第二章
簡単カッコいい歩き・走りアニメの作り方(後編)
この章では、一般的なテレビアニメの動きでの歩き・走りを解説するよ。
*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*
レベル4
*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*
【1サイクルの動きを理解しよう】
何かが変化していって元の状態にもどるような一連の動きを、「1サイクル」って言うんだ。
歩きとか走りのループアニメの場合、普通のテレビアニメでは
歩きは、一歩4枚、二歩で8枚、つまり「1サイクル8枚」で描き
走りは、一歩3枚、二歩で6枚、つまり「1サイクル6枚」で描くのが基本なんだ。
もちろん歩きや走りの種類は、状況・感情によって色々違うけど、
こーすればこんな感じで動くという基準として、その基本を覚えておいて損は無いと思うよ。
と言うわけで、簡単な手抜きアニメの描き方を紹介するという趣旨からは少し外れるけど
ここでは一般的な「1サイクル6枚の走り」を解説するよ!
*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*
6枚走り
*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*
6枚の走りってことは、一歩たった3枚で躍動感がある走りを表現しなくてはならない。
だから、すべての絵に意味があるんだ。
歩きのように原画を中割りして動画にするのではなく、全部原画で出来ているといってもいい。
その3つの原画の意味とは、
「身体を縮め力を溜める」
↓
「足で地面を蹴って身体を伸ばし、身体を前方へ押し出す」
↓
「着地して力が開放され元に戻る」
すなわち、
「縮む」「伸ばす」「戻る」
なんだ。
基本はその3枚の繰り返しと言えるんだ。
だからその3つをそれらしく描いて繰り返せば、とりあえず走りに見えるよ!
さぁ、やってみよう!
まずは上半身を描こう。

走っているようにみせるコツは身体を前方に倒すこと。
この角度によって走っている感じが違ってくる。
お気楽講座なので上半身をコピーして使いまわすよ。
この絵を6枚コピーして、それぞれに手足を描いていくんだ。
@「戻る」、A「縮む」、B「伸ばす」、C「戻る」、D「縮む」、E「伸ばす」の
6枚描いて、1サイクル完成だ!
まず着地の瞬間、@「戻る」から描いていこう。
手と足の振りは左右逆にして描こうね。
よくわかんない人は実際ポーズをとって観察してみよう!

着地した瞬間なので前の足はカカトだけ地面に付いてるよ。
後ろの足を大きく蹴り上げると元気な走りに見えるんだ。
手の振りは大きいが、最大振幅ではないよ。(「伸ばす」で追加解説あり)
これで@は完成だ!
ついでに@を下に透かして手足の振りが逆バージョンを描いて、Cも完成しておこう。

次にA「縮む」の絵を描こう!
@を下に透かして描くと描きやすいよ。

@で前に出した足をグッと縮め、力を溜めた感じで描こう。
膝を曲げた分、足の位置が@よりちょっと高くなっているのがミソだよ。
手は腰のあたり、前から後ろへ振る腕はグッと力を入れて引いているという意識を忘れずにね。
これでAの完成だ!
@と同じく、手足の振りが逆バージョンを描いてDとしておこう。

最後にB「伸ばす」の絵を描こう!

後ろの足で地面を蹴って身体を前に押し出すところだよ。
思いっきり身体を伸ばそう!
足を少し長めに描くと蹴っている感じがよく出るぞ。
足の高さは@の位置より、ちょい下に。
前の足は膝を折って前方へ突き出そう!
腕の振りはここが最高振幅! @よりも大きく振.ろう!
(腕の振りは@が最大振幅とする描きかたもあるけど、
身体に一番力が入っているBを最大振幅にする方が、力強く走ってるように見えるよ)
これでBの完成!
同じく手足の振りの逆バージョンを描いてEとしておこうね。

これで@ABCDEと6枚の絵が全部そろった。
順番につなげて再生してみよう!

動いた! 変だ!(笑)
まぁこれはこれで面白いんだけどね。(^^;
これってもちろん、上半身が動いてないから不自然に見えちゃってるんだ。
前の章の、【歩き・走りの基本、その1】を思い出そう!
歩いたり走ったりすると、体が上下するんだったよね。
ということで、地面の位置を決めて、それぞれの絵の身体の位置をズラして調整しよう。

@の足の位置を基準にしてABの身体の位置を調整していくよ。
赤い線は別に描かなくても、だいたいの目安で大丈夫。
まず、Aの位置はこんな感じ。

Aは足を曲げ、身体を縮めているので、頭の位置が@よりも多少低いところにくるよ。
カメラが人物といっしょに走っていると仮定すると、
力を溜めているところはカメラとの相対速度も遅くなるので、身体の位置もちょいうしろに下がるんだ。
次にBの位置はこんな感じ。

Bは足を一番伸ばしているので、頭の位置は@よりも高いところにくるよ。
足を力強く蹴りだしたところで、カメラとの相対速度もちょっと早くなるので、身体の位置はちょっと前。
@ABそれぞれの位置はこんな感じ。

頭の位置を見てみよう。
@を基準として、Aで後方斜め下に、Bで前方斜め上に出る、という感じ。
頭の振幅の量で走っている感じが違ってくるよ。
同じようにCDEの身体の位置も調整しよう。
それでは、再び@ABCDEと並べて再生してみよう!

おお、走ってるように見える!
「縮む」「伸ばす」「戻る」が動きでうまく表現されていると、走っている「らしさ」が出るよ!
あとは、重なった線を消して、色をつけると完成だ!

ちょっと専門的な解説だったけど、これは基本として大事なことだから
がんばって覚えようね!
*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*
レベル5
*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*
【歩き・走りに変化を入れよう】
前にも書いたけど、 性別や年齢や職業、性格、体格、その時の感情などによって
歩きや走り方は全然変わっちゃうんだってことはわかるよね。
でも、具体的にどうやったらいいのかは、わからない人が多いと思う。
今回はそんな人のために、具体的な例をあげてちょっとだけ解説するよ。
まず、前章でも解説したけど
肩を動かして歩くと男っぽく見え、
腰を動かして歩くと女っぽく見える
ってのがあるんだ。
威張っている(虚勢を張っている)人は、肩を大きく動かそう!
また、怒っている人、焦っている人も、肩を大きく動かそう!
そして、色っぽいおねーさんなら、腰を大きく動かそう!
(まぁ色っぽいおねーさんを表現したいなら、乳を揺らせた方が効果的という説もあるけど)
次に、体重の重い人は手足をゆっくり動かし、
軽い人はちょっと早めに動かした方がそれらしく見えるよ。
また、性格的にせっかちな人は、前かがみで歩幅を小さくセカセカ歩かせ、
のんびりした人とか偉そうな人は、少し後ろにそった感じで大またで歩かせるといいよ。
最後に、レベル4で解説した走りだけど

この着地した瞬間の絵で、前足のカカトだけが地面に付いて
つま先が上がった状態になってるよね。
これは、ジブリ系アニメなんかに出てくる元気な子供キャラの典型的な走り方で
この例のようなデフォルメ(誇張)されたキャラとか、
ギャグ系アニメの走り方では、基本と言える作画なんだ。
でも、これはリアル系アニメの走りで使ってはいけないんだ。
なぜなら元気が良すぎて、不自然に見えちゃうんだ。
もちろん実際の走りでも、動きの中にこういうカカトだけが付いたポーズがあるんだけど
歩きに比べて一瞬だし、すごく変に見えちゃうんだよ。
歩きはいいけど、リアルキャラの走りで着地のときは、
足の着地位置を少し後ろに下げるようにしようね!
キャラがリアルなときは、@の足の位置をこんな感じ↓に修正しよう!

演出上で、おどけた走りにしたい場合とかじゃなかったら
作画監督さんにリテイク(やり直し)くらっちゃうぞ!
(だからプロは、こんなサイト参考にしないって!)
以降の講座でも出てくるけど、ここで基本として紹介してる事例はあくまで一例で
すべての場合に通用する、万能な例じゃないってことを覚えておいてね!
*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*
歩き・走りまとめ
*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*
【歩き・走りの基本、その1】
歩いたり走ったりすると、体が上下する
【歩き・走りの基本、その2】
歩きでは上半身をあまり動かさず、
必死な走りほど激しく動かす
【歩き・走りの基本、その3】
歩き・走りアニメは基本的に上半身だけで、
たまに全身が見える程度でOK
【歩き・走りの基本、その4】
歩きの基本は、1サイクル8枚
走りの基本は、1サイクル6枚
【歩き・走りの基本、その5】
演出上、男らしいキャラに見せたいときは肩を動かし
女らしいキャラに見せたいときは腰(と胸)を動かす
【背景の基本、その1】
近くにあるものは早く、遠くにあるものは遅く動かす
第三章
簡単カッコいい爆発アニメの作り方(前編)へ
みんな、くれぐれもココが、ダメになる講座だってこと忘れないでね。
ダメ講座 目次へ
トップページに戻る