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子どもの貧困対策のために寄付を募る「子供の未来応援基金」の出だしが低調…
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子どもの貧困対策のために寄付を募る「子供の未来応援基金」の出だしが低調のようだ。
官民あげての国民運動の目玉だが、10月の設置から今月上旬までに集まったのは300万円余で、加藤勝信少子化相は「いまの水準では事業の展開が厳しい」と危機感を募らせる。その後に500万円を超えたものの、はかばかしくない。
国民運動の発起人には、安倍首相をはじめ関係閣僚、自治体や労使の代表、社会福祉団体のトップらが名を連ねる。「子どもの貧困を放置すれば、その子の将来が閉ざされ、社会の損失にもなる」という問題意識に反論する人はいないだろう。
なぜ低調なのか。
「官民あげて」とはいえ、基金の旗振り役は政府だ。
集めたお金は、NPOや公益法人など子どもの支援活動をしている団体への支援金に充てたり、自宅でも学校でもない「第3の居場所」づくりに使ったりするという。だが、同じような支援や活動は、すでに多くの民間団体が手がけている。
「官」ならではの工夫ができるのか。託したお金は有効に使われるのか。政府の「本業」である予算を通じた対策は十分に実施できているのか。予算不足を取り繕うために基金をつくったのでは……。
そんな疑問や不信が、国民の間にあるのではないか。
寄付の本質とは何だろう。
ある社会課題に取り組みたいと考えた人が旗を揚げ、寄付を募って行動を起こす。寄付金をどう使ったか、どんな成果があったかを寄付者に説明する。寄付者は報告を聞いて考え、納得できれば再び寄付する。
寄付する側とされる側の間に信頼感を生み出せるか。寄付が継続的に集まり、取り組みを続けていけるかどうかのカギは、そこにある。
今月は「寄付月間」だ。
寄付を生かして活動してきたNPOや公益法人の関係者を中心に、企業や行政、国際機関からも加わった有志35人が推進委員会をつくり、統一ロゴを用意したり、イベントを催したりしている。
特定の分野や課題、団体に向けた寄付を集めるのではなく、「寄付文化」を広げることが目的だ。寄付の受け手が寄付者に感謝し、活動報告を改善、充実させる機会にする。多くの人に寄付に関心を持ってもらい、考え、行動してもらう――。まさに、寄付の土台づくりである。
子供基金の関係者は、寄付の基本に立ち返り、現状を見つめ直すことから始めてはどうか。
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