日韓協定、個人の請求権判断へ 23日
【ソウル米村耕一】韓国憲法裁判所は21日、日本の植民地時代に徴用された韓国人男性の遺族が1965年の日韓請求権協定は韓国憲法に違反すると訴えた訴訟について23日に判断を下すと発表した。判断の内容によっては日韓関係に否定的な影響を与える可能性がありそうだ。
日韓国交正常化の際に締結された請求権協定には、日本が韓国に経済協力を行うこととともに、韓国政府および韓国人の個人の請求権は「完全かつ最終的に解決された」と明記されている。遺族は2009年に訴訟を起こし、この条項によって「個人が日本政府および日本企業に対して財産権を主張できないようになっており、個人の財産権を侵害している」と主張している。
日本政府は協定によって日本政府や日本企業に補償や賠償の義務はないとの立場だ。韓国政府も徴用工の動員については協定によって解決済みとの基本的立場を取ってきた。
しかし、12年に韓国の最高裁判所が「個人の賠償請求権は消滅していない」との判断を下し、韓国司法と日本政府の立場が明確に対立する状況となり、その後に下級審で日本企業に賠償を命じる判決が相次ぐ事態となっている。憲法裁の判断によっては、韓国で日本企業、さらには日本政府を相手取った訴訟がさらに勢いづく可能性がある。