中塚久美子
2015年12月22日05時08分
■子どもと貧困 シングルマザー編
「私とママの家は小さいね」
友達の家を訪ねた後から長女(3)が口にする言葉が、女性(36)の胸にチクリと刺さった。京都市の家賃5万5千円の木造長屋。洗面台はない。
公的機関の非常勤職員で、手取りは月13万7千円。片道230円のバス代を節約し、40分かけて自転車で通勤する。
離婚した元夫から養育費はもらっていない。
一昨年6月、頭を踏みつけられるなどの家庭内暴力(DV)に耐えきれず、家を出た。離婚調停が成立せず、昨年4月に裁判で離婚を請求。月6万4千円の養育費を求めた。
団体職員だった元夫の年収は485万円あった。だが調停中に辞職し、借金して飲食店を開業。「店は毎月赤字。払える状態にない」と反論された。最終的に示された回答は「1万円なら払える」。結局、もらわない決意をし、昨年11月、離婚が成立した。
「国や市が間に入って養育費が払われるなら、1万円でも5千円でもある方がいい。ただ、今は縁が切れてよかったとしか思えない」。1万円のために元夫と関わり続けなくてはならない方が苦痛だった。
この間、女性はパソコンを使った内職と大学でのバイトを掛け持ちし、生活費を捻出してきた。DVによる保護命令はなかったため、離婚成立まで児童扶養手当やひとり親医療費助成を受けられなかった。弁護士費用として月1万6千円35回払いの借金が残った。
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