札幌市の路面電車(市電)のループ(環状)運行が始まった20日、「一番電車」に乗った。早朝にもかかわらず、車内は多くの市民や鉄道ファンで混雑し、熱気がこもっていた。札幌駅前通を42年ぶりに電車が走行すると、沿道の市民や報道陣からたくさんのフラッシュがたかれた。
乗車したのは午前6時、中央図書館前停留場発の外回り(時計回り)の始発。3両編成の電車は満員で、立っている乗客の肩が触れあうほどだった。
西4丁目停留場から乗車すると、電車はすぐに交差点を大きく曲がり、札幌駅前通を南下した。狸小路商店街のアーケードやススキノ交差点のウイスキーの大看板が窓越しに見えた。いつも見慣れた札幌都心部の風景が新鮮に感じられた。
多くの乗客が、スマートフォンやカメラで車窓風景を撮影していた。世界各地の路面電車に乗るのが趣味という名古屋市の服部重敬(しげのり)さん(61)は「始発電車に乗れて満足。やっぱり路面電車はいいね」と、貴重な瞬間をかみしめるように話した。
約400メートルの開通区間は約6分で通過。さらに南へ進み、東本願寺前停留場で降りて、沿線で取材を続けた。
西4丁目の交差点では、歩行者の安全を確保するため、職員が「電車が来ますよ」と大きな声で注意を呼びかけていた。それでも中央分離帯から写真撮影する人は後を絶たなかった。
電車は終日混雑し、駅前通沿いの歩道も、いつもの日曜をはるかにしのぐ人通りだった。(須田幹生)