おはようございます!六代桂文枝でございます。
お世話になりました。
今回で私はお別れでございます。
ですから今回最終日でございますので川柳も私の作句。
そして今回の落語もやらして頂く事になってございます。
川柳は…私ね若い頃「ああいうふうな年寄りになりたいな」っていう人が本当にたくさんいたんですよ。
上原謙さんとかね佐分利信さんとか。
でも自分がいざ年取ってくるとですねなかなかかっこよく…まあ思ったより髪の抜け具合も速いですしね。
何かその自分のイメージとはこううまく取れないんですかっこよくね。
まあせめて元気に過ごしたいとは思いますけども。
今度皆様と会う時はですねまた年を取ってると思いますけどもかっこよくお会いしたいと思います。
ありがとうございました。
さて今日の出演者でございますが江戸家猫八さん。
そして桂文枝でございます。
(拍手)え〜猫八でございます。
動物のものまねをさせて頂きますけども。
この猫八という名前が親子代々でございます。
僕がうちのおやじの芸を初めて見たのはえ〜小学校に行く前ですからまだ4歳とか5歳の頃だったと思うんですけどね。
今でもはっきり覚えてますよ。
おふくろが僕の手引っ張ってこういうとこ連れてきてくれてね「お父さんのお仕事ちゃんと見とかなきゃいけませんよ」なんて言われて。
何が何だか分かんないけど舞台の横ってちょっと隙間ございますんでねそっから見てたらうちのおやじが舞台の真ん中で鶏を鳴いておりましてね。
(鶏の鳴きマネ)うちのおやじは一体何をやってるのかと思いました。
それは驚きますよ。
初めて見たんですから。
まあびっくりしましたね。
それでびっくりして見てたらそれだけじゃ済まないんです。
そこにおふくろがまたやって来てね「お前も大きくなったらあれやるんですよ」ってそう言う訳でございましてなおさらびっくりしましたけど。
まあでも面白いもんですよね。
最初こそびっくりしたけどそのあと何回か見ているうちにだんだん自分もやりたくなりましてね今はこうやってやっとる訳なんですけど。
やっぱり日本には四季折々のよさがございますよね。
春っていうとやっぱりウグイスの声がいいですよね。
このウグイスの声なんてものはこの指笛で鳴く事になってるんですね。
ちょっとお聴き頂きましょう。
(ウグイスの鳴きマネ)こんな感じでね。
(拍手)初夏になりますとホトトギスなんてのが鳴くんですけどねご存じでございましょうかね。
(ホトトギスの鳴きマネ)これはホトトギスですね。
(拍手)もっとも何かウグイスの時と全然拍手が違いますよね。
ホトトギスってのはねキョキョキョキョキョと鳴いてんですけどねよく聴いてるとホトトギスって聞こえてくるんです。
それでその鳴き声が名前の由来なんですよね。
今聞こえなかったのは最初のうちは聞こえないんですけど続けて鳴いてるとねだんだんだんだんゆっくりになってくるんですよ。
これやりますからね。
ホトトギスって聞こえてきます。
(ホトトギスの鳴きマネ)
(拍手)何か皆さん手たたきながら人の事ばかにしてんじゃないのかな。
本当なんですよ。
面白いでしょ?季節が夏になるとね暑いですけどねやっぱり田んぼで鳴くカエルなんていいですよね。
このカエルがねこんな感じなんですけどね。
(カエルの鳴きマネ)これがやっぱり親子代々ずっとやってましてね特に初代のおじいちゃんってのはねこのカエルの鳴きマネの名人だったんです。
どうしてそんな事分かったかっていうと明治の芸能誌の文献に残ってんです。
「初代猫八が田んぼにしゃがみ込んでカエルの鳴きマネをすると本物のカエルがみんな振り返った」っていうんです。
これ並大抵のこっちゃないですよね。
まあそれほど名人だったって事だと思うんですけどね。
うちのおやじもカエル得意でしょっちゅうやってましたけどおやじいわく「ものまねなんてのはただ続けてやったって面白くないんだ。
そこにネタとかねストーリーとか入れるから面白いんだ」っつって。
カエルのラブシーンってのはよくやってましたね。
僕よく覚えてますからちょっと再現しますね。
まず雄が出てまいります。
(雄ガエルの鳴きマネ)
(笑い)そこへね雌のカエルが出てくるんですけどねこれはカエルったって雌ですからねやっぱりグッと色っぽくなりましてね。
(笑い)
(雌ガエルの鳴きマネ)そうするとまた雄が返事して。
(雄ガエルと雌ガエルの鳴きマネ)
(吸う音)これがカエルのラブシーンという。
(拍手)別にたあいもないどうって事ないネタなんですけどね「それが面白い」っていうんでばか受けするもんですからねうちのおやじは毎日やってたらしいんですよ。
そしたらNHKにね葉書で投書が来た事があるんですって。
「先日ラジオで猫八さんのカエルのラブシーンを聞きました。
大変面白かったです。
だけど私は農家を30年やってますが雌のカエルは鳴きません」ってそんなのが来た。
おかしいですね。
(拍手)秋は何て言ったって虫の音ですよね。
コオロギとかね。
(コオロギの鳴きマネ)こんな感じの虫の音。
(拍手)もう何かね自分でやってて実に見事なもんだと思いますね。
いいでしょ?だって虫が何かこの辺でね。
(コオロギの鳴きマネ)この秋の虫の音っていうのはねやっぱり僕はとてもいいもんだと思いますね。
これが冬になっちゃうとね一体どんなのがいるのかとお思いでしょうけどもね。
まあ冬の湖に行くと白鳥だとかカモだとかねいろんなのがいるんですけどちょっと声やかましいですね。
(カルガモの鳴きマネ)…なんてやってます。
これ今のはカルガモ。
マガモ。
(マガモの鳴きマネ)ちょっと違うんですよ。
分かりますか?カルガモは…。
(カルガモの鳴きマネ)マガモは…。
(マガモの鳴きマネ)もう一回やりますよ。
カルガモは…。
(マガモの鳴きマネ)あっ逆だこれ。
(笑い)あの〜おんなじようですけどちょっと違う。
あとタンチョウですね。
鶴の声。
これはいいな。
やっぱり何て言ったってねもう冬の代表ですね。
これから皆さん方のますますのご健康とねいやさかお祈りしましてねこの鶴を鳴きますから。
ご祝儀でね。
是非お聴き頂きたいと思います。
(鶴の鳴きマネ)「鶴の一声」でございます。
(笑い)どうもありがとうございました。
(拍手)私の祖父おじいちゃんがですね浪曲大好きやったんですよ。
なるほどね。
おばあちゃんも民謡が大好きで。
だから結局そういう小節っていうのにものすごく影響されたんですね。
特におじいちゃんなんかは「どんぐりころころ」でも浪曲調にして私に教えてくれたり。
「どんぐりころころ」の浪曲調いうたら例えばどんなのですか?・「どんぐりころころ」・「お池にはまってさあ大変」・「どじょうが出て来て今日は」…ってこんな感じです。
(笑い声)最高でんな。
ありがとうございます。
それをおじいちゃんがものすごい歌ってたんですよ。
毎日ね。
はい。
童謡はほとんど小節つけておじいちゃんが教えてくれました。
私も浪曲大好きでね。
そうですか。
はい。
そういうおじいちゃんの影響もあってだんだん演歌になっていってほれでまあデビューする訳ですけども上京してからさパッとこうすんなり売れた訳やなくて10年ぐらいですかね?ご苦労。
遠いですね。
遠い遠い本当道のりかなあ。
…でしたな。
そうですね。
本当にでも夢を持った少女がそのまんま…。
な…何?夢を持った少女です。
そういうのを自分で言ういうのがすごいでんな。
でも言わなちょっと分からへんから。
夢を持った…ねえあの〜私が言うてもちょっとあれやから少女だったんです。
はい。
お母さんも一緒に?一緒に母も。
一緒に苦労したんですか?お母さんも。
共に。
何が大変でした?そうですね…。
レコード店の前で歌ういうのも大変でしょうけど歌うたからいうてそない飛ぶように売れまへんやろ?なかなか本当にね食事する間がないんですね。
何げんも組まれてるから。
「忙しい」いうてもそういう忙しさでね。
はい。
ちょっと横に焼きそば屋さんがあって母とこっそり食べてたらえらい怒られて。
何で怒られまんねん?「何で焼きそば今食べるんだ?」みたいな…。
「そんな焼きそばも食べられへんの?」みたいなね疑問にず〜っと感じてましたけど。
本当にそのぐらい時間小刻みに組まれる状況だったんでほんまにつらかったですよ師匠。
そのころが。
その時に声が荒くなってたのを母が気付いて「よしみあかんよ」言うて。
「もうちゃんと歌わんと心入れて。
どんな時にも」っていう事を話してくれたんです。
「誰かが見てる」。
「誰かが見てる」。
はい。
そん時におかんが言うたんでっか?はい。
その言葉は私もう忘れる事ができないんですよね。
10年いうたら今10年いうたらあっちゅう間か分かれへんけど本人は…この10年の中にいる本人は長いでっせ。
長いです。
それは楽曲っていうか曲が来る。
そしたらなかなか頑張ってもそれを認められない状況。
そしたらまた次来る。
そうこうしてるうちにもう大阪へね父が「戻ったらどうや?」って言う…。
お母さんはお元気であれなんですけどお父様は7年前にお亡くなりになったけども今でも写真を持ち歩いてるいう話聞きましたけど?そうなんです。
必ず亡くなっても必ず私のそばにいるっていうふうにして。
今の時期寒いのでちゃんちゃんこ着ている父の写真です。
「お父ちゃん寒いか?」言うたら「寒いな」って言うてくれるそういう姿に…。
男前でんな何か…。
昔はねすごく…本当イケメンやったんですよ昔は。
うん。
何かそなイケメンの感じしまんな。
ああそうですかね?ええ。
しかしこれ何でこの写真持ち歩いてまんの?あのですね私いつも父と話を実は…こんなん言うとあれなんですけどちゃんとこういうお父さんの額がスッと入るのがあるので入れ替えの形で全部バージョン変わってて。
「今日はこれでしょう?」言うて?はい。
今日はもうちゃんちゃんこかなみたいな。
例えば長崎へ行きました。
さあ寝ようかいう時にこれ…?まさにそうです。
ほう。
お茶をちゃんとお父さんにあげて「お父ちゃん」言うたら「何や?」って言ってるような気がするんです。
「何や?」言うのは心の声で聞こえてくる訳でんな?ものっすごい聞こえてくるんですよ。
お父ちゃんの声が?はい。
ほんまに聞こえてきてね私本当にお父さんと会話ものすごいするんですよ。
「お父ちゃん今日どうやった?私あかんかった?どうやった?」って言うたら「お前今日2番目の歌詞のとこでちょっとだけ流したやろ?」とか。
「どこ?」って言うたら「2行目のとこや」って言うんですよ。
「2行目のとこどこ流した?」。
「スッといったな今日は。
小節回ってへんかった」って全部言ってくれるんですよ父が。
だから「今度から直すから」。
「分かった分かった」。
「ほんであとはないか?」って言ったら「ご苦労さん」って言うんです最後に。
誰が?父が。
ヘヘヘ…。
父が「ご苦労さん」って。
「父が言う」て自分が言うてんねんけども父が言うてるようになる訳でんな?聞こえてくるような気がするんです。
しょっちゅう。
つらい時であっても。
しかしええ娘でんな。
本当にね。
親思いのね。
お父ちゃんも今頃喜んではると思いますけど。
ところで私ね「涙をこらえてカラオケを」という落語をやる時には枕でね天童よしみさんの歌を毎回ね歌わして頂いてるんです。
こちらこそ本当にうれしいです。
ただ歌うてるうちにね元はどんなんやったか分からんようになってきてましてね。
なるほど。
「珍島物語」教えてもらえますか?師匠にそんなとんでもない。
いやいやいやいやいや。
ちょっとそれ…せやから本家にちゃんと習うとかんと「本家に習いました」言うたらまたお客さんも喜んでくれるしね。
どこをどう歌ったらええのんかね?「珍島物語」って本当にお話しするように語るように歌うという事を最初に私も言われてレコーディングしたんですけど。
思い切りブレス吸い込んで息を…イントロの前ですね息を吸い込んで。
・「海が割れるのよ道ができるのよ」う…海が…え?ちょっと高いでんな。
高いですね。
あれ?そうすると師匠の声…。
・「海が割れるのよ」・「道ができるのよ」あ〜それです!語ってます語ってます。
語ってますか?語ってます。
・「島と島とが」・「つながるの」切ないですね。
ものすごいですわ。
・「つながる」ってこう眉がキュッとこうなったところすごいですね。
よろしいか?はい。
このごろド〜ンというヒットなかなか難しい世の中になってきましたですけどね。
もう時代がそうなんですね。
でも天童さんはいつまでもすばらしい歌声で日本の魂を忘れずに。
そうです。
はい。
共に頑張りましょう。
あっありがとうございます。
これどうするんですか?こうしよう思うたらこうしはったから「どないすんのかな?」思うて。
これ苦手なんですけど。
どないしたらええの?こうしましょうか。
これの方がいいです。
はい。
タッチしましたハイタッチです。
いや〜うれしい。
ありがとうございました今日は。
ありがとうございました。
(拍手)
(拍手)高齢化社会でございましてね。
ですからもう60で還暦でございますか。
もう還暦いうてももう今や若者でございます。
男は88が米寿でございますけどもまあ米寿辺りからもうちょっとこう男の方は疲れが出てくるというかぼんやりしてくる。
女の方はお元気でございますが。
「あなた88歳の誕生日よ。
よく今日まで頑張ったわね」。
「え?」。
(笑い)「何が?」。
(笑い)「『何が?』って。
今日は何の日か分かる?」。
「ゴミの日か?」。
(笑い)「何言ってんのよ。
誕生日よ」。
「誕生日!あったのか」。
「当たり前じゃないの。
毎年あったけれどもね今年は特別。
88歳米寿よ」。
「米寿!?ほう〜米寿か」。
「米寿よ」。
「米寿て何や?」。
(笑い)「だから88歳が米寿でね子どもたちがあなたの米寿を祝いたいと。
ホテルの宴会場で。
だからホテルに来てるのよ。
『この控え室で待っといてくれ』って言って。
50〜60人は集まるらしいわよ」。
「ほう〜親戚が50人も。
困ったなあ」。
「何が困ったのよ?」。
「わし誰が誰や分からへんと思うわ」。
「増えましたからね。
おさらいしときましょうか?せめて子どもだけでも間違わないようにして下さいね」。
「それが自信がないがな」。
「長男はシンイチロウ」。
「あ〜シンイチロウ。
耐えない子やったなあ」。
「子どもの頃はねえ『総領の甚六』いうてかわいがり過ぎたかも分かりませんがヒロコさんという奥さんもろうてからしっかりしましたの。
今回のパーティーもシンイチロウが音頭とってくれて」。
「『河内音頭』を?」。
「『河内音頭』やないの。
声をかけて走り回ってくれたんですよ」。
「足の遅い子やったのになあ」。
「そういう事じゃなくって長男のシンイチロウ…」。
「シンイチロウはいくつやったかな?」。
「もう還暦ですよ」。
「おお還暦か?でシンイチロウのところは子どもは?」。
「ここは覚えやすいの。
シンゴちゃん1人だけやから」。
「あっ。
あ〜そうか」。
「シンゴちゃんもええ人がおったらええのにねえ」。
「いやいやもう結婚せん方がええ。
増えたら困る」。
「ようそんな事を…」。
「シンゴでいくつやったかな?」。
「シンゴちゃんももうええ年ですよ」。
「還暦か?」。
「何でやねん。
子どもとそれから孫が還暦になってどうすんの。
その次がねマサヨ」。
「マサヨ!マサヨのとこはたくさんおったな」。
「女の子が4人ですねん。
また夫がヨットマンやからな名前にみんな『帆』という字が付きますの」。
「確か一番上の娘が『ア帆』やったかな?」。
「マ帆。
マ帆サ帆シ帆カ帆」。
「あ〜分からん」。
「分からんでもよろしいがな。
その次がタケジロウ」。
「タケジロウにはおってほしかったなあ。
かわいそうに8年前に交通事故で亡くなってなタケジロウの事を思うだけでな涙が出てくんねん。
あいつは男らしいてな優しいて頭のええ子やったなあ。
シンイチロウと代わっとったらよかったのに」。
「ようそんな事言うわ。
シンイチロウも一生懸命やってますがな」。
「ああそうか」。
「ほれでその次がマキちゃん」。
「あっマキはどうしてる?」。
「『マキはどうしてる?』ってマキちゃんは12年前に離婚して帰ってきてそれからず〜っと一緒に暮らしてますよ」。
「あ〜そやったか。
その次は?」。
「その次がクニコ。
女男女で一番上がなまたおなかに子どもが出来ましたんや」。
「また!あ〜そうか。
また…結婚式は?」。
「結婚式はしてませんの」。
「そうか。
また生まれんの。
もう名前は付けんでもええで」。
「そういう訳にいきませんがな」。
「ああそうか。
ほれで一番下が…」。
「一番下があなたのお気に入りのシュウヘイ」。
「シュウヘイ…シュウヘイに会いたいなあ。
シュウヘイはどうしてる?」。
「シュウヘイはなロスですからなあ」。
「シュウヘイは留守か」。
「留守やないの。
ロス!ロサンゼルス。
商社マンでロサンゼルスに住んでるから来てくれたらよろしいな。
私も会いたいわ。
孫に」。
「あ〜孫に会いたいなあ。
シュウヘイの嫁さんは白人やからかわいいねん子どもが。
双子やで。
クルミとミルクいうねんで」。
(笑い)「あんたシュウヘイの子どもだけはちゃんと名前も覚えてからに…」。
「覚えてるがな。
嫁はんの名前もアメリカ人やけどちゃんとわしは覚えてるで」。
「ああそうですか?」。
「名前は大阪弁やから覚えやすいねん」。
「大阪弁ですか?」。
「『あんじょうしたりいな』言うねんで」。
「アンジェリーナ!」。
「え?」。
「アンジェリーナ」。
「あっアンジェリーナ。
わしはまた『あんじょうしたりいな』やばっか思うてな。
せやけど『あんじょうしたりいな』言うたら『ハ〜イ』って言うてくれてんで」。
「あんたに気ぃ遣てくれてるんですがな」。
「あ〜そうか。
しかしお前ぎょうさん子ども産んだなあ。
ほれでお前とわしはいくつ違うんやったかな?」。
「6つですよ6つ」。
「えっ!?お前もう94か!?」。
(笑い)「私は82歳」。
「あ〜82歳。
せやったな」。
「そうそう。
マキちゃんから頼まれてな『お母さん写真撮っといたら?』言うてデジカメを借りてきてますの。
これやったらすぐに見れるから。
あんたこっち向いて。
はい。
やっぱりよかったわ。
その黒の紋付き。
ねえ借りといてよかった。
はいニコッとして。
はい1足す1は?」。
「3」。
「何で3やねん。
はい。
出来たわ。
『3』言うてる方が面白い。
ええ顔や。
ええわこの写真。
どうです?」。
「え?あ〜お前それまた葬式で使おう思うてんのと違う?」。
「そんな思うてやしません。
葬式にはもうええのを選んでますの」。
「せわしないな。
まだか?わしもう疲れたから帰るで」。
「いやそんな事言わんとあんたのパーティーやから。
あっマサヨが来た。
マサヨマサヨ。
早い事せなおとうちゃん帰る…」。
「お父さんお待たせしました。
ちょっと帰らんと。
ちょっとシンイチロウ兄ちゃん早く早く早く!」。
「あっお父さん!」。
「おおタケジロウ!」。
「いやタケジロウやない。
シンイチロウです。
シンイチロウ」。
「あっせやったなタケジロウ」。
「いやいやタケジロウやない。
シンイチロウです」。
「ああシンイチロウか。
もうわし疲れたから帰るわ」。
「アホな事言わんといて下さい。
お父さんをみんなが待ってるんですから。
シュウヘイ!お前来てお父さんを説得してくれ。
シュウヘイ」。
「シュウヘイ?来てくれたんか」。
「お父さん初めから来る予定やったんですけどねみんながお父さんをびっくりさせよう思て黙っとったらしいです。
クルミとミルクも待ってますよ」。
「そうか」。
「嫁さんのねあんじょうしたりいなも待ってますから」。
「お前な自分の嫁はんの名前間違うたらあかんで。
アンジェリーナ」。
「そうです。
嫁さんの名前を覚えて頂いてありがとうございます。
それではパーティー会場に行きましょうか」。
「おお行こうか。
シンイチロウ!お前は行けへんのんか?」。
「行きますよ私も。
みんなご苦労さんやったな。
いや〜本当にこのホテルもようやってくれた。
みんなシュウヘイよう来てくれたな」。
「兄さんもご苦労さんでした」。
「じゃあまあ乾杯しようか。
乾杯!しかしどうも納得いかんねん」。
「お兄さん何でやねん」。
「マサヨ。
お父さんなわしの名前間違うてばっかりやねん。
『タケジロウ』。
『いいえシンイチロウです』言うと『あっせやったなタケジロウ』こうやで。
ところがシュウヘイ間違うた事ない」。
「年取って出来た子やからかわいいんやがな」。
「かわいいか知らんけどボケてきたでちょっと。
マキお前いつも一緒に住んでんねんちょっと見といてくれよ。
いつ倒れるや分からへん。
何か書いたもんが出てきて『全てをシュウヘイに譲る』と書いてあるか分かれへんから」。
「お兄さん。
お父さんはボケてきたんと違う。
悟りの境地に入ってきたんや」。
(笑い)「名前もね僕の名前はしょっちゅうタケジロウと間違うとったよ。
お父さんはタケジロウ兄さんに生きとってほしいのや。
タケジロウ兄さんの死んだ時のお父さんの悲しよう分かってるやろ?せやからな何にも言えへんかったらちゃんとシュウヘイと呼んでくれるようになったんや。
大体な名前なんてみんなお父さんの付けたもんや。
どう呼ぼうとお父さんの勝手と違うんか?」。
「まあまあ勝手といやあ勝手やけど。
すまなんだな。
ちょっとわしやきもち焼いとったんや。
もういっぺんほんなら乾杯しようか。
お父さんの長寿を祝うて乾杯!」。
「こんばんは!」。
「あ〜あ…タケジロウか?」。
「はい!」。
「え…シンイチロウやん。
楽しそうや。
来い来い来い来い。
あのなタケジロウ」。
「はい」。
「いやシンイチロウやシンイチロウ。
何を言うてんお前。
何しに来たんや?」。
「いや家から電話あってね『会社の帰り寄ってくれ』って」。
「そうやねん。
お前になほんまにこないだのパーティーありがとうな。
お前に渡そう思うてな本当に世話んなった。
これをな紙に包んだもん。
おかあさんちょっと向かいの家行っておれへんけど受け取ってくれ。
こないだのお礼や」。
「そんなお父さんそな構へんて」。
「ええから受け取れ。
昨日の老人会でもろうたまんじゅうや」。
(笑い)「ああそれからなお前お金も遣うたやろうからおかあさんと相談してな10万円。
『お礼』って書いてある封筒に入ってる。
これ受け取ってくれ」。
「え?」。
「いやまあ受け取れ」。
「いやせやけどこんなん…」。
「ええから。
10万円に8万円足らんねん。
受け取れ。
ほなタケジロウ」。
「はい」。
「いやシンイチロウやシンイチロウ。
ほなもう帰り。
ほなな!お〜また来いよ」。
「あんたどうでした?」。
「いや来てな受け取ったで。
『10万円に8万円足らん』言うたらガックリしとった」。
「またそんな事言うて。
何でそんないけずな事言うんです?」。
「せやけど家へ帰って10万円あったら喜ぶがな」。
「そらあそうやけども」。
「それはそうとシンイチロウっていくつになんのやったかな?」。
「もう還暦ですよ」。
「還暦か。
還暦いうたらまだまだ若いのにあいつこのごろボケてきよったな」。
「そうですか?」。
「そうかて。
あいつ自分の名前分からんようになっとるで」。
(笑い)
(拍手)2015/12/20(日) 05:15〜05:45
NHK総合1・神戸
桂文枝の演芸図鑑「江戸家猫八、天童よしみ」[字]
落語家・桂文枝が、演芸界のよりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸は江戸家猫八の動物鳴きまね、桂文枝の落語。対談のゲストは天童よしみ
詳細情報
番組内容
落語家・桂文枝が、演芸界のよりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸は江戸家猫八の動物鳴きまね、桂文枝の落語。対談のゲストは天童よしみ。
出演者
【出演】江戸家猫八,天童よしみ,【ナビゲーター】桂文枝
ジャンル :
バラエティ – お笑い・コメディ
劇場/公演 – 落語・演芸
バラエティ – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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