原子力規制委員会は18日、東京電力福島第1原子力発電所の汚染水対策で計画中の「凍土壁」について、地下水の水位の変化で建屋内の高濃度汚染水が漏れ出る可能性があるとして、現時点では本格的な凍結を認めない考えを示した。政府と東電は2015年度中の完成を目指しているが、実現するか不透明になってきた。
凍土壁は1~4号機の建屋周辺の土壌を凍らせ、全長約1.5キロメートルの壁を地中に築く計画。建屋に流入する地下水を遮断する狙いがある。1500本超の凍結管が土に埋めてあり、4月に一部で試験的な凍結が始まった。本格作業には着手していない。
規制委は、凍土壁によって建屋周辺に地下水が流れ込まなくなり、地下水の水位が大きく下がることに懸念を示した。地下水水位が建屋内の汚染水の水位よりも低くなると、建屋から高濃度汚染水が漏れ出る可能性も否定できないという。
東電は「水位差は確保できる」と説明したが、規制委側は結論を年明け以降に持ち越した。
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