格付け大手3社の一角、ムーディーズが18日、韓国の国債格付けをこれまでの「Aa3」から1段階引き上げ、上から3番目の「Aa2」とした。格付け上昇は韓国の対外債務償還能力が高まったことを示すもので喜ばしいニュースだ。しかし、格付け会社による称賛に笑みを浮かべてばかりはいられない。
ムーディーズは今回、「現在進めている構造改革が後退するか、長期的な成長見通しが悪化した場合には格付けを引き下げることもあり得る」という条件を付けた。 他国よりも債務償還能力が高まったという評価に酔いしれ、構造改革を無視し、潜在成長力が損ねられれば、危機は避けられなくなるという話だ。1997年の通貨危機前にも韓国の格付けは優れていた。韓国経済研究院の権泰信(クォン・テシン)院長は「格付け会社は過去の統計数値を使って評価しているだけであり、1年後を予測しない。格上げを理由に安心してはならない」と警鐘を鳴らした。
■通貨危機前も高い格付け
韓国の格付けは1997年の通貨危機直前にも当時としては最高レベルを維持していた。ムーディーズは90年4月、韓国の格付けを上から5番目の「A1」に引き上げ、97年11月まで据え置いた。S&Pも95年5月に上から4番目の「AAマイナス」まで引き上げ、97年10月まで韓国にそれまでで最も高い格付けを付与した。
しかし、経済の現場では97年に韓宝鉄鋼、三美グループ、起亜自動車などの破綻が相次ぎ、不安感が広がっていた。96年に経常収支赤字が230億ドルを超え、対外的な健全性にも危険信号がともった。それでも姜慶植(カン・ギョンシク)元副首相ら経済閣僚は「ファンダメンタルズ(基礎的条件)は強固だ」として危機論を打ち消した。それに外国の機関も加勢した。