NNNドキュメント「標高3000mの命 ライチョウからの警告」
2015年12月20日(日) 25時50分~26時20分 の放送内容
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番組詳細説明(表題)
標高3000mの命
ライチョウからの警告
番組詳細説明(内容)
【見どころ】
日本の山の象徴「ライチョウ」が絶滅の危機に瀕している。温暖化でこれまでいなかったシカなどの野生動物が高山帯に出没しているためだ。8月にはサルがヒナを食べる衝撃的な写真も公開され専門家を驚かせた。南アルプスではふ化直後のひなを悪天候や天敵から守る取り組みが始まり、東京、富山の動物園は採取した卵を人工ふ化させて繁殖させる技術の確立を急いでいる。“保護と増殖”の両輪でライチョウを守る関係者の情熱に迫る。
【内容】
世界のライチョウの分布で南限にあたる日本。環境省は種の保存法に基づいてライチョウの保全に本腰を入れ始めた。生息域である標高3000mの高山帯で行う「域内保全」と、野生の卵を採集し動物園で人工飼育・繁殖に取り組む「域外保全」が大きな柱だ。この未知のプロジェクトを支える人たちがいる。
それは、生息数が激減している南アルプスで小さな命に向き合う高齢研究者。
それは、ふ化させたひなの相次ぐ突然死を乗り越え、ネットワークで未知のライチョウ増殖に挑む飼育のプロたち。人工飼育1年目は苦難の幕開けだった。
一方で、人間が引き起こした地球温暖化が、様々な形でライチョウという種の存続を脅かしてもいる。かけがえの無いライチョウという種を、絶滅の危機にさらしたのが人間なら、救おうとしているのもまた人間なのだ。
――――たとえその道のりは長くとも、今ならまだ間に合うかもしれない。
「恐れていたことが起きた」
2015年8月、長野県の北アルプスでサルがニホンライチョウの雛を捕食する衝撃的な瞬間を、ライチョウの研究者が初めてカメラに収めた。
ライチョウは標高3000mを超える日本の中部山岳地帯で2万年前から生きのびてきたいわば“氷河期の生き残り”だ。仏教伝来以前、山岳信仰が盛んだった日本で「神の鳥」として大切されたニホンライチョウは、欧米のように狩猟対象とならなかった。だから人が近づいても逃げない。世界で唯一“人を恐れないライチョウ”なのだ。
サルは群れ社会を構成する。研究者たちが恐れるのは、ライチョウを襲う習慣が群れに広まり、集団でライチョウを襲うようになることだ。
近年、地球温暖化、特に厳冬期の最低気温の上昇が、本来低地に生息するキツネやカラスなど野生動物の高山帯への進出を容易にし、卵やヒナ、親鳥までも狙うようになった。さらに草食動物のニホンジカやサルがライチョウの餌になる高山植物に壊滅的な被害を与えている所も少なくない。
特に中部山岳地帯は、絶滅の恐れが高まっている。
「ライチョウをトキやコウノトリのようにさせない」
南アルプスのライチョウ保護についてこう語るのは、国内ライチョウ研究の第一人者、信州大の中村(なかむら)浩志(ひろし)名誉教授(68)だ。30年前、南アルプス北岳(山梨県)に63か所あった縄張りは今年、5か所に減った。中でも白根三山は、ライチョウの減少率が中部地方で最も高い。野生動物の侵入を防ぐ防護柵も設置されてはいるが効果は限定的だ。
この夏、中村教授は環境省のライチョウ保護増殖計画に基づき、北岳で新た手法「ケージ内保護方式」に挑んだ。ひなと親鳥を大きなケージ(=鳥かご)で囲い、一定期間、子育てをサポートする。長年の研究でニホンライチョウが海外のライチョウに比べ、生後1か月以内の致死率が高いことがわかり考案した。ひながふ化する7月上旬は梅雨の時期で、高山の気温は低い。体温調節が未熟なひなにとって過酷な時期に、人が手を差し伸べる手法だ。ひなは無事育ち、7月中旬(19日)にケージから放鳥した。
―――10月。南アルプスは初雪を観測、その後の成長を確かめるべく、中村教授は初雪が降った北岳に入った。だがライチョウ親子は確認できなかった。見つけられたのは雪の上にかすかに残った足跡だけ・・。センサー付きカメラを生息域内に設置し、モニタリングを続けたが、その姿は確認できていない。
「ひなが死んだのは想定内」
ニホンライチョウを絶滅から救うために今年始まったのが人工飼育の取り組みだ。
動物園での野生動物の人工飼育・繁殖は、生息域の外での保全を指し「域外保全」と呼ぶ。
JAZA・日本動物園水族館協会が環境省と提携し、恩賜上野動物園と富山市ファミリーパークの2か所が取り組んだ。いずれの施設もニホンライチョウと同じ仲間のスバールバルライチョウ(ノルウェー原産)の飼育でこれまで実績を積み上げてきた。
ニホンライチョウの域外保全の仕組みを作った中心人物、それがJAZAの会長も務めた富山市ファミリーパークの山本(やまもと)茂(しげ)行(ゆき)園長(65)だ。
6月には北アルプス乗鞍岳で前出の中村教授が協力してニホンライチョウの卵10個を採取、上野と富山で5個ずつ人工ふ化に挑戦しあわせて9羽のふ化に成功した。
しかし、雌を含む上野の5羽は全滅してしまう。現在生きているのは、富山で飼育する雄の3羽のみだ。早ければ来春に実現する可能性があった「繁殖」は絶望となっている。
だが山本園長は、こうした現実を「想定内」だという。死んだ個体があって初めて、課題が分かると断言する。
種を守る“百年構想”
国の計画に基づく域外保全では、国内のライチョウを遺伝子レベルから解析し、守るべき種を見定め、その数を増やしていくという。
動物園はいま、単なる「動物の飼育」「動物の展示」という枠を超えて、学際的に種の保存を担う存在になろうとしている。
計画では5年後までに、野生の生息数が比較的安定している北アルプス乗鞍岳のライチョウの卵を採集して、人工飼育から繁殖にこぎつけることが目標だ。まずは乗鞍由来のライチョウを人工繁殖により100羽確保する。これを目指す。
だが人工飼育しただけでは野生のライチョウは増やせない。
飼育下と自然界では体内の細菌環境が違う。さらに、えさのとり方や天敵を知らないことなど、人工繁殖したライチョウをそのまま野生に戻すことなど出来ないのだ。そのためプロジェクトには、化学や医学の領域からも研究者が参画し、新たな知見も生まれている。
山本園長がこだわるのは、動物園どおしのネットワークと飼育技術の共有だ。動物園業界が今までやってこなかった「壁」を越えた取り組みと成り得るか。最前線を追う。
特別天然記念物「ライチョウ」が絶滅の危機に瀕している。8月にはサルがヒナを食べる衝撃的な姿も確認された。“保護と増殖”の両輪でライチョウを守る人々の情熱に迫る。
出演者
- ナレーター
- 永田亮子
番組内容
国の特別天然記念物「ライチョウ」が絶滅の危機に瀕している。温暖化でこれまでいなかったシカなどの野生動物が高山に増えているためだ。8月にはサルがヒナを食べる衝撃的な写真も公開され専門家を驚かせた。南アルプスではふ化直後のひなを悪天候や天敵から守る取り組みが始まり、東京と富山の動物園は採取した卵を人工ふ化させて繁殖させる技術の確立を急いでいる。“保護と増殖”の両輪でライチョウを守る関係者の情熱に迫る。
制作
山梨放送・北日本放送(共同制作)
その他
- 属性情報?
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- ジャンル
- ドキュメンタリー/教養 - ドキュメンタリー全般 ニュース/報道 - 特集・ドキュメント