pairsのeureka、チケットキャンプのフンザ、両CTOが語る急成長サービスを支えるチーム作りとは?
- 2015.12.21
- Event
- by Ichiro Shoda

2015年3月に、mixiグループに仲間入りしたフンザと、5月に米国に本社を置くIACグループにジョインしたエウレカの両CTOのトークセッションを行いました!親会社とのやりとり、メンバーのモチベーション変化などは?急激に成長するサービスを支えるためにCTOのあるべき姿や、開発体制の変遷等を中心に話しました。
株式会社エウレカ 執行役員CTO 石橋 準也
2006年、大学入学と同時に、Webの受託会社にWebエンジニアとして入社。学部2年時に当時大学で専攻していた建築よりもITの方が面白いと考え大学を中退。以降エンジニアリングに専念し業務を行うかたわら、個人でもWebシステムの開発案件を請け負う。その後、転職しIT・物流・CSの統括マネージャー 兼 自社サービスのWebプロデューサーとして幅広い業務を経験。2013年7月、株式会社エウレカに入社。オンライン・デーティング・サービス『pairs』のリードエンジニアを経て、2014年7月、執行役員CTOに就任。
株式会社フンザ 取締役CTO 酒徳 千尋
1978年12月生まれ。2007年からウノウに参画。ケータイミニブログgumiや、まちつく!等のウノウ、Zynga Japanのサービスの開発・運用に関わる。2013年3月に代表の笹森と共に株式会社フンザを設立し『チケットキャンプ』を開発。使いやすいWebサービス、人のためになるWebサービスを作ることが目標なので、最新技術やトレンドを追いかけるハッカーやギークではないと思っている。
Q1.ぶっちゃけ、親会社とはどうなの?
石橋:「英語を除けば理想の親会社」
IACはNYに本社のあるグローバル企業なので、英語でのやりとりが必須。英語が苦手な自分はきつい。しかし、それ以外はそれほど変わったことは無く独立して経営を行えている。
酒徳:「カルチャーショック」
ジンガに買収された時と比べて、カルチャーショックが大きかった。ただ、個人的にはmixiによる買収はプラスの面が大きいと感じている。ジンガは色々自社の文化を押し付けてきたが、mixiはフンザのチームを尊重してくれる。USとJAPANの違いなのかなぁとも思う。自分自身は、キャリアの中で一番満足している。満足していない人は、やはり親会社からのシステム関連の縛りが面倒になったと。
Q.エウレカはシステム回りで面倒なことは?
石橋:システム回りでいうと、サービスの有料会員数等の数値報告をシステム連携する必要がある。ただ実はまだ自動化できていなくて僕が毎日システムから抽出してExcelに貼り付けてメールで送っている状態(笑)
システムとは話がずれるが、財務回りの方はUS GAAP(米国会計基準)に合わせる必要があり大変。
Q.ジンガに押し付けられて辛かったことは?
酒徳:一ヶ月間のハッカソンをやらされたことかな(笑)
今までやってきたことを全て中断させて、親会社の色に染めようというやり方は上手くいかなかったのかなと。
Q.M&Aに向けて事前準備してきたことは?
石橋:M&Aの直前期は、メンバーに英語超重要だよって言っていたこと(笑)
もう一つは、事業をグローバル展開するためには、そのノウハウがある海外の企業と手を組むこともあるかもしれない、と言うのを伝えていた。
酒徳:エンジニアとしては特別な準備はしていない。セキュリティ方面の審査が面倒だった。メンバーに買収を伝えれない中で、メンバーのPCにインストールされているソフトをリスト化したり(笑)
Q.親会社がいるからこそ出来ることは?
石橋:現状は特にない。今後は技術交流を図っていきたいと思っている。特にインフラ周り。数千万・数億の人たちが利用するサービスを運営している人達なので。後は細かい所で言うとデータベーススキーマどうしているの?とか(笑)オンライン・デーティング・サービスならではのDB設計に関する悩みとかあるので、そう言うのは聞いてみたいです。
酒徳:協業とかは思ったより少なかった。人材買収、チーム買収といった意味合いも強かったのかなと。ゲームなどのサービスは、いつかは飽きられるときが来るもの。そういったときに、新しい市場を攻めていく人材として、必要とされている部分もあるのだと思う。
Q2.開発チームとしての理想の形は?
石橋「メンバーのレベルとフェーズによって異なる」
もちろん理想を言えば、事業理解があり、自発的にインパクトのある施策を考えることができ、開発にオーナーシップを持って取り組むことできるクリエイターの集まりだと思う。こういうメンバーだけでやれればそれはスピーディーだしストレスレスなのは間違いない。
一方、エウレカのような元々がインターン生が中心だった開発チームでメンバーのレベル感が異なったり、急激に事業がスケールしているこのタイミングで考えると、そうも言っていられない。なのでフェーズやメンバーのレベル感によって理想形は異なり、その時々で最善のチーム作りをしていく必要がある。
酒徳「軸がぶれない」
エンジニアが現状5人しかいない(笑)
目標としては軸がぶれないこと。これまで培ってきたカルチャーや目標だけはずらしたくない。新しい柱となるような事業開拓を求められて買収されているので、元々持っていた攻める軸を大切にしたい。
Q.現状のエンジニア50人ぐらいに至るまで大変だったことは?
石橋:スケールする体制作り。具体的には開発メンバーの増加に耐える開発環境や開発手法の整備。人が増えてくると1+1が2にならなくなるので1+1=2にするのに苦労した。更に次のフェーズとして1+1>2になるような体制作りがあるが、それが出来るエンジニアを時間を掛けて口説いた。
Q.話は変わりますが、なぜGo言語を?
石橋:Goがやりたいというより、フルスクラッチ開発による技術的負債の解消がそもそもの目的。その上でPHPを使い続けるのか問題が出て、PHPはサービスをスピーディーに立ち上げ成長させるには人材確保の観点からも良い言語だと思うが、大規模サービス・大規模開発を行う上では色々と辛みが生じる。それを解消できる言語として、GoとかScalaが候補に上がった。エウレカとしての技術ブランディングの意味合いも含めて最終的にGo言語を採用した。
Q.フルスクラッチは大変だと思うけど、アドバイスは?
石橋:まずは当然、やる意味があるか見つめ直す。
その上でやるなら、プロダクション環境に出るのがだいぶ後になるという意識で開発者も開発をするので、当然不具合がたくさん発生する。結果として検証と開発の工数が1対1になる。この辺りを考慮したプロジェクトマネジメントがとても大事になると思う。
Q.会社としての文化とかは?
石橋:エウレカはどちらかと言えばエンジニアもビジネスマインドによっている。日本的なエンジニアっぽいカルチャーの作り方をしていて成功している会社ってあんまりないかなと僕は思っており。
酒徳:基本的に創業当時のメンバーの気質が反映されているのかなぁと。特徴で言えば、朝は厳しい。朝来れない人がきちんとした文化を作れる訳がないと思っている。
ただ、職人気質の人が多いのかなとも思う。朝会が終わった後は、ひたすら無言でPCに向かってとか(笑)
Q3.CTOとしての役割は何だと思いますか?
酒徳 「土台」
柱、土台、空気とか色々考えた。
カスタマーにサービスを届けることの根本であるから、そのために環境面、フレームワーク、コミュニケーションなど、全てにおいて土台にならなければいけない。
石橋 「プロダクトの品質を技術面で担保する」
これも実際はフェーズやどういうメンバーが社内にいるかによって変わると思っている。ただ今のエウレカで言えば「プロダクトの品質を技術面で担保する」だと思っている。
エウレカはテクノロジーカンパニーではないので、技術そのものが事業の差別化に結びつく訳ではない。あくまで事業面及び組織面にどうやって技術で貢献するかということを考えている。そして事業としての成長はマーケティング力 x プロダクト力 x マネタイズ力、この3要素の掛け算によってなされるものだと思っている。
この内プロダクト力はプロダクトとして真にどんな価値を提供しているかというValue Propositionとプロダクトのクオリティの2つに別れる。プロダクトのクオリティとは「UI」と広義の意味でのUXを向上していくことで改善されるものであり、テクノロジー/エンジニアリングではその後者を担保することができると思っている。だからここを担保するために質の高いプロダクトをスピーディーに開発・運用できる環境を維持し続けるのが仕事。その為にダイレクトに結びつく所では、動線設計・画面設計、インフラのパフォーマンス改善、フロントエンドの最適化、もう少し離れると開発タスクの優先順位付けや開発フローの刷新、更に間接的になるとエンジニアの採用やその為のブランディング、カルチャー作りなど組織面の方まで含まれてくると思う。そして重要なのはこれを全部CTOがやる必要があるのではなくて、あくまで最終的な責任を持つだけで、フェーズが変わってきたらそれぞれが得意な人を採用し任せる、パフォーマンスを発揮するための土台を築くなどしていく。そうしないと事業の拡大に対して自分がボトルネックになっていく。
Q.CTOとして技術とマネジメントや事業とかビジネスのマインド考え方の切り替えには苦労しないのか?
石橋:前職でも常に技術とそれ以外の何かを並行して考えることが多くて当時は苦労したが、今は切り替えに苦労するとかは無い。慣れだと思う。
酒徳:そもそも技術やプロダクトの品質といったところ以外見ていないです(笑)まだ小さな段階だから、役割分担が必要だと思っている。サービスの品質とか安定してサーバーが動くとかは、僕が担っている。ビジネス的な部分は、(フンザCEOの)笹森の担当。
会場質問
Q1.買収によって人が抜けたり入ったりして、メンバーのモチベーションが下がった時に自分はどうしたらいいか?
酒徳:会社全体、チーム全体として目標を統一する。
Q.そういう時の目標設定の立て方は?
酒徳:売り上げだった。売り上げがやはり一番いいのかなと思う。
石橋:モチベーションが下がる=停滞している空気感があるということ。事業が順調に伸びていればやはりモチベーションも上がる。
問題は、事業が伸びない時にどうするか。その為に組織を強化しておく必要があると思っている。マネジメントラインを機能するようにしておくとか、カルチャー浸透を大切にするとか。
Q2.採用面に関して、もしお金も権力もあったとして、こんなやつがいたら口説きたいというエンジニアの要件は?
石橋:技術力は伸びしろがあれば補えると思っているので、カルチャーに合うかとかビジネスマインドを強く持っているかとかになる。
技術力の伸びしろは、例えばアーキテクチャの質問をして、自分なりの答えを持っていたり考えていたりするかどうかで見たりする。
酒徳:アーキテクチャに関して、自分の理想像とかを語れる人はいいなあと思う。後は尊敬するプログラマ、ハッカーがいるとか。自分の目標とかロールモデルがいる人の方が、アンテナの高さとかがあっていいと思う。
Q.逆にこれがあるエンジニアはとりたくない
酒徳:困難に直面した時に、泣き言を言う、愚痴を言う、そういった人は一緒に仕事をしていて楽しくない。例えばTwitterに陰で書き込むとか。
自分自身も昔は書いていたけれども、結局Twitterとかに愚痴とかを書いても物事の解決には向かわないので。
石橋:環境を自分で作っていこうとしない人の採用は慎重になる。できない理由を探す人よりは出来る理由を考える人と一緒に仕事したいし、そう言う人は環境を自分でつくるし、その分伸びると思う。
また、エウレカのカルチャーから考えて、コード書くことにしか興味がないみたいなgeek気質の方は基本現状のエウレカでは採用しない。
Q.具体的に一時間ぐらいの面接の中で、必ず聞く質問は?
石橋:目標を達成した経験・逆に達成できなかった経験と、その原因を聞く。
その時に達成できなかったことがあり、その原因を環境のせいにする人は伸びない可能性が高いと思う。
酒徳:冷や汗をかいた経験は?そこからリカバリーした経験は?とかですかね。
Q3.ユーザードリブン、toCのサービスを運営する上で、エンジニアとユーザーのコミュニケーションはどのように担保していますか?
石橋:pairsは実際に付き合うことになったカップルや結婚した方とかのコメントを紹介したり、実際に会社に来ていただいたりすることもある。
App StoreやGoogle Playのコメントを月一の全社会議で見せたりとかもする。
酒徳:特別なことはしていない。
今売れているチケットのランキングを知らせたりとか、熱量を感じることができる情報は流している。自分がユーザーになることも大切。
あとがき
春先にM&Aがあり、そこから更に事業としての成長を遂げているeurekaとフンザ。CTOとして求められる役割は多様ですが、お二人は自らが担うべき役割を自覚し、確信を持って責務を全うしていること、技術的な課題に対してのみならず、精神的にもメンバーを支えるお二人なのだなと感じました。
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- 2015.12.21
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2015年3月に、mixiグループに仲間入りしたフンザと、5月に米国に本社を置くIACグループにジョインしたエウレカの両CTOのトークセッションを行いました!親会社とのやりとり、メンバーのモチベーション変化などは?急激に成長するサービスを支えるためにCTOのあるべき姿や、開発体制の変遷等を中心に話しました。
株式会社エウレカ 執行役員CTO 石橋 準也
2006年、大学入学と同時に、Webの受託会社にWebエンジニアとして入社。学部2年時に当時大学で専攻していた建築よりもITの方が面白いと考え大学を中退。以降エンジニアリングに専念し業務を行うかたわら、個人でもWebシステムの開発案件を請け負う。その後、転職しIT・物流・CSの統括マネージャー 兼 自社サービスのWebプロデューサーとして幅広い業務を経験。2013年7月、株式会社エウレカに入社。オンライン・デーティング・サービス『pairs』のリードエンジニアを経て、2014年7月、執行役員CTOに就任。
株式会社フンザ 取締役CTO 酒徳 千尋
1978年12月生まれ。2007年からウノウに参画。ケータイミニブログgumiや、まちつく!等のウノウ、Zynga Japanのサービスの開発・運用に関わる。2013年3月に代表の笹森と共に株式会社フンザを設立し『チケットキャンプ』を開発。使いやすいWebサービス、人のためになるWebサービスを作ることが目標なので、最新技術やトレンドを追いかけるハッカーやギークではないと思っている。
Q1.ぶっちゃけ、親会社とはどうなの?
石橋:「英語を除けば理想の親会社」
IACはNYに本社のあるグローバル企業なので、英語でのやりとりが必須。英語が苦手な自分はきつい。しかし、それ以外はそれほど変わったことは無く独立して経営を行えている。
酒徳:「カルチャーショック」
ジンガに買収された時と比べて、カルチャーショックが大きかった。ただ、個人的にはmixiによる買収はプラスの面が大きいと感じている。ジンガは色々自社の文化を押し付けてきたが、mixiはフンザのチームを尊重してくれる。USとJAPANの違いなのかなぁとも思う。自分自身は、キャリアの中で一番満足している。満足していない人は、やはり親会社からのシステム関連の縛りが面倒になったと。
Q.エウレカはシステム回りで面倒なことは?
石橋:システム回りでいうと、サービスの有料会員数等の数値報告をシステム連携する必要がある。ただ実はまだ自動化できていなくて僕が毎日システムから抽出してExcelに貼り付けてメールで送っている状態(笑)
システムとは話がずれるが、財務回りの方はUS GAAP(米国会計基準)に合わせる必要があり大変。
Q.ジンガに押し付けられて辛かったことは?
酒徳:一ヶ月間のハッカソンをやらされたことかな(笑)
今までやってきたことを全て中断させて、親会社の色に染めようというやり方は上手くいかなかったのかなと。
Q.M&Aに向けて事前準備してきたことは?
石橋:M&Aの直前期は、メンバーに英語超重要だよって言っていたこと(笑)
もう一つは、事業をグローバル展開するためには、そのノウハウがある海外の企業と手を組むこともあるかもしれない、と言うのを伝えていた。
酒徳:エンジニアとしては特別な準備はしていない。セキュリティ方面の審査が面倒だった。メンバーに買収を伝えれない中で、メンバーのPCにインストールされているソフトをリスト化したり(笑)
Q.親会社がいるからこそ出来ることは?
石橋:現状は特にない。今後は技術交流を図っていきたいと思っている。特にインフラ周り。数千万・数億の人たちが利用するサービスを運営している人達なので。後は細かい所で言うとデータベーススキーマどうしているの?とか(笑)オンライン・デーティング・サービスならではのDB設計に関する悩みとかあるので、そう言うのは聞いてみたいです。
酒徳:協業とかは思ったより少なかった。人材買収、チーム買収といった意味合いも強かったのかなと。ゲームなどのサービスは、いつかは飽きられるときが来るもの。そういったときに、新しい市場を攻めていく人材として、必要とされている部分もあるのだと思う。
Q2.開発チームとしての理想の形は?
石橋「メンバーのレベルとフェーズによって異なる」
もちろん理想を言えば、事業理解があり、自発的にインパクトのある施策を考えることができ、開発にオーナーシップを持って取り組むことできるクリエイターの集まりだと思う。こういうメンバーだけでやれればそれはスピーディーだしストレスレスなのは間違いない。
一方、エウレカのような元々がインターン生が中心だった開発チームでメンバーのレベル感が異なったり、急激に事業がスケールしているこのタイミングで考えると、そうも言っていられない。なのでフェーズやメンバーのレベル感によって理想形は異なり、その時々で最善のチーム作りをしていく必要がある。
酒徳「軸がぶれない」
エンジニアが現状5人しかいない(笑)
目標としては軸がぶれないこと。これまで培ってきたカルチャーや目標だけはずらしたくない。新しい柱となるような事業開拓を求められて買収されているので、元々持っていた攻める軸を大切にしたい。
Q.現状のエンジニア50人ぐらいに至るまで大変だったことは?
石橋:スケールする体制作り。具体的には開発メンバーの増加に耐える開発環境や開発手法の整備。人が増えてくると1+1が2にならなくなるので1+1=2にするのに苦労した。更に次のフェーズとして1+1>2になるような体制作りがあるが、それが出来るエンジニアを時間を掛けて口説いた。
Q.話は変わりますが、なぜGo言語を?
石橋:Goがやりたいというより、フルスクラッチ開発による技術的負債の解消がそもそもの目的。その上でPHPを使い続けるのか問題が出て、PHPはサービスをスピーディーに立ち上げ成長させるには人材確保の観点からも良い言語だと思うが、大規模サービス・大規模開発を行う上では色々と辛みが生じる。それを解消できる言語として、GoとかScalaが候補に上がった。エウレカとしての技術ブランディングの意味合いも含めて最終的にGo言語を採用した。
Q.フルスクラッチは大変だと思うけど、アドバイスは?
石橋:まずは当然、やる意味があるか見つめ直す。
その上でやるなら、プロダクション環境に出るのがだいぶ後になるという意識で開発者も開発をするので、当然不具合がたくさん発生する。結果として検証と開発の工数が1対1になる。この辺りを考慮したプロジェクトマネジメントがとても大事になると思う。
Q.会社としての文化とかは?
石橋:エウレカはどちらかと言えばエンジニアもビジネスマインドによっている。日本的なエンジニアっぽいカルチャーの作り方をしていて成功している会社ってあんまりないかなと僕は思っており。
酒徳:基本的に創業当時のメンバーの気質が反映されているのかなぁと。特徴で言えば、朝は厳しい。朝来れない人がきちんとした文化を作れる訳がないと思っている。
ただ、職人気質の人が多いのかなとも思う。朝会が終わった後は、ひたすら無言でPCに向かってとか(笑)
Q3.CTOとしての役割は何だと思いますか?
酒徳 「土台」
柱、土台、空気とか色々考えた。
カスタマーにサービスを届けることの根本であるから、そのために環境面、フレームワーク、コミュニケーションなど、全てにおいて土台にならなければいけない。
石橋 「プロダクトの品質を技術面で担保する」
これも実際はフェーズやどういうメンバーが社内にいるかによって変わると思っている。ただ今のエウレカで言えば「プロダクトの品質を技術面で担保する」だと思っている。
エウレカはテクノロジーカンパニーではないので、技術そのものが事業の差別化に結びつく訳ではない。あくまで事業面及び組織面にどうやって技術で貢献するかということを考えている。そして事業としての成長はマーケティング力 x プロダクト力 x マネタイズ力、この3要素の掛け算によってなされるものだと思っている。
この内プロダクト力はプロダクトとして真にどんな価値を提供しているかというValue Propositionとプロダクトのクオリティの2つに別れる。プロダクトのクオリティとは「UI」と広義の意味でのUXを向上していくことで改善されるものであり、テクノロジー/エンジニアリングではその後者を担保することができると思っている。だからここを担保するために質の高いプロダクトをスピーディーに開発・運用できる環境を維持し続けるのが仕事。その為にダイレクトに結びつく所では、動線設計・画面設計、インフラのパフォーマンス改善、フロントエンドの最適化、もう少し離れると開発タスクの優先順位付けや開発フローの刷新、更に間接的になるとエンジニアの採用やその為のブランディング、カルチャー作りなど組織面の方まで含まれてくると思う。そして重要なのはこれを全部CTOがやる必要があるのではなくて、あくまで最終的な責任を持つだけで、フェーズが変わってきたらそれぞれが得意な人を採用し任せる、パフォーマンスを発揮するための土台を築くなどしていく。そうしないと事業の拡大に対して自分がボトルネックになっていく。
Q.CTOとして技術とマネジメントや事業とかビジネスのマインド考え方の切り替えには苦労しないのか?
石橋:前職でも常に技術とそれ以外の何かを並行して考えることが多くて当時は苦労したが、今は切り替えに苦労するとかは無い。慣れだと思う。
酒徳:そもそも技術やプロダクトの品質といったところ以外見ていないです(笑)まだ小さな段階だから、役割分担が必要だと思っている。サービスの品質とか安定してサーバーが動くとかは、僕が担っている。ビジネス的な部分は、(フンザCEOの)笹森の担当。
会場質問
Q1.買収によって人が抜けたり入ったりして、メンバーのモチベーションが下がった時に自分はどうしたらいいか?
酒徳:会社全体、チーム全体として目標を統一する。
Q.そういう時の目標設定の立て方は?
酒徳:売り上げだった。売り上げがやはり一番いいのかなと思う。
石橋:モチベーションが下がる=停滞している空気感があるということ。事業が順調に伸びていればやはりモチベーションも上がる。
問題は、事業が伸びない時にどうするか。その為に組織を強化しておく必要があると思っている。マネジメントラインを機能するようにしておくとか、カルチャー浸透を大切にするとか。
Q2.採用面に関して、もしお金も権力もあったとして、こんなやつがいたら口説きたいというエンジニアの要件は?
石橋:技術力は伸びしろがあれば補えると思っているので、カルチャーに合うかとかビジネスマインドを強く持っているかとかになる。
技術力の伸びしろは、例えばアーキテクチャの質問をして、自分なりの答えを持っていたり考えていたりするかどうかで見たりする。
酒徳:アーキテクチャに関して、自分の理想像とかを語れる人はいいなあと思う。後は尊敬するプログラマ、ハッカーがいるとか。自分の目標とかロールモデルがいる人の方が、アンテナの高さとかがあっていいと思う。
Q.逆にこれがあるエンジニアはとりたくない
酒徳:困難に直面した時に、泣き言を言う、愚痴を言う、そういった人は一緒に仕事をしていて楽しくない。例えばTwitterに陰で書き込むとか。
自分自身も昔は書いていたけれども、結局Twitterとかに愚痴とかを書いても物事の解決には向かわないので。
石橋:環境を自分で作っていこうとしない人の採用は慎重になる。できない理由を探す人よりは出来る理由を考える人と一緒に仕事したいし、そう言う人は環境を自分でつくるし、その分伸びると思う。
また、エウレカのカルチャーから考えて、コード書くことにしか興味がないみたいなgeek気質の方は基本現状のエウレカでは採用しない。
Q.具体的に一時間ぐらいの面接の中で、必ず聞く質問は?
石橋:目標を達成した経験・逆に達成できなかった経験と、その原因を聞く。
その時に達成できなかったことがあり、その原因を環境のせいにする人は伸びない可能性が高いと思う。
酒徳:冷や汗をかいた経験は?そこからリカバリーした経験は?とかですかね。
Q3.ユーザードリブン、toCのサービスを運営する上で、エンジニアとユーザーのコミュニケーションはどのように担保していますか?
石橋:pairsは実際に付き合うことになったカップルや結婚した方とかのコメントを紹介したり、実際に会社に来ていただいたりすることもある。
App StoreやGoogle Playのコメントを月一の全社会議で見せたりとかもする。
酒徳:特別なことはしていない。
今売れているチケットのランキングを知らせたりとか、熱量を感じることができる情報は流している。自分がユーザーになることも大切。
あとがき
春先にM&Aがあり、そこから更に事業としての成長を遂げているeurekaとフンザ。CTOとして求められる役割は多様ですが、お二人は自らが担うべき役割を自覚し、確信を持って責務を全うしていること、技術的な課題に対してのみならず、精神的にもメンバーを支えるお二人なのだなと感じました。
エウレカでは、一緒にアジアに挑戦していただけるエンジニアを募集しています。詳しくはこちらから!
eureka Advent Calender 実施中です。Go言語関連を始めとして、大規模サービス特有の事例、Tipsを共有しています!
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