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2005-05-22 映画『宇宙からのメッセージ』感想/制作秘話 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

宇宙からのメッセージ

■あらすじ『ガバナス帝国侵略を受けた惑星ジルーシアの王女エメラリーダ(志穂美悦子)は、伝説の“リアベの実”によって選ばれる8人の戦士を探す旅に出た。ガバナス帝国から攻撃されている所を、シロー(真田広之)に救われる。彼こそ、伝説の8剣士の一人だった!』



1977年5月25日に公開されアメリカで大ヒットした『スター・ウォーズ』は、翌1978年6月に日本公開されたが、その間、人気に便乗した日本のSF映画も数多く登場した。その代表例が1977年12月に公開された東宝『惑星大戦争』と、翌年4月に公開された東映宇宙からのメッセージだった。

本作は、史上空前の『スター・ウォーズ』ブームに乗っかった東映が、製作費10億円を投じて作り上げた和製スペース・オペラである。しかし、出来上がったモノはどう見ても宇宙チャンバラ任侠映画であった。

南総里見八犬伝」の物語SFに置き換えるというムチャな発想で作られた本作は、キャラクター原案を故・石ノ森章太郎担当している。その為、リアベの勇士に与えられた性格けがサイボーグ009』みたいになっているのだ。

そして監督はあの深作欣二である。公開当時のインタビューでは、「俺は『スター・ウォーズ』を観た事は一度も無い!」と堂々と言い放ち、映画業界関係者震撼させたそうだ(でも案外本当だったりするんだよなあ)。

また、演じている俳優が当時の「実録ヤクザ路線」とか「時代劇」の顔ぶればかりなので、これがスペース・オペラだと言われても俄かには信じられないところがツライ。悪の皇帝ロクセイアに扮しているのが成田三樹夫という時点で、もはやスペ・オペなんぞどこ吹く風という感じだ。

大規模なセットを建設する為、東京ではなく東映京都撮影所が選ばれたが、相変わらずセットが大雑把だったり、ミニチュアを吊るしているピアノ線が丸見えだったりと、特撮描写に見るべき点は何も無い。見せ場のハズの「宇宙船同士のドッグファイト・シーン」も、びっくりするほどスピード感は皆無。

素潜り並の軽装備”宇宙遊泳する真田広之の姿に至っては、SF映画史に残る珍シーンとしていまだに語り草となっているほどだ。しかし「そもそも和製スペ・オペとは時代劇なのだ!」という製作者側の堂々たる勘違いぶりが、逆に清々しい怪作であると言えなくもない。

唯一の見所となっている宇宙船のミニチュアは、全部で70個以上も作られた。さらに、帆船、リアベ号、アロン号、シロー号は実物大の巨大な模型制作されたのだ。特に帆船の模型は、長さ40メートルマストの高さ23メートル、マストの直径3メートルという前代未聞のでかさだった。

この船の製作費は2200万円で、これを作る為に京都中の大工さんが集められたそうだ。おかげで京都では一ヶ月の間家が建たなかった、という逸話まで残っている。

また、普通日本映画場合カット数はだいたい400から600カットぐらいとされている。ところがこの映画の場合、1300カットと異常にカット数が多い。そこで、問題はその撮影期間である。本来なら普通の映画の3倍以上かかって然るべきだが、実際はたったの50日で完成させているのだ。

なんせ、本物の『スター・ウォーズ』が公開される前に、何としてでも先に公開しなければならないのだからスタッフ必死である。もちろんこの間、不眠不休24時間体制で全員働きっぱなしだったが、映画の規模やカット数からみても、撮影期間が最も短い映画と考えて間違いないだろう。

しかし、もっと凄いのは『スター・ウォーズ』公開からわず半年後に公開された『惑星大戦争』である。「タイトルまで丸パクリ」という身も蓋もない開き直りぶりに対して、コメントする事はもはや何も無い。聞くところによると、映画の大部分で東宝のライブフィルムをそのまんま使い回しているという凄まじさらしい。

僕は観た事が無いので何とも言えないが、とんでもない映画である事だけは間違いないようだ。さらに未確認情報として、遠く離れたインドでも『スター・ウォーズ』をパクった映画が作られていたらしい。これまた、目まいがするほど強烈な内容だと聞いている。誰か観た人、いませんかw?


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moritatsmoritats 2005/05/23 05:29 これは面白い!成田三樹夫さんか〜。なつかし〜。「工藤ちゃ〜〜ん」。

縛りやトーマス縛りやトーマス 2005/05/23 23:33 ああ、これは物凄いバカSFの傑作ですよw
東宝には「妖星ゴラス」「地球防衛軍」と傑作SFが多いのに何故東映は・・・(ま、「さよならジュピター」があるからあいこか)
type-rさんのおっしゃるとおり、スペオペとも思えぬキャラクターたちは・・・特に丹波哲郎。役が“宇宙大統領”ですから。「トップをねらえ!」に出て来た世界大統領より凄いぞ!
丹波が出て来た時点で元は取れた!?

type-rtype-r 2005/05/24 00:07 moritatsさん
面白いかどうかはともかく、「特殊な映画」であることだけは間違いありませんw

縛りやトーマス さん
本当に、どこにも”SF”が感じられないような渋いキャラクターが満載ですw
でも「当時は日本でもこんなムチャな映画が作れたんだなあ」と思うと羨ましいような気もしますね。

MCH青木MCH青木 2005/05/24 23:55 type-rさん、こんばんは。
遂に「宇宙からのメッサージ」を観てしまいましたか・・
ならば、「惑星大戦争」も観なくてはいけませんよ!(笑)
原作者は神宮寺八郎(田中友幸)、監督は福田純。主演は森田健作と浅野ゆう子、共演に「妖星ゴラス」の池部良、仮面ライダーV3の宮内洋、必殺仕事人の沖雅也、他。
敵はメシエ13(いちさん)球状星団・恒星ヨミの第三惑星。ヘル指令(陸五郎)率いる銀河帝国!迎え撃つは国連宇宙防衛艦「轟天号」!それは、「海底軍艦」(1963年)の”轟天号”を愛する私にとって、偉大なる船の名を汚した「二代目」の艦だったのです!「ファイナル・ウォーズ」の「四代目」には再び傷付けられました!敵の母艦「金星大魔艦」は更に上を行く傑作艦です!(笑)是非ご鑑賞を!

MCH青木MCH青木 2005/05/25 20:46 既にご存知の事かと思いますが、一応補足で書かせて頂きます。
確かに、「宇宙からのメッセージ」は「新たなる希望」の露骨なパクリ映画でしたが、ガバナス惑星大要塞に侵入して内部から破壊するシーンを、後の「ジェダイの帰還」がパクリ返したのを観た時には、驚きと共に嬉しく思ったものでした。

type-rtype-r 2005/05/25 23:08 「宇宙からの・・・」は昔TVでもやっていたので、割りと何度か観ていたのですが、「惑星大戦争」はなぜか一度も観た事がありません。それは、轟天号や大魔艦の常軌を逸したデザインに危険を感じた僕のセンサーが、「この映画は観てはいけない!」と思考をロックしていたせいかもしれません(笑)。特に大魔艦なんて、ローマ時代の軍船そのまんまじゃないですか!側面にオールまで付いてるし、ヤバ過ぎますよ(笑)。