ざざむし。

シメサバに中ったことがないのでアニサキスを飲んでみた

いまやアニサキスほど有名な寄生虫もいないんじゃないかというくらい有名な困ったちゃん。
サバが有名ではあるけれど、いろんな魚にいるし、イカにだっている。
サバの他によく見るのはタラの仲間やサワラ、サケなど魚食性のものが多いように思う。
タラは肝臓や卵巣の他、みんな大好きな白子にも結構ついているのをパック越しでもよく見かけるが、加熱して食べるものだから全く問題ない。
サワラなんかは一腹から300匹くらい出たことがある。
タラは勿論、ブリやハタなど大型化する魚などでは胃壁に僅かな色の違和感があるところがあれば、切開すると大抵アニサキスがセットアップされている。
サバの場合はむしろそんなに見たことがなくて、いても一腹に20匹くらいだろうか。
イカの中ではスルメイカが断トツで多く、開くと内側の薄皮の下の肉に部屋を開けて不法滞在している。

これら魚介類に偏って多いのはアニサキスの生活環が影響しているものと思う。
アニサキスはクジラやイルカなどの海獣の中でしか成虫になれないとされている。
そこで卵が糞に混ざって海に放出され、それをプランクトンやイワシが食べる。
そのプランクトンやイワシを食べる魚が上記で挙げたような魚食性の魚介類。
魚介類の中で幼虫が成長し、再びクジラなどに食べられて成虫になり繁殖する時を待っている。

食卓で我々の前に並んでしまった彼らは、いわば
快適な部屋から出もせずオトナになることを悶々と夢みながら、生涯を終える魔法使いだ。
そりゃヒトの胃袋に入ったら居心地悪いわオトナになれないわでキレもするわw
アニサキス01そんなアニサキスきゅんですが、釣ったスルメイカを今朝開いてみたらアパートができてるではないですか。
むしろ移動要塞か。

アニサキス021杯のスルメイカから戦闘兵が11匹出てきました。
すぐ丸まってしまうのですが、水滴を落としてやるとすごく元気に動き出します。
想像でしかないんだけど、ヤリイカやジンドウイカに比べてスルメはカタクチイワシなどを食べることが多くて、しかも体のわりに口が大きく一噛みが大きいことでアニサキスが死なないまま生物間を移動しやすいんじゃなかろうか。
いない時は全然いないが、いる海域ではいつも5~6匹いるのはザラで、多いと20匹近く入ってる。
スルメイカの刺身に飾り包丁を入れるのは、噛み切り易く甘味を引き出す他に、アニサキスに当たる確率を少しでも下げる保険ではないかと思ってる。
(心配な人は冷凍スルメイカを買えばいいと思うよ)

さて、このアニサキスきゅん。
部屋から出たことがないおぼっちゃんなので想定外の熱さ寒さには耐えられません。
上は70℃で瞬殺、下は-20℃24時間で凍死します。
しかし逆を言えばその間ならば、早く死ねと思っていてもなかなか死なないしぶとい奴なのです。
母ちゃんに領土侵攻されないので酸っぱいニオイのする部屋でも慣れっこ
・・・な訳ではなく、食われて育つ生き方なので、通過点の胃酸に強くて当然。
M気質か。
酢の中でも丸1日平気で生きられるそうです。
だからシメサバでも当たる人が多いということらしい。

でも、私中ったことないんですよね。
年に何回かは美味しいシメサバを食べないと死んじゃう病なんですけど。
食べる時は一食で3匹とか食べちゃうくらいなんですよ。
中らないのであまり考えたことがなかったけど、ふと思ったんですよ。
よっぽど筋肉の奥にいなきゃ中らないんじゃね?

自分のシメサバの作り方は
鱗とって3枚にした新鮮なサバの腹骨を漉き取り、小骨を抜いたら真っ白になるくらい塩をして30分冷蔵庫へ。
酢で表面を一度洗って、その時の好みの酢で30分漬けるだけ。日によっては15分。
(酢は二杯酢だったり柚子酢だったりレモンだったりイロイロ。)
最後に透明な皮だけ一気に剥いて、切りつけて終わり。
表面がほんのり白くなるだけで青臭いミルクみたいな特有のニオイが飛ぶから、酢の効果はそれだけで十分。
むしろ、塩でしっかり水分を抜いて締めるほうに重点を置いています。

つまり、いくらアニサキスとはいえ原始的な生物なんです。
浸透圧には勝ててないんじゃね?
生存可能温度を見てもクマムシほどの耐久力がある訳でもなし。

ということで、いつもシメサバを作っている手順に沿って試してみました。
まず比較対照に左右に分けます。
アニサキス03左にはただの食酢(酢酸4.2%)
右は塩と水で飽和食塩水状態に。
アニサキス04
~このまま30分放置~

あまり変化は見られませんが、酢のほうはつつくとウネウネしたり丸まったりします。
飽和食塩水のほうは・・・
アニサキス05取り出してみても動かないですね。
元々細いからか、あまり細くなったようにも見えません。
塩をかけた時に伸びたまま固まったような印象です。
でもこの後に酢をかけて復活したら意味がないですね。
食塩水をふき取り、洗ったアニサキスに左と同じ食酢をかけ、更に30分放置。
アニサキス08左は元気に生きてますね。アニサキス07右は・・・やっぱり動かないです。
ほんとに死んだのか?
ここまできたら、最後まで試してみるしかないですね。
いただきま~す。
右の4匹を噛まずに飲み込んでみました。

通常なら2~8時間くらいで消化管内のどこかに食い込んで症状が出るのが普通みたいですが、これを書いてる時点で12時間以上は経過していますから、多分、本当に死んだんじゃないかなぁ。
ニートでM素質ありつつキレ易いアニサキスきゅんは塩でなんとかなっちゃうナメクジ野郎でした。

1回ではまだ確信できないし、今回はスルメイカに入ってたやつだったから、今度サバやサワラのアニサキスでも試してみないとね。
ついでに同じ症状が出る元気なシュードテラノーパがいたら同様にやってみようと思う。
成功したとしても、あくまでも塩の影響を与えられる範囲内にいる個体にしか通用しないということは誤解なきよう。
たまたま筋肉の奥にいたらアウトでしょうし、表面でも軽い振り塩くらいでは出てくる水分で薄まって死なないんじゃないかなぁ。

ちなみに左の酢に入れたほうはいつまで生きてるかと思ったのですが、外出して4時間後に帰ってきたら
アニサキス09干からびてましたw
こなぷんやぷちサンプルのマロニーちゃんくらいには使えそうだけど・・・さすがにイラネ。

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Comments & Trackbacks

  • コメント ( 2 )
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  1. 私もシメサバ大好きですが、シメサバ3匹分なんてパラダイスは経験したことがありません。
    たっぷりの塩で30分ですね。よしっ

コメントしたければしてもいいのよ?

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