12月17日のロイターで、Facebook社が本社の10㍄以内に住む、もしくは引っ越す従業員に、年最大$15,000(約180万円)支給すると、記事になっておりました。
Facebook puts a price on suburban living for employees | Reuters http://reut.rs/1O1AYdL
Facebookは表向きには「短時間通勤で、従業員の仕事とプライベートのバランスを提供したい」と表明していますが、僕は、若くて優秀な従業員獲得競争において、Facebookが苦戦し始めているのが、最大の要因と深読みしています。。
その背景は、下記のブログ記事で詳細を書き込みましたが、米ミレニアム世代(18-35歳位)の街中指向です。車の運転にするより、公共交通機関でスマホをいじる事を欲する世代で、エコ志向のため車の運転を好意的に思っていません。
米Gen Y世代と住宅市場 http://bit.ly/1d34P0n
下記は、米テック企業の従業員の平均年齢ですが、下記の通りかなり若返っており、Facebook社の従業員の平均年齢は28歳で、ダントツのミレニアム世代の従業員確保をねらう企業です。
しかし、サンフランシスコエリアにおいて、雇用の中心がシリコンバレー→サンフランシスコへの移行がおこっています。2012→2014年のテック職の増加率を見ると、サンフランシスコ市部が42%の伸びで全米トップで、シリコンバレー(27%)やSFペニンシュラ(15%-FBが位置するサンマテオ郡)を上回っています。
下記は2015年9月のSFベイエリアの雇用統計ですが、SF市内、Marin郡、East Bay地区では雇用は増加していますが、シリコンバレーの属するSouth Bay地区の雇用は4100減です(テクノロジー系の雇用は堅調なようですが)。この様に、雇用の中心のSF市内への北上は明確に起こっています。
ベンチャーキャピタルの出資も、重厚長大な半導体、コンピューターハードウエアなどから、ラップトップ一つで起業できる消費者向けウエブサービズやアプリに移行しており、VC出資額も2013年頃にSFがシリコンバレーを抜き去り、米国内のVC出資額の約26%を獲得しています。
その結果、下記の通り2010年頃にはSF市内には、時価総額$1Bn(1200億円位)を超えるテック企業は殆ど存在しませんでしたが、かなりの増加が見られます。
具体的には、AirBnB、Uber、Dropbox、Pinterestといった今をときめくUnicorn(時価総額$1200億円以上の非上場企業)がSF市内に目白押しです。
下記のチャートは、結婚適齢期の25-35歳のシングル女性100に対し、仕事をちゃんとしている男性比率ですが、勤労適齢期男子比率が一番高いのはシリコンバレーで115人です。これは、婚活女子には最高の数値ですが、若いテック男子にとっては最悪の比率ですね。SF市内では、シングル女性比率のほうが高くなりますので、血気盛んなシングル男性にとっては好ましい比率です。
下記リンクはシリコンバレーの地元紙、San Jose Mercury Newsの2015年10月の記事ですが、SF市内の会社に対するシリコンバレー企業の採用難などが長尺で書き込まれています。
Quinn: As tech migrates to San Francisco, Silicon Valley finds its cool edge http://bayareane.ws/1MpG91C
これらのトレンドに対して、Google社を中心としたシリコンバレー企業は、SF市内からシャトルバスを運営する事で対処していますが、SF市民や行政からの規制で、いろいろ問題も多いです。また、通勤時間は短いのに越した事はありません。
グーグルバス問題とサンフランシスコの階級抗争を理解するためのキーワード http://bit.ly/JVnClx
そして、Facebook社の場合は既に、上場してしまっているので、ストックオプション等のアップサイドも少ないのです。よって、レストラン、カフェや文化施設に溢れるサンフランシスコ市内のスタートアップ企業との従業員獲得競争はかなり不利になります。 Facebookは2015年5月に鬼才建築家Frank Gehry設計の新キャンパスを完成したばかりで、従業員2800人はオープンなオフィスで働ける環境を整えました。
福利厚生的にも、キャンパス内に、フリーランチに加え、床屋や医者完備で、シリコンバレー企業の中でも、一番充実していると評価されてます。実際、従業員の満足度調査でも、Facebook社は米国トップを獲得しています。
America’s Best Companies to Work For - Facebook http://bit.ly/1PePLko
しかしながら、このように今をときめくFacebook社でさえ、郊外のロケーションのゆえ最優秀人材の獲得に苦労しているのが、ミレニアム層の都市部・街中指向の強さを象徴していますね。
最後に、シアトルのダウンタウンに本社を構え、現在本社ビルを建設中のAmazon社CEOのJeff Bezosの発言でこのブログを〆ておきます。
米国不動産投資も、街中のアパートが良いですよ!
では、Happy Investing!!!
P.S. ミレニアム層の街中指向は、シリコンバレーに限った事ではありません。
郊外から都会へ―「企業アーバニズム」時代が幕開け WSJ http://on.wsj.com/1hSzWkO 職場の郊外化が進んでいたシカゴを例にとって、モトローラ、ユナイテッド航空、ヒルシャイア等の大企業が、若くて有能な従業員を確保するために、街中へオフィスを移動中。 サンフランシスコにおけるテック職の急増は、高収入の若者のSF市内流入を起こし、SFの1ベッド物件の賃料は月$3500と全米一の高さになったしまったという功罪が、、、、
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