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 福井県の西川一誠知事は22日、県庁で記者会見し、関西電力高浜原発3、4号機(同県高浜町)の再稼働への同意を表明した。これで地元同意手続きは終わった。新規制基準の審査に合格した原発の再稼働への知事同意は九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)、四国電力伊方原発3号機(愛媛県)に続き3例目。西川知事はこの日夕方に上京し、林幹雄経済産業相に伝える。

 福井地裁が4月に命じた運転禁止の仮処分の効力が続く限り再稼働はできない。関電が申し立てた保全異議の決定は今月24日に同地裁で出される。関電は異議が認められれば3号機を来年1月下旬に、4号機も2月下旬に再稼働させる計画だ。西川知事は司法判断が出る前に同意表明したことについて「理由はない。前か後かにこだわる性質のものではない」と述べた。

 福井、京都、滋賀の3府県や国との広域避難計画に基づく訓練が実施されないまま再稼働に同意。これについては「再稼働の条件ではない」と述べたが、国や府県と今後、実施について協議する意向を示した。

 西川知事は①原発への国民理解の促進②2030年度の電源構成比率の明確化③使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外立地に向けた国の積極的関与④事故制圧態勢の強化⑤地域経済と地元雇用への対応――を再稼働の条件としていた。

 政府は7月に原発を「20~22%」とする電源構成比率を決定し、10月には使用済み核燃料対策の「アクションプラン」を発表。関電も20年ごろに福井県外での中間貯蔵施設の建設場所を決め、30年ごろの操業を目指す計画を策定した。西川知事が最も重視してきた「国民理解の促進」も、安倍晋三首相が今月18日の原子力防災会議の場で「全国各地で国民理解のための説明会を行う」と明言。原発の40年超運転や廃炉、高速増殖原型炉「もんじゅ」の存廃など、福井県が抱える諸課題にも「国が責任を持って総合的な対策を進める」と約束した。知事は条件をすべて満たしたと判断した。

 一方、高浜3、4号機の重大事故時に避難対象となる半径30キロ圏には福井、京都、滋賀の3府県が入り、約18万人が暮らす。原子力防災会議で広域避難計画は決まったが、避難手段の確保、経路となる道路の整備、交通渋滞対策などの課題が残されている。

 高浜3、4号機は2月に原子力規制委員会の新規制基準に基づく審査に合格。現在、新たに設置された設備の検査が進んでいる。高浜町議会は3月に、高浜町の野瀬豊町長は今月3日に、県議会は17日に再稼働に同意していた。(堀川敬部)

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 〈高浜原発〉 関西電力が福井県内に建設した3カ所の原子力発電所の一つで、4基の原子炉がある。東京電力福島第一原発とは異なる加圧水型炉(PWR)。3、4号機(ともに87万キロワット)は1985年に運転を開始した。2011年3月の東日本大震災発生後、3号機は12年2月、4号機は11年7月から定期検査のため運転を停止している。