地元当局は22日、男性1人の遺体を発見したと発表。一部の人とは連絡がついたとして、行方不明者の数を76人に訂正した。(広州=延与光貞)
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朝日新聞国際報道部
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