大手格付け会社、ムーディーズ・インベスターズ・サービスがこのほど、韓国の国債に対する格付けをこれまでの「Aa3」から過去最高の「Aa2」に引き上げた。対外信用度が高まる点では喜ばしいことだが、ますます危機感が高まっている韓国経済に対する錯覚を生みかねないとする指摘も聞かれる。
ムーディーズによる今回の格付けAa2は、21段階で3番目に高い等級となる。大手格付け3社を通じ、韓国がこれほど高い格付けを受けたのは初めてだ。また、ムーディーズが今年、投資適格としている27カ国で格付けを引き上げたのは韓国が唯一だ。
ムーディーズは格付けを引き上げた理由について、韓国経済が世界的な景気低迷の中でも相対的に堅調で、成長を続けている点を挙げた。ムーディーズは「韓国が今後5年間、先進国に比べ高い成長を続け、1人当たり所得も欧州先進国の水準に近づく」と予想した。政府債務を含む公共債務が他国よりも低く維持されている点もプラス評価につながった。
米国の利上げで世界の金融市場に不安感が高まった状況で、格上げは対外信用度の向上に役立つ見通しだ。チェ・ギョンファン経済副首相兼企画財政部(省に相当)長官は20日、「外国人の投資資金が流出し、金融市場の変動性が高まるという懸念が示される中、ムーディーズの決定は懸念を払拭(ふっしょく)する防御幕の役割を果たす」と歓迎した。
しかし、ムーディーズは韓国経済の今後について、構造改革の成否を最大の鍵として挙げた。ムーディーズは「過去に改革の成功で通貨危機を克服した経験などからみて、今回の公共、労働、金融、教育分野の改革にも成功し、潜在成長率を高める上で貢献すると確信している」との認識を示す一方、「現在進めている構造改革が後退するか、長期的な成長見通しが悪化した場合には格付けを引き下げることもあり得る」という条件を付けた。