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「地域ブランド」登録制度 7品目の授与式12月22日 18時01分
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日本各地の農産物や食品などの特産品を、国が地域ブランドとして登録する「地理的表示保護制度」について、農林水産省は22日、「夕張メロン」や「神戸ビーフ」など全国の7品目を初めて登録し、授与式が行われました。
「地理的表示保護制度」は、生産者などつくる団体の申請に基づいて、国が農林水産物や食品のうち産地名などを含んだ特産品を地域ブランドとして登録する制度です。農林水産省はことし6月以降、全国から申請のあった50余りの特産品について、地域との結びつきや品質管理が徹底されているかなどを審査し、このうち7品目を22日、初めての品目として登録し、農林水産省で登録証の授与式が行われました。
登録されたのは、青森県の「あおもりカシス」、兵庫県の「但馬牛」と「神戸ビーフ」、北海道の「夕張メロン」、福岡県の「八女伝統本玉露」、茨城県の「江戸崎かぼちゃ」、鹿児島県の「鹿児島の壺造り黒酢」の7品目です。
授与式で、森山農林水産大臣は「登録を契機に海外市場にも積極的に挑戦をし、攻めの農林水産業の一翼を担ってほしい。地理的表示保護制度はここからが本当のスタートであり、続々と日本全国の特色ある産品を登録していきたい」と述べました。登録された7品目は、22日から国の登録を証明する認定マークを表示できるようになり、国内にとどまらず海外への輸出拡大などが期待されています。
登録されたのは、青森県の「あおもりカシス」、兵庫県の「但馬牛」と「神戸ビーフ」、北海道の「夕張メロン」、福岡県の「八女伝統本玉露」、茨城県の「江戸崎かぼちゃ」、鹿児島県の「鹿児島の壺造り黒酢」の7品目です。
授与式で、森山農林水産大臣は「登録を契機に海外市場にも積極的に挑戦をし、攻めの農林水産業の一翼を担ってほしい。地理的表示保護制度はここからが本当のスタートであり、続々と日本全国の特色ある産品を登録していきたい」と述べました。登録された7品目は、22日から国の登録を証明する認定マークを表示できるようになり、国内にとどまらず海外への輸出拡大などが期待されています。
地元の受け止めは
青森県の「あおもりカシス」を手がけているあおもりカシスの会の石岡大亮会長は「青森のカシスはまだまだ全国的には知名度が低いので、全国の皆さんに知ってもらいたい。生産量を増やしていき将来的には輸出も考えていきたい。また、品質管理にもしっかり取り組んでいきたい」と話していました。
兵庫県の「但馬牛」と「神戸ビーフ」を手がけている神戸肉流通推進協議会の芦田日出夫理事は「輸出は現在も取り組んでいるが、今以上に取り組みやすくなると思っている。今でもそれなりにきちんと管理されており、国内では偽物は出回らないが、今回の登録で特に海外で偽物がなくなっていくと期待しています」と話していました。
北海道の「夕張メロン」を手がけているJA夕張市の加藤春之組合長は「夕張メロンは北海道を代表するブランドとして、すでに海外への輸出にも取り組んでいるが、今回の登録は若い生産者にとって新たな挑戦の第一歩になる。これまでは偽物の夕張メロンが出回れば産地が訴訟を起こして対応してきたが、これからは国に対応してもらえるので農家は安心して生産に取り組めるようになり、今後の産地の飛躍が大いに期待できる」と話しています。
福岡県の「八女伝統本玉露」を手がけている八女伝統本玉露推進協議会の久間一正会長は「生産に携わる農家が年々少なくなっているので、今回の登録を起爆剤にして『こんなにすばらしいおいしいお茶が日本にありますよ。しかも福岡の八女にありますよ』ということを海外に売り込んでいきたい」と話していました。
茨城県の「江戸崎かぼちゃ」を手がけているJA稲敷の中村利夫部会長は「大変光栄に思っています。こういうものをいただくと逆に品物の評価が厳しく査定されるということですので、一層、身を引き締めて生産していきたいと思います」と話していました。
鹿児島県の「鹿児島の壺造り黒酢」を手がけている鹿児島県天然つぼづくり米酢協議会の坂元昭夫会長は「この酢を作れるのは世界でわれわれだけで、海外に進出しようという姿勢が評価されたのだと思う。発酵や熟成に長い時間が必要で、売れすぎると生産が間に合わないかもしれないが、できるだけ生産を増やしていきたい」と話していました。
兵庫県の「但馬牛」と「神戸ビーフ」を手がけている神戸肉流通推進協議会の芦田日出夫理事は「輸出は現在も取り組んでいるが、今以上に取り組みやすくなると思っている。今でもそれなりにきちんと管理されており、国内では偽物は出回らないが、今回の登録で特に海外で偽物がなくなっていくと期待しています」と話していました。
北海道の「夕張メロン」を手がけているJA夕張市の加藤春之組合長は「夕張メロンは北海道を代表するブランドとして、すでに海外への輸出にも取り組んでいるが、今回の登録は若い生産者にとって新たな挑戦の第一歩になる。これまでは偽物の夕張メロンが出回れば産地が訴訟を起こして対応してきたが、これからは国に対応してもらえるので農家は安心して生産に取り組めるようになり、今後の産地の飛躍が大いに期待できる」と話しています。
福岡県の「八女伝統本玉露」を手がけている八女伝統本玉露推進協議会の久間一正会長は「生産に携わる農家が年々少なくなっているので、今回の登録を起爆剤にして『こんなにすばらしいおいしいお茶が日本にありますよ。しかも福岡の八女にありますよ』ということを海外に売り込んでいきたい」と話していました。
茨城県の「江戸崎かぼちゃ」を手がけているJA稲敷の中村利夫部会長は「大変光栄に思っています。こういうものをいただくと逆に品物の評価が厳しく査定されるということですので、一層、身を引き締めて生産していきたいと思います」と話していました。
鹿児島県の「鹿児島の壺造り黒酢」を手がけている鹿児島県天然つぼづくり米酢協議会の坂元昭夫会長は「この酢を作れるのは世界でわれわれだけで、海外に進出しようという姿勢が評価されたのだと思う。発酵や熟成に長い時間が必要で、売れすぎると生産が間に合わないかもしれないが、できるだけ生産を増やしていきたい」と話していました。
地理的表示保護制度とは
「地理的表示保護制度」は、産地の名前が含まれた地域ブランドを国が登録・保護する制度で、同様の制度は海外ではすでに100か国以上で導入されています。
地理的表示保護制度は、商標の制度とは違って、名前だけでなく品質などを含めたブランドとして保護することが目的です。日本の制度では、ブランドの名称とともに品質の基準も登録することで、そのブランドならではの品質を満たしている農産物や食品として、国のいわば「お墨つき」が得られることになります。さらに、地理的表示保護制度は、国が不正な利用を取り締まり、違反した場合には懲役や罰金を科すこともでき、主に、商標の権利を持つ側が訴訟を起こさなければならない商標の制度よりも、ブランドを強力に保護できるのが特徴です。
地理的表示保護制度のメリットとしては、まず、比較的規模が小さな生産団体などでも、ブランドが保護しやすいという利点があります。さらに、登録されたブランドは、地域の共有財産として、品質などの基準を満たせば、その地域の生産者は誰でも使えるようになります。登録された地域ブランドは富士山などをモチーフにした「GIマーク」という認定マークが与えられ、品質が保証された日本の農林水産物として海外でも浸透していくことが期待されています。「GI」は、地理的表示を意味する英語のジオグラフィカル・インディケーションの頭文字です。
地理的表示保護制度は、商標の制度とは違って、名前だけでなく品質などを含めたブランドとして保護することが目的です。日本の制度では、ブランドの名称とともに品質の基準も登録することで、そのブランドならではの品質を満たしている農産物や食品として、国のいわば「お墨つき」が得られることになります。さらに、地理的表示保護制度は、国が不正な利用を取り締まり、違反した場合には懲役や罰金を科すこともでき、主に、商標の権利を持つ側が訴訟を起こさなければならない商標の制度よりも、ブランドを強力に保護できるのが特徴です。
地理的表示保護制度のメリットとしては、まず、比較的規模が小さな生産団体などでも、ブランドが保護しやすいという利点があります。さらに、登録されたブランドは、地域の共有財産として、品質などの基準を満たせば、その地域の生産者は誰でも使えるようになります。登録された地域ブランドは富士山などをモチーフにした「GIマーク」という認定マークが与えられ、品質が保証された日本の農林水産物として海外でも浸透していくことが期待されています。「GI」は、地理的表示を意味する英語のジオグラフィカル・インディケーションの頭文字です。
課題も指摘
地理的表示保護制度には課題も指摘されています。まずは、海外でのブランド保護がまだ完全ではないという点です。地域ブランドとして、特産品の名前と品質を保護する今の制度は、日本国内が対象となっていて、海外ではただちに保護はされません。海外でも保護するためには、対象となる国や地域との間で取り決めを結ぶ必要があります。日本とEU=ヨーロッパ連合で合意を目指しているEPA=経済連携協定でも相互に特産品の地域ブランドを保護しようと現在、協議が進められています。
また、地域ブランドに登録されたあとの品質などのチェック体制も課題です。今の仕組みでは、登録された特産品の生産者団体が約束した品質や製法が守られているかを自主的にチェックをして、その結果を年に最低1回、国に報告することになっています。ただ、いわば身内によるチェックにとどまっていることから、第三者によるチェック体制が必要だという指摘もあります。これに対して、EUは、第三者機関が抜き打ち検査などを行って、品質が守られているかを厳しく監視する仕組みをとっています。
知的財産に詳しい東京理科大学専門職大学院の生越由美教授は「ブランドが有名になってたくさん特産品が売れるようになると、いつもと原材料を違うもの、安いものを混ぜ込んで作ってしまった事例も過去にはあった。これに歯止めをかける制度にすることが大事だ」と話しています。
また、地域ブランドに登録されたあとの品質などのチェック体制も課題です。今の仕組みでは、登録された特産品の生産者団体が約束した品質や製法が守られているかを自主的にチェックをして、その結果を年に最低1回、国に報告することになっています。ただ、いわば身内によるチェックにとどまっていることから、第三者によるチェック体制が必要だという指摘もあります。これに対して、EUは、第三者機関が抜き打ち検査などを行って、品質が守られているかを厳しく監視する仕組みをとっています。
知的財産に詳しい東京理科大学専門職大学院の生越由美教授は「ブランドが有名になってたくさん特産品が売れるようになると、いつもと原材料を違うもの、安いものを混ぜ込んで作ってしまった事例も過去にはあった。これに歯止めをかける制度にすることが大事だ」と話しています。
農水省「法改正を検討」
地理的表示保護制度の課題のうち、海外でのブランド保護がまだ完全でないという指摘について、農林水産省の櫻庭英悦食料産業局長は「日本の地域ブランドを海外で保護するため、各国と調整をし、お互いのブランドを守ることができる関係を築いていく」と述べ、日本と相手の国や地域で、地理的表示を相互に保護するために必要な法改正を検討していることを明らかにしました。また、地域ブランドに登録された品目の品質や製法をどう担保していくかについて、櫻庭局長は「必要に応じて、各地の生産者団体に農林水産省の担当者を派遣し、品質や製法を守るための取り組みを把握していく」と述べました。