(野口史明)お断りですよ。
(野口)冗談じゃない!帰ってもらえませんかね。
(角田六郎)どうだなんか聞こえるか?
(杉下右京)いえ何も。
(ため息)死んでるのかなぁ…。
どうでしょうねぇ。
(亀山薫)おはようございます。
うわっ!おどかすなよ!おはようございます。
何やってんすか?いやこん中にオオクワガタの幼虫がいるんだけどね。
オオクワガタ?うん。
甥っ子の誕生日にデパートで買ったんだけどさ全然動かねえんだよな。
あっここら!ダメですよ刺激しちゃあ。
クワガタの幼虫はデリケートなんですから。
あーそうなの?あー中が乾いちゃってんな。
あっこれね空気穴が大きすぎるんですよ。
湿らせてやらないと。
じゃ水やってくるか。
あーちょちょっと…。
置き水を使うんですよいいですか?あとね温度が高いと発育が悪くなりますからね。
詳しいですね。
ガキの頃は虫博士と呼ばれておりました。
そうでしたか。
はい。
あーあこれちゃんと育ってくれないと1万円丸損だよ。
1万!そんなにしたんですか?虫は高いんだよ。
大人のクワガタなんかねいいのは40〜50万もする。
黒いダイヤと言われているぐらいですからねぇ。
虫1匹に何十万ですか。
(米沢守)何十万どころではありません。
おどかさないでくださいよ。
近頃では虫1匹のために殺人さえ起こるようです。
クワガタの幼虫を見にきました。
見えないよ。
出てこないもん。
出てくるまで待ちましょう。
ちなみに私子供の頃は虫博士と呼ばれていました。
今殺人とおっしゃいましたか?失礼。
正確には強盗殺人でした。
(シャッターの音)
(米沢)ミヤモトアゲハという蝶です。
確か城陽大学の宮本教授によって発見された新種でしたね。
よくご存じで…。
発見された際新聞に写真が掲載されたのを覚えています。
繊細な造形と神秘的な色合いが大変印象に残りました。
現在世界に2つしか標本がありません。
1つは城陽大学に保管されておりもう1つは…。
被害者が持っていた。
盗まれてしまいましたが。
その標本って結構な額になるんですかね?被害者は300万円で購入したそうです。
300万!はぁ〜強盗も狙うわけだ。
被害者は野口史明52歳無職。
(米沢)数年前に会社をリストラされ女房とも離婚。
おそらく人生の悲哀を感じて蝶にのめり込んだんでしょうなぁ。
そこはかとなく親近感を覚えます。
世界に2つしかない標本のうち1つが盗まれた…。
となるともう一方が盗まれる可能性も…。
(チャイム)いやぁすっげえすげえすげえすげえすげえ!あージャコウアゲハだ懐かしいなぁ!あっミスジチョウもいる!こういうの見るとガキの頃思い出しません?そうですか?あれ?夏休みに虫捕りとかしませんでした?残念ながらそのような経験はあまり。
…でしょうね。
あーキバネセセリだ。
これね弾みたいにまっすぐ飛ぶんですよ。
知ってました?知りませんでした。
右京さんでも知らないことがあるんですね。
(忍び笑い)うわーすごい標本だな。
マダラチョウの仲間だけで5匹もいる。
亀山くん。
蝶は1匹2匹ではなく1頭2頭と数えるのが正式なんですよ。
…そういうことはよく知ってますよね。
(宮本洋一郎)どうもお待たせしちゃってすいませんねぇ。
こいつがミヤモトアゲハです。
去年の春に採集した個体ですわ。
なるほど…美しいですね。
ねぇ。
出会った時の感動はねありゃ忘れられないですよ。
そうでしょうねぇ。
深い色といい繊細な模様といい大自然の深遠さを感じさせます。
そうそう自然ってのはアーティストですよホント。
ミヤモトアゲハの生態はね正直まだよくわかっとらんのですわ。
そこがまたいいでしょ?ワクワクさせるじゃないですか。
(小西美紗緒)そんなに呑気にしていていいんですか?その標本だって盗まれてしまうかもしれないですよ。
脅すんだもんなぁ。
あっ僕の助手です。
小西と申します。
警視庁特命係の杉下です。
亀山です。
ミヤモトアゲハのせいで人が殺されたとか…。
残念ながらそのとおりです。
どうぞ保管は厳重に。
世の中物騒ですからね。
(チャイム)肝に銘じときます。
じゃあ講義がありますんで僕はこれで。
あっ蝶のことならなんでも彼女に訊いてください。
アハハハ。
お忙しい中ありがとうございました。
(染井繁)宮本教授。
まーたあんたか。
(染井)今日は300万持ってきました。
これでミヤモトアゲハを…。
何度も言ったでしょうが。
あの蝶は売らないよ。
そこをなんとか教授お願いします!ダメダメ!帰んなさいよ。
教授!教授!お引き取りください!お願いします。
あなたからも教授にお願いして頂けないでしょうか。
もうこれ以上しつこくされるとこちらにも考えがあります。
離してください。
今日は警察の方も見えてるんですよ。
何か?…諦めませんよ。
いつか必ずミヤモトアゲハを手に入れてみせる。
いつか必ず…。
(ため息)蝶のコレクターの方です。
毎日のように来るんですよ。
ミヤモトアゲハを売ってくれって。
よほど蝶がお好きなんですねぇ。
(染井)ミヤモトアゲハ…ミヤモトアゲハ…。
ミヤモトアゲハ…。
(子供)やったー。
フフこんにちは〜。
こんにちは。
いってらっしゃい。
やった。
あここっすね。
(チャイム)ミヤモトアゲ…。
(チャイム)
(ドアを閉める音)
(ため息)うわ…。
はぁ…蝶屋敷だなこりゃ。
何か?えっいやいや…すごいっすね。
はぁ〜!すげえすげえヘヘ。
素晴らしいコレクションですねぇ。
あっドルリーオオアゲハ!すっげえ!このケースだけ空ですね。
ミヤモトアゲハのために空けてあるんです。
あーなるほど。
いつかこの中にミヤモトアゲハを飾るんですよ。
そして毎日眺めて過ごすんだ。
誰にも邪魔させない…僕だけの蝶…。
教授が新種の蝶を発見されてミヤモトアゲハと名付けたのが去年の春。
2番目の発見者はどなたでしょう?小学生ですよ和歌山の。
子供の両親はそれがミヤモトアゲハだとわかると蝶をオークションに出したんです。
それを競り落としたのが野口さんだった。
300万…。
10万。
20万。
40万。
200万!
(野口)220万。
230万!300万!それでは300万で落札です。
(拍手)
(染井)あの蝶を誰よりも愛しているのはこの僕なのに!僕こそミヤモトアゲハを手に入れるのにふさわしい人間なのに!蝶を売ってくれるよう野口さんに頼みに行かれたことは?何度も行きましたよ。
ようやく300万工面して。
だけどあの人は売ってくれなかった!はいはいはい…よっぽどミヤモトアゲハが好きなんすね。
ひとたび蝶に魅入られた人間はね…その魅力から二度と逃れられないんですよ。
蝶を手に入れるためならどんなこともするようになるんです。
どんなことも…。
(宮部たまき)子供の頃田舎に行くと網持って一日中トンボ追いかけ回してたわ。
ギンヤンマとか。
ギンヤンマかぁ…よく飛び道具で引っかけて捕ったなぁ。
飛び道具?ええ。
あのねこう紐の両端にボタンとかそういうちっちゃな重石をつけてでうまく投げるとトンボのほうから突進してくるんですよ。
(たまき)引っかかるの?引っかかっちゃうんですよねぇ。
被害者はなぜ300万もする蝶を購入したのでしょう?捜査資料によれば彼には借金さえあったそうですよ。
ああ…あのコレクターみたいに蝶に魅入られちゃったんじゃないっすかね。
それが原因で奥さんと別れたのかも。
変わった夫を持つと妻は大変なんですよね。
実感こもってますね。
やはり蝶に魅入られた人物でしょうかねぇ。
え?野口さんを殺害した犯人ですよ。
ああ…。
(足音)何してるんだ!標本が見たい時は僕に言いなさいよ!申し訳ありません。
こんばんは。
宮本教授まだ残っていらっしゃいますか?なんですこんな時間に。
ご500万…。
(ため息)
(染井)実家の掛け軸を売ったんです。
これでミヤモトアゲハを!あなたちょっとおかしいんじゃない?ちょっと待ってくださいよ!宮本教授は?まだ研究室ですか?
(堀内洋造)野口くんの事件は大変残念でした。
ここに勤めていた頃には真面目な社員だったんですけれどもねぇ。
どうぞおかけください。
失礼します。
まぁ少々協調性に欠けるところはありましたけれどもねぇ。
野口さんは…リストラされたんですよね?そう思ってる連中は多い。
しかしあれは本人の希望です。
5年前の夏でしたね。
ん?野口さんがお辞めになったのは。
(小松原靖之)あ…それが何か?僕の記憶に間違いがなければ5年前の夏というと確かこちらの会社が新しい工場の建設に着手した時期ではありませんか?失礼ながら当時地元住民の間に反対運動が起こり何度か新聞に取り上げられたのを覚えています。
彼は社内でただ1人工場の建設に反対してたんです。
地元住民と結託して…会社に食ってかかってきた。
自分の会社にですか?ええ。
工場の建設予定地は大阪府松沢郡だったんですがそこは彼の生まれ故郷でしてね。
まぁ私情に動かされたということでしょうか。
しかし工場は建設された。
それに憤慨をして彼は会社を辞めた。
あ…そろそろいいですかな?会議の時間なんだが。
おいとましましょ。
はい。
大変参考になりました。
失礼します。
あっ1つだけよろしいですか?なんですか?こちらでは…蝶の標本などは飾ったりなさらないんですか?蝶の標本?ハハハ趣味じゃないね。
おやおやそれは意外ですね。
亀山くん。
はい。
城陽大学の宮本教授によって設立された日本蝶協会の会報です。
協賛企業の中に…こちらの会社の名前も入ってますねぇ。
専務のあなたが窓口となって協会に運営資金を寄付なさってるとか。
てっきりあなたも蝶に魅入られたお1人かと思いました。
協会は環境問題や自然教育に積極的に取り組んでいます。
そこのスポンサーになることは企業のイメージアップにつながりますから。
なるほどイメージは大切ですからね。
では。
本当に失礼します。
なーんかありそうですかね。
あるかもしれませんね。
(携帯電話)杉下です。
昨日はありがとうございました。
はい?わかりました。
すぐに伺います。
城陽大学の小西さんです。
あー宮本教授の助手の。
教授が殺されました。
えっ!?
(パトカーのサイレン)
(シャッター音)
(米沢)着衣の状態から見てかなりもみ合ったようですねぇ。
(三浦信輔)抵抗むなしく胸をひと突きか。
(芹沢慶二)先輩蝶の標本が1つ見当たらないそうです。
(伊丹憲一)また蝶かよ…。
そのなんとかアゲハか?
(芹沢)ミヤモトアゲハです。
お気の毒でしたね。
あの蝶のせいです何もかも。
標本盗まれてしまったんですね。
あんな蝶…発見しなければよかったんです!今思えば蝶を見つけた時から教授は…。
すいません…。
いえ。
蝶を見つけた時から…なんでしょう?ミヤモトアゲハを発見してから教授は変わりました。
時々意味もなく塞ぎ込んだり怖い顔で標本を眺めたり…。
前はそんな風じゃなかったんです。
その理由を教授は何か…?訊いても教えてくれませんでした。
でも先日突然教授が協会のスポンサーの方を呼んで…。
(宮本)ミヤモトアゲハはねありゃ…ホントは新種じゃないんですわ。
新種じゃない?教授がそう言ったんですか?はい。
それについて教授にお訊きにはならなかったんですか?訊けませんでした。
だから私1人で調べてみようと思って…。
(伊丹)こら特命係の亀山!気配がすると思ったらやっぱり来てやがった。
お先に失礼!うるせえカメ虫。
(三浦)これはこれは警部殿。
どうも。
昨夜こちらに遅くまで残っておられたそうですね。
はい。
調べ物をしてまして。
(芹沢)その時教授とご一緒でしたか?私…疑われてるんですか?質問にお答えください。
教授がいらした直後に帰りました。
一緒にいたのはほんの一瞬…。
あの人…。
なんです?蝶のコレクターの方がいらしたんです。
私帰り際にばったり出くわして…。
何時頃ですか?あれは確か…。
あーちょっと待って。
いつまでいるんですかね警部殿!とっとと出てけこのカメ虫!誰が帰るかバーカ!亀山くん帰りましょ。
え?ありがとうございました。
(舌打ち)教授が殺された?ええ昨夜。
蝶は!?ミヤモトアゲハは無事ですか!?残念ながら犯人に盗まれた。
そんな…。
じゃあもう標本はもうどこにも…。
昨夜教授に会いに行ったそうだな。
ミヤモトアゲハが…。
何時頃だったか覚えてる?盗まれた!ぬす…わーっ!なんなのお前なんだよお前どうしたの何?ミヤモトアゲハを探しにいくんだ!こうなったら自分の手で捕まえるしかない。
ちょっと落ち着けっつうのお前は。
何やってんのお前おいどうし…。
今から列車に乗れば夜には和歌山に着く…。
いや行かなくていいから。
ミヤモトアゲハが僕を待ってるんだ。
僕が迎えに行くのを…。
落ち着けっつうのおい!おら!犯人を逮捕したら標本も戻ってくるんだから。
な?
(泣き声)泣かない泣かない!ちょっとよろしいですか?おいおいおいほら。
この2つの丸印はミヤモトアゲハの採集地点ですね。
いずれも和歌山県の田波郡。
ではその北部にバツ印が数か所点在していますがこれは何を示すものでしょう?目撃地点ですよミヤモトアゲハを見たっていう!なるほどコレクターの間ではそういう情報も取り交わされているんですね。
ななんだよ。
もう帰ってください…。
1人にしてください。
我々が帰ってもすぐに次の客が来ると思いますよ。
そうそう。
(チャイム)ほらね。
おいで。
(チャイム)まただ。
ん?カメの気配がする。
お先にしつれ〜い。
少し興奮なさってます。
取り調べは慎重にね。
では。
ね。
(笑い声)
(笑い声)天罰ですよ!教授も野口さんもあの蝶を心から愛してはいなかった。
手に入れるだけで満足して愛でようとしなかった。
蝶の神様が怒って2人に天罰を下したんですよ!
(笑い声)
(角田)ヘヘクワガタの幼虫がね顔出してんだよほら。
かわいいぞ〜。
あーホントだ。
この顔はオスかな?えっ顔でわかるの?オスのほうがね頭の幅が広いんですよ。
あーさすがは虫先生。
博士。
(角田)オスか。
じゃ名前はカメ吉だな。
なんでカメ吉なんですか?
(角田)長生きしそうだろ?そんな名前にしなくてもねうまく飼えば3〜4年は生きますよ。
蝶なんかよりずっと長生きなんですから。
蝶な。
蝶はいかにもはかなげだもんな。
せっかく捕まえた蝶が死ぬとガッカリするんだよなぁ。
一晩で死んじゃったこともありましたよ。
(角田)それ年寄りの蝶だろ?いやいやタイワンシロチョウっていうんですけどね。
台湾の蝶ですか?ええ。
あっちの蝶が台風の風に乗って飛んできたんですよ。
たまにいるんですよそういう蝶。
まぁ海を越えてきて弱ってたんでしょうね。
バツ印が数か所点在していますが何を示すものでしょう?行きましょ。
うわー!どどどこへ?最初の被害者野口さんの自宅です。
右京さんありましたよ。
あーあの蝶マニアが持ってたのとほとんど同じですね。
やはりミヤモトアゲハの採集地点及び目撃地点が記入されていますね。
ええ。
田波郡を含む紀伊半島の一部では冬場に独特の季節風が吹く…と聞いたことがあります。
季節風は北西から南東へかけて吹く。
地図上の印が全てそのルートに重なります。
蝶を運んできた季節風を風上に向かってずーっとたどってゆくと…。
あっ右京さんこのマーク…。
明律化学の大阪工場です。
ミヤモトアゲハはこの工場付近で羽化したのではないでしょうか?えっちょっと待ってくださいよ。
じゃあ最初の被害者が300万出して蝶を手に入れたのはこの工場と何か関係が?被害者はある疑いを抱いていたのかもしれません。
ミヤモトアゲハは新種の蝶などではなく工場の存在によって生み出された異常な個体なのではないかと…。
異常な個体?すなわち自然環境の汚染による奇形…。
(美紗緒)環境汚染が蝶に与える影響ですか?具体的にどのような例があるのかと。
イギリスのマンチェスターにこんな記録があります。
マンチェスターが工業化してその煤煙によって付近の木々が黒く染まるとそこに生息してる蝶の中に黒い個体が増え始めたんです。
木々と同じ色つまり保護色になることによって天敵から身を隠したのだと考えられています。
この記録に信憑性を疑う声もありますが環境の変化が蝶の形体を変えてしまう可能性は大いにあります。
では環境の汚染が奇形の蝶を生み出す可能性も…無論あるでしょうね。
ミヤモトアゲハは環境汚染による奇形だと?おっしゃるとおり。
じゃそれに気がついた教授は殺されたとおっしゃるんですか?それをなんとかして確かめたいんすけどねぇ。
これは…役に立つでしょうか?これ!いらっしゃいませ。
パンフレットどうぞ。
いらっしゃいませ。
(芹沢)ミヤモトアゲハも出品されてますね。
妙だな…標本は世界で2匹だけだったはずだ。
まさか盗まれた標本が出てるんじゃ…。
そらねえだろ。
だよな。
何度ツラ見せりゃ気がすむんだよ!今何度目?えーっと…知るか!目障りだうせろ!あのな蝶は1頭2頭って数えるんだよ覚えとけ。
へぇ〜。
お先にしつれ〜い。
蝶愛好家の皆さん本日は日本蝶協会主催のオークションにようこそお集まり頂きました。
本日司会を務めさせて頂きます理事の小西と申します。
(拍手)
(美紗緒)皆さんすでにご存じのように本協会の設立者である宮本教授は先日不幸な事件のために帰らぬ人となりました。
本日のオークションの利益は今後の協会の運営と蝶の保護活動に充てさせて頂きます。
それではオークションを開始いたします。
(美紗緒)最初の品はアジアの妖精ビクトリアトリバネアゲハです。
トリバネアゲハは保護蝶に指定され現在採集が禁じられています。
今後価値は上がるものと思われます。
千円から始めさせて頂きます。
3千円!5千円!1万円!いらっしゃいませ。
パンフレットどうぞ。
(ため息)お客様コートお預かりいたします。
ありがとう。
お預かりいたします。
続いての出品はインドネシアの宝石ヨルダニーアゲハです。
他のアゲハに比べて羽が非常に薄いため傷のない個体は世界に数点のみと言われています。
こちらも千円からどうぞ。
5千円!1万円!2万円!5万円!10万円!15万!20万!30万!他にはいらっしゃいませんか?それでは30万円で落札です。
(拍手)さぁいよいよ本日最後の出品ミヤモトアゲハです!
(客たちのどよめき)
(美紗緒)今回この蝶が出品されると聞いて驚かれた方も大勢いらっしゃると思います。
ミヤモトアゲハはこれまでに2個体が採集されましたがどちらも盗難の憂き目に遭いました。
しかし我々はあるルートから第3の個体を手に入れたのです。
それではこちらは1万円から始めさせて頂きます。
(競る声)200万!210万!250万!260万!300万!400万。
410万!450。
500万!600万。
(美紗緒)さぁ600万です。
他にどなたかいらっしゃいますか?700万。
750万。
800万。
850万。
1千万。
(客たちのどよめき)
(美紗緒)1千万1千万です。
他にどなたか?1千500万。
2千万。
3千万。
4千万。
ご5千万…5千万だ。
1億。
(客たちのどよめき)1億…1億が出ました。
他にどなたかいらっしゃいませんか?それでは1億で落札。
待て…。
1千…。
1億…1千万だ…。
では1億1千万…1億1千万円で落札です。
(拍手)こちらでお手続きください。
主催者は?その前に少しお休みになってはいかがですか?ご気分が悪そうですよ。
私は蝶の取り引きをしに来たんだ。
刑事に用はない。
まぁそうおっしゃらずに。
まさか…。
私をはめたのか?申し訳ありませんでした。
確認したかったんですよ。
あなたがミヤモトアゲハを競り落とすかどうか。
ご気分を害されたなら謝ります。
当たり前だ…横暴極まりない。
しかし以前あなたの会社も横暴極まりないことをなさったんじゃありませんか?どういう意味だ?5年前あなたの会社で新工場の建設計画が持ち上がった時野口さんは社内でただ1人それに猛反対を唱えました。
工場が自然環境を汚染すると確信した野口さんは住民とともに反対運動を起こしました。
あなたが率先して住民運動をつぶしたそうですね。
私は組織の一員としての責務を果たしたまでだ。
やましいところは一切ない。
そうでしょうか?工場が完成して1年が過ぎた頃ある記事が新聞に掲載されましたね。
和歌山県田波郡で新種の蝶が発見されたという記事です。
この記事を読んだ野口さんはこう考えました。
この蝶は新種ではなく環境汚染によって生み出された奇形に違いない…。
野口さんはミヤモトアゲハをオークションで手に入れ会社側に詰め寄った。
環境汚染の事実を認め全てを公表して謝罪しろと。
慌てた会社側は直ちに工場を閉鎖したものの事実は調査しなかった。
そればかりか一切を闇に葬るため野口さんを殺害しミヤモトアゲハを盗み出した。
よくもまぁそんなホラ話を恥ずかしげもなく披露したものだ。
では宮本教授を殺したのもこの私というわけか?そうですよ〜。
あなたはもう1つの標本を盗み出すために協会のスポンサーとなり教授に近づいた。
教授の不運は蝶の秘密をあなたに漏らしたことでした。
ミヤモトアゲハはねありゃ…ホントは新種じゃないんですわ。
教授が蝶は環境汚染の産物だと気づいたに違いないと思ったあなたは教授をも殺さざるを得なくなった。
そしてやはりミヤモトアゲハを…。
もう結構。
私は帰らせてもらうよ。
あーそうそう。
私には検察に古い友人が何人もいるんだ。
君たちのその無礼な振る舞いについてはしっかりと伝えさせてもらうよ。
小松原さん。
預けたコートしばらくお借りします。
なんのつもりだ?宮本教授の死体にある物質が付着していたんです。
鱗粉です。
蝶の羽って粉で覆われてるでしょ?あの粉がたっぷり付いてたんですよ。
犯人ともみ合った際に蝶がケースから出ちゃったんでしょうね。
鱗粉の形状は蝶の種類によって異なりますがミヤモトアゲハの鱗粉は顕微鏡で見ると厚さ0.5ミクロン。
非常に特徴のある袋状だそうです。
犯人の衣服にも同じ粉が付着してる可能性があります。
あの日も今日と同じコート着てらっしゃいました?疑いを晴らすためにもね一応調べましょうよ。
ああ…何十年ぶりだったかなぁ。
子供の頃の夏休み以来だな。
はい?こんなに必死になって蝶を追いかけたのは。
蝶に翻弄されたのは…。
(ガラスが割れる音)
(2人のもみ合う声)うわー!やめろー!
(宮本の悲鳴)どんな組織にだって多かれ少なかれ後ろ暗いところはある。
ええおっしゃるとおり。
警察だって例外じゃないでしょう?それがどうかしましたか?だから…環境を汚さないで生きてる人間なんか1人もいやしないんだよ。
考えてもみたまえ。
洗剤を使ったことない人間がいるか?ゴミを出したことのない人間がいるか?ふん!そういう問題じゃねえだろうが!そういう問題なんだよ。
1人1人の暮らしが結果的に奇形の蝶を生み出してるんだよ。
なぜ我々の企業だけが責任を取らなければならないんだろう?小西さん。
ミヤモトアゲハです。
教授の遺品の中から見つかりました。
昭和50年教授がまだ学生だった頃彼の友人が和歌山県田波郡で採集した個体です。
友人はこの新種の蝶を教授に託し肺病で世を去ったそうです。
ご友人の死後教授はこの蝶のことを自分だけの秘密にしていました。
そして30年間同じ蝶を探し続けついに採集に成功したんです。
そして自分が発見した新種として公表した。
では…教授がこの蝶を新種ではないって言ったのは…。
はるか以前に発見されていた蝶である…。
それだけの意味ですよ。
ミヤモトアゲハは工場が建つずーっと前から人目に触れることなく生息していたんです。
野口さんはそれを奇形の蝶と勘違いなさったんですねぇ。
あなたの会社の人々はその勘違いを鵜呑みにして奇形の蝶という幻に怯え続けていたんですよ。
あんた2人の人間を殺す必要なんて…なかったんだよ。
(笑い声)こんな虫ケラのために…ハハハ…。
私の人生は…。
(笑い声)そんな虫ケラのために…。
(笑い声)
(小松原の笑い声)
(笑い声)
(染井)お願いしますミヤモトアゲハを譲ってください。
お金はいつか必ず払いますから!邪魔だよ!君がうらやましいよ。
君の人生が…。
ちょっと待って…待って…。
(染井の泣き声)差し上げます。
あなたの…勝ちよ。
ありがとうございます…。
(染井)ありがとうございます…。
ありがとうございます…。
(泣き声)幻の蝶を追い続ける人間。
自分が作った幻に追われ続ける人間。
いろいろですね。
2015/12/18(金) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒season4[再][字]
「アゲハ蝶」
詳細情報
◇番組内容
“警視庁一の変人”だが天才的頭脳で鋭い推理をみせる杉下右京(水谷豊)と“おひとよしな熱血刑事”亀山薫(寺脇康文)の名コンビがあらゆる難事件に挑む!
◇出演者
水谷豊、寺脇康文、板谷由夏、高樹沙耶(益戸育江)、河西健司、飯田基祐、川原和久、大谷亮介 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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