猫に小判

❝清水エスパルス❞のサッカー/"清水のサッカー"という幻想を追い求めた大榎克己と幻想に悩まされた田坂和昭

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話を始める前に、まずこの記事を読んでいるエスパルスサポの方に質問します。

「清水のサッカー」って何ですか?

では、この記事を読むエスパルス以外のサポ、他サポの方に聞きます。

あなたの応援しているチームのサッカーって何ですか?

何が言いたいかというと、まず「清水、静岡」にとってのサッカーとは何か。「清水エスパルス」にとってのサッカーとは何か。またこの2つに違いはあるのか。

例えば「ガンバ大阪のサッカー」はあっても、「大阪、吹田のサッカー」はあるだろうか。マリノスのサッカーはあっても、横浜や神奈川のサッカーって言われて、あなたは答えられるだろうか。

「清水のサッカー」と聞かれて何を思い浮かべるか。テクニックに優れた選手が集まり、華麗でブラジルのようなサッカーと思い浮かべる人が多いと思う。第29回のフットボールサミット内では、「パスサッカーとサイド攻撃」と書かれている。サッカーにおいて清水という地域は、サッカーの価値観や環境、スタイルが存在する特別な場所なのだ。しかし、今回の降格はこの「”かつての”清水のサッカー」が幻影となり、悩ましてきた。


■追い求めた大榎克己 大榎克己が求めた「清水エスパルスのサッカー」 かつて高校サッカーの頂点に君臨した清水のテクニカルなスタイルは、大榎自身がプレーヤーとして体現し、成功を収めたものだ。しかし、そのスタイルは”かつての”スタイルであり、三羽烏が頂点に立ってから30年以上もたっている。これまでデータを用いて、現代サッカーの特徴は非常に革新的であると表された。つい2,3年前のスタイルでさえ時代遅れとされるのだから、30年も前のスタイルなどもはや論外である。

では、大榎の目指したスタイルは何か。そこをじっくり解き明かしていきたい。

大榎の掲げたサッカーが理想に近く映し出されたゲームは、1stステージ14節川崎戦(5-2)やナビスコカップの神戸戦(2-1)、敗れはしたもののナビスコカップ名古屋戦の前半(1-2)が挙げられる。いずれの試合も、崩しにおいてはパスとドリブルといった個人技が中心である。 この3試合のシステムは3-5-2であり、中盤は逆三角形の形だ。

この形において重要になるのは、中盤のトライアングル。前の2人は2トップと連動して崩しに全力を尽くす。そしてアンカーには前線の4人にボールを配給するパサーが控える。特に竹内が入ったときは、主にセンターサークル内でプレーし、3バックと前線を繋ぐリンクマンとして振る舞う。かつてのグアルディオラを彷彿させた。「ボールを保持している限り、守備をする必要はない」という考えの持ち主であった大榎なら、理に適う起用法である。

大榎にとっての理想のサッカーでは、前の4人と、中盤のトライアングルの2つのユニットが常に連動して成り立つスタイルである。ここの秩序が保たれていなければ、チームそのものが決壊する。

ナビスコの2試合では、前線のカルテットにはアイデアと機動力に優れる選手の起用だった。例えば、中盤にはドリブラーの金子や、水谷という機動力を併せ持つ選手を起用している。このポジションはトップ下ではない。あくまでセンターハーフだ。しかし大榎がこのポジションにそういったタイプの選手を置くというのは、攻撃において、特に崩しには選手の創造性をフルに生かしたいという意向が表れていた。

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なかなか届かないタイトル。でも、優勝したときの歓喜は言葉には表現できないだろう。それを味わいたい。だから思う。清水エスパルスと共にタイトルを手にしたい。
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(12月22日現在)

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