| 交流会で韓国からの観光客(右)に地酒をそそぐ島民=対馬市厳原町、半井桃水館
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近年、急増する韓国人観光客と草の根の交流を深めようと、対馬市厳原町の日韓の商店主らが、対馬国際交流実行委員会を立ち上げ、島民や観光客が気軽に参加できる交流会を開いている。今後は、対馬の風習や文化を分かりやすく伝えるガイドブック作製を目指しており、さらに親交を深めようと意気込んでいる。
対馬では2011年、韓国・釜山港との定期航路に船舶会社が相次いで参入し3社が競合。「近くて、安く行ける日本」として人気が高まり、昨年度は過去最高の約19万人の韓国人が来島した。
こうした中、急増する韓国人に戸惑う島民もいる。町づくりを支援する同市の外部集落支援員、楠高幸さん(29)はこの春、市内の商店主にヒアリング調査を実施。「マナーや文化の違いから韓国人にマイナスイメージを持つ島民がいる」「日韓市民が交流できる場所が少ない」−などの意見が寄せられたという。
このため、楠さんは「互いの文化や風習について、楽しみながら学べる場をつくりたい」と今年5月、対馬で店舗を営む日韓の商店主らと同実行委を発足。これまで、対馬で暮らす日韓市民や韓国人ツアーガイドらを招き交流を重ねてきた。
12日に対馬市厳原町であった交流会には、韓国語を学ぶ島民や、韓国人観光客ら約20人が参加。浴衣を着て、対馬の郷土料理「いりやき」をつつき、地酒を飲みながら会話を楽しんだ。韓国・済州市から訪れた消防士のヤン・チョンヒョンさん(34)は「文化の違いが面白い。対馬にはまた来たい」と赤ら顔で笑った。
実行委のメンバーで、島おこしに取り組む鍵本妙子さん(55)は「多くの日本人や韓国の人に異文化に触れる面白さを味わってほしい。交流を通じて対馬のさまざまな魅力に触れてもらいたい」と話した。