【インタビュー・大野和基(国際ジャーナリスト)】
世界全体を牽引する「一大強国」はもういない。先進各国も新興国も同じように頭を抱えている。勝ち組なき時代——この先にはどんな世界が待ち受けているのか。経済学の泰斗が鮮やかに読み解く。
利上げは絶対に「NO」だ
2016年の世界経済を見通すとき、急失速しつつある中国経済の行方に加えて、アメリカの「利上げ」が大きなテーマになってくることは間違いないでしょう。
FRB(連邦準備制度理事会)が利上げに踏み切った場合、アメリカ経済、さらには世界経済全体にどのような影響を与えるのか。利上げというのは一度で終わるものではありませんので、それを継続的にやっていけるほどに、アメリカはすでに強い経済になっているのか。
政策当局者たちも、マーケット関係者たちも、この利上げという一大イベントに多くの関心を寄せています。最近では、「もう利上げをしてよいタイミングだ」という早期利上げ容認の声が大きくなっていますが、これが非常に気がかりです。
私は11月初旬、アメリカの雇用統計が発表された際に、こう言いました。
「雇用統計の良好な結果を受けて、FRBは来月に利上げをするのだろうか?おそらく答えは、『YES』だろう」
しかし、同時に、こうも言いました。
「では、FRBは利上げをするべきなのか? その答えは、明確に、『NO』といえる」
利上げを急ぐことは非常に危険です。詳しくは後で述べますが、ここで間違えれば、大きな混乱を招きかねません。
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