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介護休業を分割で取得可能に 制度の見直しを
12月21日 17時18分

介護休業を分割で取得可能に 制度の見直しを
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介護を理由に仕事を辞める「介護離職」をなくそうと、厚生労働省の審議会は、介護休業を利用しやすくするため分割して取得できるようにするなど、制度の見直しを求める報告書を取りまとめました。
厚生労働省によりますと、家族を介護するために仕事を辞める「介護離職」は年間およそ10万人に上る一方、家族1人につき最長で93日間取得できる「介護休業」の利用率は3%余りにとどまっています。
こうした状況を受け、労使の代表が参加する厚生労働省の審議会は、仕事と介護を両立できるよう制度の見直しについて議論を進め、21日に報告書を取りまとめました。
それによりますと、介護休業は原則1回しか取れないため、より大変な時期に備えて取得をためらうケースが多いということで、分割して取得することを認めるべきだとしています。具体的には、在宅での介護から施設へ移る場合の準備や病院の入退院、みとりの時期など状況に応じて3回まで分割取得できるようにするとしています。また、年に5日取得できる「介護休暇」についても利用しやすいよう、半日から取れるようにしたり、介護をしながら働く人の残業を免除したりすることが盛り込まれました。
介護の制度を巡っては、審議会の別の報告書でも介護休業を取っている間に支給される介護休業給付について、賃金の40%となっている支給額を育児休業と同じ水準の67%に引き上げることが求められています。
厚生労働省は、来年の通常国会に法律の改正案を提出し、こうした報告書を反映させる形で制度を見直すことにしています。

「介護離職」した人は

75歳になる母親の介護をしている埼玉県の和氣美枝さん(44)も6年前に会社を辞めた1人です。和氣さんは、病院のデイケアを利用するなどして働きながら介護をしてきましたが、母親の認知症が進み誤って薬を飲まないようにするなど目が離せなくなりました。和氣さんは介護休業の制度を知らず、介護のため有給休暇などを使っていましたが、体力と精神的な負担が大きくなっていったうえ、職場に迷惑をかけていると感じ、正社員として8年間勤めた会社を退職しました。和氣さんは「突然、介護をしなければならない状況に追い込まれ、介護の手続きの申請を行うたびに会社を休まざるを得なかった。介護休業をうまく活用できれば会社を辞めなくて済む人も増えるのではないか」と話していました。

NPOに寄せられた相談は

介護をしている人を支援する東京のNPOには、仕事を失った人からの相談が数多く寄せられています。
相談の記録には「介護離職したため生活困窮」とか、「離職して3年、現在は父親の年金収入で生活」といった苦しい経済状況をうかがわせる内容が記されています。
「介護離職」するのは40代の独身の人が最も多いということですが、少子高齢化に伴って最近は20代の若い人からの相談も増えているということです。
NPO「介護者サポート ネットワークセンター アラジン」の牧野史子理事長は「育児と違って介護は先が見通せないうえ、介護をしていることを職場で言いにくい雰囲気があることが深刻だ。介護休業を分割して取れるようになると利用しやすくなるとは思うが、そもそも制度を知らない人が多いので、企業が学習する場を設けることも重要だ」と話していました。

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