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築地移転まで1年弱でも鳴り止まない仲卸業者の怒号

池上正樹 [ジャーナリスト]
2015年12月21日
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 来年11月の豊洲新市場(東京都江東区)の開場まであと1年を切ったいま、築地の“魚屋”たちの「逆襲」が始まった。

 「“築地の市場はハエがいませんね”って、どこの国の人もびっくりするわけだよ。なぜかというと、海水でセリ場や店の中を清掃してるんです。海水が排水溝などを流れるからウジが湧かないんだよ。ところが、東京都の職員は、そういう現場を知らない。新市場では“海水を流すと50年先に建物が腐食するから海水は使いません”とか、とんでもないこと言っている。セリ場で真水を流したら、ウジなど撲滅できないと思うよ」

 そう憤るのは、まぐろ専門の「大萬(だいまん)」社長の飯島庸嘉さん。

 築地市場は、開設以来およそ80年にわたる歴史の中で、食中毒事件を起こすこともなく清潔に保たれてきた。ところが、石原慎太郎都政の始まった1999年前後から、政治的思惑ばかりに明け暮れている。

 いったい誰のために市場を移転するのか。「新市場では海水を使えない」と困惑する現場の声にもあるように、そうした大事な利益が考えられていないのだ。

仲卸業者約140人が集結
“繁忙期の移転”に再考要請を決定

11月25日、築地市場厚生会館に詰めかけた仲卸業者140人

 最近、仲卸業者の怒りが噴出する象徴的な出来事があった。

 11月25日、築地市場の厚生会館で開かれた「より良い市場をつくるにはどうしたらいいか?」をみんなで考え、共有しようという集いに、仲卸業者ら約140人が参加。小奇麗な会議室にぎっしりつめかけた仲卸人たちの怒りが、次々に噴き出したのである。

 「より良い市場を築くつどい」を呼びかける賛同者に名を連ねたのは、約200人の仲卸人。この日、話し合われたのは、「開場時期」「交通アクセス」「安全対策」「物流・店舗設備」の4つのテーマだ。

 中でも、来年11月7日に豊洲新市場を開場させる都の計画に対しては、「なぜ11月なのか?」と、多くの仲卸人が首を傾げる。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

大学卒業後、通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災後は、被災地に入り、震災と「ひきこもり」の関係を調査。著書は『大人のひきこもり~本当は「外に出る理由」を探している人たち~』(講談社現代新書)、『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(ポプラ社)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)、『ふたたび、ここから~東日本大震災、石巻の人たちの50日間~』(ポプラ社)など多数。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。ヤフー個人『僕の細道』はこちら

 


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