水にぬれた資料を乾燥させる
水にぬれた資料を乾燥させる
部分的な水ぬれや湿り気のある資料を、吸水紙と扇風機(送風機)を使って乾かす。
水ぬれ被害の発生例
- コップの水が資料にかかった
- 書庫内の配管設備が壊れた
- スプリンクラーが誤作動した
- 雨漏り、浸水が起きた
など
※ぬれた部分がよく分かるように、水に色をつけています。
|
|||||||
(1)水でぬれている箇所を確認し、タオルで押さえるようにして水分をとる。 |
(2)本文ページのところどころに吸水紙をはさみ込み、ぬれた部分が上になるようにして資料を立てる。 薄手のソフトカバーなど、自立しない資料は横置きで構わない。 |
||||||
(3)扇風機などで資料が倒れない程度の強さの風をあて、空気の流れをつくって乾かす。 自立しない資料は横置きにして風をあてる。 |
(4)水分を吸い取った吸水紙は適宜取り替える。半乾きの状態(手で触れても冷たく感じない程度)になるまで(2)~(3)を繰り返す。 |
||||||
(5)吸水紙を抜き取り、板にはさんで乾くまで置いておく。資料と板の間には紙を一枚はさみ、貼りつきを防ぐ。 板の上に重石をのせるとページの波打ちや変形を防ぐことができる。 |
(6)乾燥中は資料を板の間から何度か(1日1回が目安)取り出し、ページ同士が貼り付いていないか確認する。 |
ここがポイント
- 資料にカビが発生している恐れがある場合は、汚染を広げないように他の資料や書庫から隔離して乾燥させる。その後、資料に付着したカビ状の物質を消毒用エタノールで拭き取り、汚れを取り除く(作業方法は「カビが発生した資料をクリーニングする」NDLの資料の保存のHPを参照)。
- 写真集などに使われる塗工紙(コート紙・アート紙)はページ同士が貼りつきやすい。貼りついた箇所にへらなどを差し込むとある程度剥がすことができるが、紙の表面を傷める恐れがある。剥がすかどうかは、慎重に判断する必要がある。
- ドライヤーを使う場合は熱風の使用は避け、冷風で乾かす。
注
ここで紹介している方法は、修復に関して専門的な知識や技術を持たない図書館員が一般的な資料に対して手当てを行うものです。貴重な資料や劣化が著しい資料に対する方法ではありません。紹介している方法で作業した結果、資料に何らかの不都合、損害が生じたとしても国立国会図書館は一切責任を負うことはできません。