政府は、ふるさと納税で企業版を新設することを決めた。都市部と地方の税収の偏りをならすことにつなげる考えだ。

 先行して実施した個人版では豪華な返礼品を用意する自治体が相次ぎ、「まるでお得な通信販売」とも指摘される。共感に基づいて出し、見返りは求めないという寄付の本質から離れているとの批判は根強い。

 企業版の導入で、企業と自治体の癒着を招く恐れがある。自治体間の財政格差を是正するなら、税制や予算など国と地方の税財政制度を正面から見直し、抜本策を講じることこそが行政の役割ではないか。

 ふるさと納税は、ある自治体に寄付した分、もともと納税している地元への税金を減らせるのが基本的な仕組みだ。自治体間でおカネを動かす手段として「寄付」を組み込んだ。

 企業の場合、既に寄付金額の約3割について、国に納める法人税や自治体への法人事業税・住民税が減免されている。ふるさと納税では、事業税・住民税を中心にさらに3割分を上乗せできる。

 3大都市圏で地方交付税を受け取っていない裕福な自治体への寄付は対象外で、自治体が取り組む地方創生事業に寄付するという枠組みにした。特に条件がない個人版と比べ、企業版では自治体の事業と関連づけたことは評価できる。

 それでも、寄付した企業が見返りを求め、自治体が応えようとする事態を防げるのか。

 企業と自治体は、入札や事務所・工場の立地、事業への融資や許認可など、様々なつながりがある。政府は本社がある自治体への寄付を対象外にし、法令に触れる企業への便宜供与を具体的に示して注意を促すようだが、それで十分だろうか。

 NPOや公益法人などへの寄付活動を続けている企業は少なくない。自治体への寄付を優遇することで、こうした民間への寄付が割を食う恐れもある。

 税収格差をならすための税制改革では、法人事業税に関する暫定措置を打ち切る一方、法人住民税の一部を地方交付税に回して自治体に配りなおす仕組みが決まった。ただ、部分的な手直しの感は否めない。

 国と地方の税財政制度を巡る課題に取り組もうとしたのが、国から地方への税源移譲と補助金の削減、地方交付税見直しという「三位一体改革」だった。

 小泉政権がこれを掲げ、実行に移してから10年が過ぎた。自治体間の財政力の差をはじめ、課題はなお山積している。そろそろ仕切りなおす時だ。