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イプシロンの改良型エンジン 燃焼試験に成功12月21日 17時53分
日本の新しい小型ロケット「イプシロン」の打ち上げ能力を高めようと、改良型のエンジンの燃焼試験が秋田県にあるJAXA=宇宙航空研究開発機構の実験場で行われ、試験は成功しました。JAXAによりますと、真空の状態を作り出して行う燃料が10トンを超える大規模なエンジンの燃焼試験は、2001年以来、14年ぶりだということです。
日本の新しい小型ロケット「イプシロン」はおととし9月、1号機の打ち上げに成功し、現在2号機に向けて打ち上げ能力を高める改良が進められています。
改良型のエンジンの燃焼試験は、秋田県能代市にあるJAXA能代ロケット実験場で21日午前11時から行われ、真空状態を作り出した機器の中で、2分余りエンジンを噴射させました。
改良されたのは「イプシロン」の2段目のエンジンで、直径がこれまでより40センチ大きくなり、2メートル60センチになっています。また、燃料もこれまでより4トン余り増えて15トンになっています。
今回の改良では、高度500キロ付近まで打ち上げることができる衛星の重さを、従来の450キロから590キロに増やし、打ち上げ能力をおよそ30%高めることを目指しています。
JAXAによりますと、エンジンの燃焼はほぼ計画どおりで試験は成功したということです。
JAXAの森田泰弘プロジェクトマネージャは記者会見で、「今回の燃焼試験はイプシロン改良のカギを握る大切な実験でしたが無事に成功しました。今年度中に改良を達成する目標に向けて弾みがつきました」と述べました。
また、JAXAとともにイプシロンの改良を進めているIHIエアロスペースの岸光一主幹は「今回の改良がうまくいけば、いままで対応できなかった衛星にも幅広く対応できるようになる。コストの面ではまだまだ課題があるが、新興国や民間で地球観測衛星の打ち上げ需要が非常に高まっているので、新しいお客さんを取り込むことでイプシロンの打ち上げ回数を増やし、コストのさらなる削減にチャレンジしていきたい」と話しています。
改良型のエンジンの燃焼試験は、秋田県能代市にあるJAXA能代ロケット実験場で21日午前11時から行われ、真空状態を作り出した機器の中で、2分余りエンジンを噴射させました。
改良されたのは「イプシロン」の2段目のエンジンで、直径がこれまでより40センチ大きくなり、2メートル60センチになっています。また、燃料もこれまでより4トン余り増えて15トンになっています。
今回の改良では、高度500キロ付近まで打ち上げることができる衛星の重さを、従来の450キロから590キロに増やし、打ち上げ能力をおよそ30%高めることを目指しています。
JAXAによりますと、エンジンの燃焼はほぼ計画どおりで試験は成功したということです。
JAXAの森田泰弘プロジェクトマネージャは記者会見で、「今回の燃焼試験はイプシロン改良のカギを握る大切な実験でしたが無事に成功しました。今年度中に改良を達成する目標に向けて弾みがつきました」と述べました。
また、JAXAとともにイプシロンの改良を進めているIHIエアロスペースの岸光一主幹は「今回の改良がうまくいけば、いままで対応できなかった衛星にも幅広く対応できるようになる。コストの面ではまだまだ課題があるが、新興国や民間で地球観測衛星の打ち上げ需要が非常に高まっているので、新しいお客さんを取り込むことでイプシロンの打ち上げ回数を増やし、コストのさらなる削減にチャレンジしていきたい」と話しています。
新興国からの受注見込みエンジン改良
「イプシロン」は、今回の2段目のエンジンの改良によって、今後、増加が見込まれる新興国などの小型衛星を打ち上げるビジネスの受注につなげることや4年後に予定されている月面探査機「SLIM」の性能の向上につなげることなどが期待されています。
今回の改良で、「イプシロン」は、全長が1メートル60センチ伸びて、およそ26メートルとなり、人工衛星を載せる部分の空間がおよそ10%広くなります。また、2段目のエンジンを大きくし推進力を上げることで、高度500キロ付近まで打ち上げられる人工衛星の重さは、これまでの450キロから590キロに増え、打ち上げ能力はおよそ30%高められます。
JAXAによりますと、今後、増加が見込まれる新興国などが国土の管理のために打ち上げる小型衛星は、重さが600キロ近くになるとみられ、今回の改良によって、こうした小型衛星を打ち上げるビジネスの受注につなげることが期待されています。新興国などが打ち上げる小型衛星は、2020年以降、毎年5機程度に上るとみられ、「イプシロン」は、このうち、毎年1機程度の受注を目指すということです。
また、4年後にイプシロンによって打ち上げが計画されている月面探査機「SLIM」でも、ロケットの打ち上げ能力が高まる分だけ、探査機の性能を高めることにつなげられると期待されています。改良型となる「イプシロン」の2号機は、地球周辺の宇宙空間を探査する衛星を載せて来年か、再来年の春までに打ち上げられる予定です。
今回の改良で、「イプシロン」は、全長が1メートル60センチ伸びて、およそ26メートルとなり、人工衛星を載せる部分の空間がおよそ10%広くなります。また、2段目のエンジンを大きくし推進力を上げることで、高度500キロ付近まで打ち上げられる人工衛星の重さは、これまでの450キロから590キロに増え、打ち上げ能力はおよそ30%高められます。
JAXAによりますと、今後、増加が見込まれる新興国などが国土の管理のために打ち上げる小型衛星は、重さが600キロ近くになるとみられ、今回の改良によって、こうした小型衛星を打ち上げるビジネスの受注につなげることが期待されています。新興国などが打ち上げる小型衛星は、2020年以降、毎年5機程度に上るとみられ、「イプシロン」は、このうち、毎年1機程度の受注を目指すということです。
また、4年後にイプシロンによって打ち上げが計画されている月面探査機「SLIM」でも、ロケットの打ち上げ能力が高まる分だけ、探査機の性能を高めることにつなげられると期待されています。改良型となる「イプシロン」の2号機は、地球周辺の宇宙空間を探査する衛星を載せて来年か、再来年の春までに打ち上げられる予定です。
固体燃料の使用で低価格が売り
日本の新しい小型ロケット「イプシロン」は、小型の人工衛星を低価格で打ち上げるために、JAXA=宇宙航空研究開発機構がIHIエアロスペースとともに開発したものです。日本主力の大型ロケット「H2A」が、全長50メートル余りあるのに対して、小型ロケットの「イプシロン」は、そのおよそ半分です。
「H2A」には、推進力が大きく、飛行コースも精密に制御できる「液体燃料」が使われているのに対して、「イプシロン」では比較的安価な「固体燃料」が使われています。「イプシロン」の1号機は、おととし9月、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました。
「イプシロン」の1段目は、大型ロケット「H2A」の補助ロケットをそのまま使用することでコストを抑えています。また、打ち上げ前の点検作業の多くをコンピューターに任せることで、ロケットを発射台にセットしてから打ち上げるまでの期間を、以前の42日間から9日間に短縮しました。こうした工夫で、「イプシロン」の打ち上げ費用は、以前の小型ロケット「M5」の半分のおよそ38億円に抑えられています。
「H2A」には、推進力が大きく、飛行コースも精密に制御できる「液体燃料」が使われているのに対して、「イプシロン」では比較的安価な「固体燃料」が使われています。「イプシロン」の1号機は、おととし9月、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました。
「イプシロン」の1段目は、大型ロケット「H2A」の補助ロケットをそのまま使用することでコストを抑えています。また、打ち上げ前の点検作業の多くをコンピューターに任せることで、ロケットを発射台にセットしてから打ち上げるまでの期間を、以前の42日間から9日間に短縮しました。こうした工夫で、「イプシロン」の打ち上げ費用は、以前の小型ロケット「M5」の半分のおよそ38億円に抑えられています。