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世界の平均気温 過去最高を更新の見通し
12月21日 18時50分

世界の平均気温 過去最高を更新の見通し
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ことしの世界の平均気温は、アメリカ西部やインドなどで異常な高温が続いたことなどから、過去最高だった去年を更新し、120年余りの統計で最も高くなる見通しとなりました。
気象庁によりますと、世界各地のおよそ1万点の地上と海面の観測データを分析したところ、ことし1月から先月までの世界の平均気温は平年より0.4度高くなり、これまで最も高かった去年の0.27度を上回り、1891年に統計を取り始めてから最も高くなる見通しとなりました。
ことしは広い範囲で平年より気温が高い状態が続き、特にアメリカでは1月から先月までの平均気温が、ワシントン州のヤキマで3.2度、カリフォルニア州のサンタマリアで2.6度、いずれも平年より高くなるなど、西部を中心に異常な高温となり、各地で干ばつが発生して農作物への被害や森林火災が相次ぎました。
また熱波の影響でインドの中部や南東部では、ことし5月下旬から最高気温が45度を超える日が続き、2300人以上が死亡したほか、パキスタンでも6月に1200人以上が死亡しました。
一方、ことし1月から先月までの日本の平均気温は平年を0.63度上回り、1898年に統計を取り始めてから4番目に高くなる見通しとなりました。
気象庁気候情報課の石原幸司調査官は「地球温暖化の進行に加えて、ことしは顕著なエルニーニョ現象も平均気温を押し上げる要因となった。こうした傾向が続けば、各地で高温や局地的な豪雨など今よりも極端な気象現象が増える可能性がある」と指摘しています。

「ハイエイタス」終わり温暖化加速のおそれ

気象庁によりますと、今世紀に入ってから世界の気温の上昇が鈍くなり、温暖化の進行が停滞する「ハイエイタス」と呼ばれる状態が続いていました。しかし、ことしの平均気温の上昇を受けて専門家は「ハイエイタスが終わった可能性が高く、地球全体で温暖化が加速するおそれもある」と指摘しています。
地球温暖化の目安となる世界の平均気温は、20世紀後半以降上昇傾向が続き、これまでに産業革命前と比べて1度近く上昇し、人間が出す二酸化炭素などの温室効果ガスなどが大きく影響していると考えられています。
しかし、今世紀に入ると世界の気温の上昇は鈍くなり、10年当たりの上昇は僅か0.03度と、温暖化の進行が停滞する「ハイエイタス」と呼ばれる状態が続いてきました。
原因について専門家の多くは、熱の多くが海の深いところで蓄えられ、大気や海水面の温度の上昇を抑えてきたことがあると指摘しています。
東京大学先端科学技術研究センターの中村尚教授によりますと、西太平洋では今世紀のはじめごろから、水深数百メートルの深いところで熱をため込む状況が続き、この影響で温暖化の進行の停滞が続いてきたということです。ところが、中村教授によりますと、最近西太平洋でこの傾向に変化が見られているということです。ことしは南米・ペルー沖の海面水温が平年より高くなるエルニーニョ現象が続いていますが、その際、本来は低くなりやすいはずの、アメリカの西海岸など、広い範囲で海面の温度が上昇しています。中村教授によりますと、エルニーニョ現象をきっかけに西太平洋の水深の深いところで熱を蓄える期間が終わり、熱を蓄えた海水が太平洋のほぼ全域に広がって、広い範囲での海面水温の上昇につながっている可能性があるということです。
中村教授は「ことしの平均気温の状況をみるとハイエイタスが終わった可能性が高い。自然の変動が加われば地球全体で温暖化が加速期に入る可能性もあり、豪雨や大雪と言った災害に注意が必要だ」と話しています。

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