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 スペインの総選挙が20日、投開票された。首相を決める下院(350議席)は、ラホイ首相が率いる政権与党・国民党(中道右派)が大きく後退。第1党は維持したものの過半数を失った。ラホイ政権はユーロ危機を乗り切った実績を訴えたが、国民の暮らしはなお厳しく、反緊縮財政などを訴える左派新党「ポデモス」が急伸した。連立協議の行方が今後の焦点だ。

 スペインの総選挙は52の選挙区による比例代表制。内務省の集計によると、改選前に186議席だった国民党が123議席に、中道左派の社会労働党は20議席減の90議席になった。

 スペインは、2011年に政権を握った国民党が緊縮財政を徹底して経済を立て直した。ただ、失業率はなお20%超で、国民の不満は根強い。ラホイ首相は結果を受けて、「(改革の)継続が必要だ。第1党の我々が、まず組閣に挑む」と政権維持に意欲を見せたが、各党の主張の隔たりは大きく、他党との連立協議は難航する可能性がある。

 一方、将来への不安が強い若者らの声にこたえようと14年に創設された「ポデモス」(私たちはできる、の意)は、初の総選挙で一気に69議席を得た。中道の新党「シウダダノス(市民党)」も40議席を獲得。既成の2大政党が圧倒してきた議会に新興2党が割って入った形になった。ポデモスのイグレシアス書記長は「2大政党が政権をやりとりする時代は終わった」と強調した。(マドリード=青田秀樹)