「上方落語の会」本日のゲストはスポーツコメンテーターの田中雅美さんです。
よろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
今日はねこちらの1,400人入るホールにご覧のとおりにいっぱいのお客さんがどんどん入ってきてはりますけども。
こういうホールでやる落語会もあるんですけども落語はやっぱり寄席というのがあるんですよ。
そういうとこは行かはった事あります?私あるんです。
東京の新宿の末廣亭という所に伺った事がありまして。
あれ木造でねあの空間だけが江戸時代みたいな雰囲気でね。
タイムスリップしたみたいな感じで。
またお弁当食べながら噺が聴けるのもすごく楽しませて頂きました。
あれは一日いてられますからねゆっくりとね。
はい。
また噺を聴いてると私お仕事で講演会もやったりもするんですけれども皆さんのお話のしかたというのが大変勉強になりまして人を引き付けるような話し方ですとかそういったところも聴きながら勉強させてもらってました。
ストーリー入る前に枕ちゅうのありますわな。
そこでうまい事引っ張っていって中へ入ってくという。
今日もそういう至芸をご覧に入れますので。
楽しみです。
まずは桂文三さんのちょっと珍しい噺「嬶違い」からお聴き下さい。
ではどうぞ。
(拍手)ありがとうございます。
替わりありまして出てまいりましたのが私桂文三と申しましてちょっと怪しい者でございます。
どうぞよろしくお願い致します。
文三でございます。
文三でございます。
どうぞよろしくお願い致します。
(拍手)ありがとうございます。
え〜まあ私も皆さん方は恐らくご興味ないか分かりませんが年齢的にも50ちょっと前になってまいりましてね。
キャリアの方も25年を迎えようかなんていう年になってまいりました。
人間と申しますのはどっかに油断が出来るとうかつなところでぽろっと間違うたりする事があるんですね。
私もそれ最近思いましてね。
どっかにいつも緊張感というものは絶えずあるんですが舞台前なんていうのは慣れてきますというと二十数年やっておりますと…。
これはいかん事なんですよ。
いかん事なんですがちょっと足元をすくわれる事がございまして。
昔はなかったんですが近頃そういうのありましてね。
小ばなしをとちるという事を近頃多ございまして。
あんな短い右向いて左向いたら終わりなのにあんな事で間違うてたら長い噺どうするんだっていうぐらいねおかしな間違いをしましてね。
あってはならん事なんですが。
「ハトが何か落としていったな」。
「ふ〜ん」。
冷たい反応ありがとうございます。
(笑い)まあ一見どうもない話なんでございますけど。
え〜分かって頂けましたよね。
ハトが飛んでた糞と返事の「ふん」が掛かってる訳ですね。
これ「ふん」が落ちなので落語というのは小ばなしというのは落ちで笑って頂かなあきません。
ところが何を油断したのか私こっち向いて「ハトが糞落としていったな」て言うてしまったんですよね。
これお分かり頂けますでしょうか。
全部こっちでまとめてしまったんですよね。
落ちどうしようかなと思てとっさに出た言葉が「汚〜」やったんですよね。
(笑い)これ何も…。
普通の話ですよね。
もうえらい事で足元をすくわれた事あります。
え〜こんな小ばなしこれも私最近失敗したんですけどね。
「パパの会社が潰れたのよ」。
「とうさん」。
(笑い)
(拍手)ありがとうございます。
とても美しい笑いをありがとうございました。
ところが私これを何を間違ったのか「パパの会社が潰れたのよ」。
「おやじ」って言うてしまいました。
もう全然意味がなってない…。
話としてはなってるんですが落ちになってないというこんな間違いが。
間違いなんですよね。
「違う」という言葉たくさんあります。
勘違いであるとか場違いなんていうのもね。
「あっ俺が来るとこちゃうわこんなとこ」なんていう事があったりとかもしますが。
今日の私のお噺は「違い」というところで「嬶違い」というお噺を聴いて頂きます。
文字どおり嬶が違う訳なんです。
え〜嬶というのは嫁はんの事ですわね。
どう違うかというとこれまた適当な枕がございませんので私なりに皆さん方にご理解頂けるようにちょっと複雑なんでございますが頭を整理して頂きましてご自身の身に降りかかった事だとご想像下さい。
年末にあるおうちがございましてそこにすき焼きセット何々牛とかいってブランド牛のすき焼きセット肉1キロ半が送られてきた訳でございます。
たまたまそこで留守番をしておりましたお父さんがね「お〜こらええなあ。
今晩すき焼きやで」。
嫁はんに電話しましてね嫁はん外で働いてますから。
ほいで帰ってきますというとうちの家族のみんなでうわ〜っちゅうな事で盛り上がって「うわ〜うまいなおいしいな。
こんなん食べた事ないで。
よかったな」って言うてたん。
ところが奥さんが何を思いましたんかその包み紙を横に置いてたのをふっと見たらこれが「いやっあんたこれお隣さんのやで」。
「うそ〜。
もうほとんど食うてしもたがな」。
今日はそんな噺なんです。
(笑い)そういうところをちょっとお頭に入れて頂けましたらご理解度を深めて頂けると思いますが。
長屋が舞台でございましてね。
表から人が飛び込んでくるところから噺は始まりますが。
「お〜いいてるか?おいいてるかいな」。
「は…は…ふあ〜はあ〜。
ど…どなた?もうかなわんな夜中に。
表の戸をドンドンドンドンたたきなんな」。
「何を言うとんねん。
もうお日ぃさんがガンガン照ったんねやで。
はよ開けんかいな」。
「え?あっさよか。
わて最前手水行って帰りしなに表見た時あれええお月さんやな思てましたけどあれお日ぃさんでっか」。
「お月さんとお日ぃさんと間違えるやつがあるかいな。
これ!はよ開けんかいな」。
「何や。
ハハハ!その声は甚兵衛はんでっかいな。
あ〜甚兵衛はんそないにドンドンドンドンたたかいでもねうちの戸押したら開くようになってまんねん。
はい。
あっあのかんぬきがこうてますけどうちのかんぬきチャブつきますさかいねそ〜っと押しとくんなれや。
かんぬきチャブつくさかい。
あ〜もう!そやさかいに言うたろがな。
うちのかんぬきはチャブつくいうて」。
「お前何や?これ。
ビチャビチャやないかい。
何でこんなとこへ小便担桶置いとくねん」。
「言いましたやろ。
かんぬきおまへんやさかいかんぬき代わりに担桶こうてまんのやがな。
だからビチョビチョなりましてん」。
「臭っ!臭っ!お前もいよいよ変わった男やな」。
「何が?」。
「『何が?』てお前庭にネギ植えたりしないなあ」。
「え〜?ハハハハ…!せやおまへんねん。
植えてんのやおまへん。
わてネギ買うてきて食いまっしゃろ。
ほんでヘタんとこだけぽいぽいと放っときまんねやわ。
ほんなら友達が来るたんびにかんぬきがチャブついて肥えがよう効いてね。
ほんで芽が出ましてん」。
「汚いなあもう!そんな事しよん…。
お前ちょっといつまで寝とんねん。
布団上げたらどないや」。
「うわ〜。
布団上げるなるというとつろおますわ」。
「何でえ?お前どこぞ体の具合でも悪いんか?」。
「いえいえそやおまへんねん。
居候が1人いてまんねやわ」。
「ケッ!生意気な事抜かすなお前。
居候の置ける身とちゃうやないかい。
ほいでどこにいてんねん」。
「ええ…。
昼間はいてぇしまへんねんけどね夜中んなったらちょいちょい顔出しよりまんねん」。
「うん?あんまりたちのええやっちゃないな。
相手ちゅうのは何者や」。
「ええヘヘヘヘヘ。
わてのこの足元見て。
これぷくっと膨れてまっしゃろ。
これねネズミが巣ぅしてまんのやわ」。
「何かい。
お前とこの居候ちゅうのはネズミかいな」。
「ヘヘヘそうです」。
「『そうです』てお前そんなもんつかんでほかしたらしまいや」。
「あ〜ところが人間義理には弱いもんで」。
「お前ネズミに義理してんのん?」。
「ヘヘヘ。
こう寝てまっしゃろ夜中。
で腹減ってきたなと思ったら巣ん所へ足をシュ〜ッと持っていきましてな。
でちょいちょいちょいとかき上げますとなおかきの欠けたんやったり芋のヘタとか出てきまして。
で腹減ったら呼ばれまんねん」。
「汚いなあもう!お前ネズミの上前はねたりしいないな。
それよりも何をしとんねんお前早い事起きんかいな」。
「ほな何でっか?甚兵衛はん。
あんた今日うちへ小言言いに来なったんでっか」。
「いやいやそやあれへんがな。
お前いつまでもやもめやおられへんやろ。
違う。
今日はなお前に嫁はんを世話したろとこう思てな」。
「え!嫁はん?おお…おくんなはれ」。
「これこれこれこれお前両手出すやつがあるかい。
もらう気あんのか?何や所帯持つ気あんのんかい。
こらええこっちゃ。
そうかいやいや。
アハハハ。
ほなまあ見合いをせんといかんな」。
「ああちょちょ…なああんた見合いみたいなもんしたかて分かんのんどっちゃみちお互い顔だけでっしゃろ。
ほんなよろしやもうあんたに皆任せたからお願いしますわ」。
「フフフフ。
うれしい。
なあ。
お前はアホやけどもそういうところがかいらしい。
わしに任してくれる。
そうかよっしゃよっしゃ。
ほななまたええ日見て連れてくるわ」。
「お〜ちょちょちょちょ待っとくんなはれ。
ええ日見んのやったらここにおまんねん。
これこれ。
これ暦。
これ見ておくんなはれ」。
「何じゃい。
お前暦みたいなもん置いてあんのんか。
そうかいな。
まあ見るとするけど…あれ?お前これ去年のやっちゃで」。
「え?ここにもおまんのやで」。
「お前ぎょうさんあんねやな。
これも去年のやっちゃないかい」。
「これも」。
「ちょっと待て。
ぎょうさん何や?これ。
お前これみんな去年のやっちゃないかい。
何でこない去年のあんねん」。
「へえうちの死んだおばんが言うてました。
『買いもんする時はしまいもん買え』いうて。
去年の暮れによう出てましてん」。
「アホかお前は!こんなもん古かったら何も意味ない…。
アホやな相変わらず」。
「そんなぼろくそに言いなんな。
ほなよろしいわ今晩連れてきて」。
「ちょちょちょちょっと待てえ。
お前は急な事…。
え〜!いや〜今晩ってかいな。
しかしまあまあこういう事は『思い立ったが吉日』いうさかいな」。
「出た日が命日」。
「験の悪い事言うてんのやあれへんがな。
よっしゃよっしゃ。
ほななんとかするけども。
連れてきたるけども…。
お前は相変わらず汚いな襟あか真っ黒にためて。
風呂ちゃんと行ってんのんかいな」。
「ほれ何言いまんねんあんた。
わたいずぼらでっけどもな風呂だけはきっちり2遍ずつ行ってまんねやで」。
「ふ〜んきれい好きやな。
日に2遍も行ってるのんか」。
「春と秋」。
「お彼岸やないかいお前。
おかしな入りをすんのやあれへん。
今から行て。
何じゃお前髪の毛もボサボサや。
床屋行て刈ってもうてこい。
ここらも掃除して。
ええか?分かったな?」。
「へえ分かりました。
ほなそうさしてもらいます」。
ちょっと気楽な男で。
それから早速散髪へ行た。
行たところが満員。
満員やったらほかの店へ行たらええんですが何せ根がアホですからもうじ〜っと座ったまま人の話聞いてゲラゲラ〜ゲラゲラ笑とる。
自分の番が来ても一向に刈ってもらおうとしない。
とうとう一番最後になってしもた。
そうとは知らん花嫁さん仲人さんに連れられてやって参りましたんですがさあこの噺の中での仲人と申しますと甚兵衛さんが仲人でありますが実はこの甚兵衛さんに急に用事が出来まして頼まれ仲人というのがついてやって来よった。
これ昔はようあったんやそうでして。
「足元気ぃ付けとくんなはれや。
はいはいけがしてもうたら困ります花嫁さんにね。
え〜っとこの路地を入って3軒目ですな3軒目〜。
あ〜ここや。
ちょっと待っておくんなはれや。
あれ?あれ?おかしいな。
鍵掛かってるな。
いてまへんな。
隣で聞きまひょか」。
聞き合わせたうちが4軒目清八っつぁんとこのうち。
実は今晩この清八っつぁんも嫁さんをもらうというので用意をして待っておますところへ。
「え〜こんばんは」。
「へえ何でおますかいな」。
「あの〜ちょっとお尋ね致しますが今日この長屋でお嫁さんをおもらいになるおうちっちゅうのは…」。
「お〜!それやったらうちとこでおますわ」。
「え?あ…そうですか。
いや〜こら失礼を。
あの私4軒目と3軒目と聞き間違うてましたんやな。
いやいや実は仲人さんに急に用事が出来まして私が頼まれ仲人という事でやって参りましたんで」。
「あ〜そうですかいな。
どうもご苦労はんでございます。
さあどうぞどうぞ。
まあまあ上がっておくんなはれ」。
「いやいやいや。
お呼ばれもしたいとは存じますが私も用事がございますんでこれで失礼を致しま」。
「あ〜そうですか。
どうもご苦労はんでおます」。
と違う嫁はんを置いて帰った。
実はこの清八っつぁんも親方なしの見合いなし。
連れてきた嫁はんが自分の嫁はんやと思い込んでおる。
「どうも初めまして。
えらいべっぴんやなおい。
うれしいなあ。
どうも初めまして。
親方はなんぞ用事でおましたん?あっご存じない。
さようか。
何分末永うこんなわてでおますけどもよろしゅうお願い致します」。
「将棋指しまひょか。
知らんね。
フフフフ。
おはじき。
ほなまあまあ…祝言のまね事しまひょか」と。
うれしいもんですから酒さかなを用意しております。
祝言のまね事を致しまして枕を並べて仲よう寝てしまいます。
そのあとやって参りましたのが4軒目清八っつぁんとこの嫁はんで。
「足元気ぃ付けとくんなはれや。
はいはい。
え〜っとこの路地を入ってえ〜4軒目という事を聞いてますな。
4軒目ですなと」。
さあ間違いが起きるという事はとことん間が悪い事でございまして実はこの清八っつぁんところの親方にも急に用事が出来まして頼まれ仲人というのがやって来よった。
「ちょっと待っとくんなはれや。
はいはい。
あら?あら?鍵が掛かってますし明かりが消えてますな。
おかしいですな。
ちょっと隣で聞きまひょか」。
聞き合わせたうちが3軒目アホのうちで。
「え〜こんばんは」。
「はい!」。
「びっくりした。
あのちょ…ちょっとお尋ね…」。
「はっんん…何?」。
「あの今日この長屋でお嫁さんをおもらい…」。
「あ〜っうちとこうちとこ!うちとこうちとこ!」。
「あれ?そうでおますか。
いやいや私…。
ほな私3軒目と4軒目と聞き間違うてました。
いや実は仲人さんに急に用事が出来まして私が頼まれ…」。
「あ〜!仲人みたいなもんどうでもええのやがな。
もう帰っとくんなはれ。
嫁はんいてんの?おるやろ?さあさあ。
あんたもう帰りぃ帰りぃ」。
アホらしなって嫁はんだけ置いて帰ってしもた。
こっちも自分の嫁はんと思うております。
枕を並べて仲よう寝てしまいます。
ガラリ夜が明けます。
やって参りましたのが甚兵衛さんで。
「おはようさん」。
「あっ甚兵衛はんだっかいな。
いやえらいゆうべはすんまへんでした」。
「いやいや何を言うてんねや。
謝らないかんのはこっちの方やがな。
いや行こうと思たら急に用事が入ってきてしもうてな。
どうしてもわしでなかったらいかんちゅうんで人を立ててよこしといたが…。
どうや?うまい事やってんのんか。
ああそうか。
せやせやお前に言うとったらないかん思たんやがな。
ええか?お前夫婦になるなり嫁はんもらうなりいきなり嫁はん使いに出したりしいなや。
今そこの角でお前の嫁はんに会うたがな」。
「何言うてまんのや。
うち嫁はんいてまんがな」。
「何を言うてんねんお前。
風呂敷包み持ってたがな今」。
「いやいや。
うちいてまんがな。
何言うてまんの。
おおおおい!甚兵衛はん来てくれたねん。
こっち来て挨拶し」。
「初めてお目にかかります。
どうぞよろしゅうお願いを致します」。
「アハハハ。
どうも。
ご苦労はんでございます。
誰や?おい」。
(笑い)「『誰や?』てあんたが世話してくれた嫁はんでっしゃないかいな」。
「何を言うてんねんお前。
わしそんな嫁はんは世話せえへんで」。
「いや世話せえへんたってゆうべから来てまんのやで」。
「いやちゃうがな。
お前の嫁はんあっこで会うたがな。
ちょっと…。
ちょっと待て。
ちょっと尋ねるわ。
お前この長屋で誰ぞゆうべ嫁はんもらわなんだか?」。
「隣の清八っつぁんもらいました」。
「え!ほな…。
えらいこっちゃ!間違うてるわ」。
「何が?」。
「間違うてる!」。
「へっ?」。
「隣行くやっちゃそれ」。
「と…隣?」。
「えらいこっちゃがなお前それ…」。
「もうお前ふんだんか?」。
「え?」。
「『もうふんだんか?』言うてんねん」。
「何?何?」。
「分からんやっちゃなお前は。
つまり『夫婦の契りはふんだんか?』言うてんのや」。
「ち…契りて?」。
「分からん男やなお前は。
つまりもう…」。
「え?アハハハ!それやったら最前まで」。
「最前まで…。
何さしても遅いのにこんな事だけ早いねんなお前は。
もうあかん。
お前ら近所同士やろ。
ええように…。
わしは帰るわ」。
さあ帰ってしもた。
そのあとやって参りましたのが4軒目清八っつぁんとこの親方で。
「おはようさん」。
「うわ〜親方。
えらいすんまへんでした。
どうも」。
「いやいやえらいすまなんだな。
こっちが謝らないかん。
ゆうべ急に用事が出来てしもて人立ててよこしといたが…。
うまい事やってんのか?」。
「ええ。
ええ嫁はんもうた喜んでまんねん。
おいおい!親方こっち来てんねん。
挨拶し」。
「初めてお目にかかります。
どうぞよろしゅうお願いを致します」。
「アハハ。
ご苦労はんです。
誰?」。
(笑い)「いや誰って何言うてま…。
あんたが世話してくれた嫁はんでっせ」。
「お前何言うとんねん。
わしそんなん世話せえへんで」。
「いやいや。
何でえゆうべから来てまんのやで」。
「いやお前何を言うてんのや。
ゆうべから…ゆうべから?ゆう…。
ちょっと待て。
この長屋で…ええかよく聞け。
お前以外に誰ぞ嫁はんもらわなんだか?」。
「隣のアホもうてましたで」。
「え〜!えらいこっちゃ。
ま…間違うてんねや」。
「何が?」。
「お前それ隣行くやっちゃ」。
「隣?それで何や今朝から隣のアホが『間違うた間違うた』て大きな声で言うてまんのこの事で」。
「アハッ何や〜よかった」。
「ええ事おまへんがなあんた。
どないしまんねんこれ」。
「えらいこっちゃ。
お前ら近所同士やろ。
ええようにしい。
わしは帰るわ」。
「ちょちょちょちょっと!親方!むちゃくちゃやがなおい。
こんなんほかの間違うのと意味ちゃうで。
また隣のアホも隣のアホやな。
大きな声で『うちの嫁はんと清八っつぁんとこ間違うた』て大きな声で触れて回ったらかなんで」。
言うてますところへ隣から壁越しで。
「お隣の清八っつぁん!ゆうべ一大事件が〜!」。
「分かってる。
大きな声出したらあかん」。
「あんたとこの嫁はんとわてとこの嫁…」。
「大きな声を出したらいかんちゅうのに。
いっぺん出てこい。
大きな声出したらいかんって手振ってんのが分からんのか!」。
「あんた壁越しで分かる訳おまへんがな」。
「そやけどやな。
おいえらい事なったな」。
「アハハ!嫁はん替わった」。
「喜んでんねやあれへんでお前。
なんぞ嫁はん入れ替えるええ方法ないか?」。
「う〜ん…おますがな」。
「あるか?お前」。
「うん。
2人の嫁はん風呂屋連れていきましてなシャボンせっけんでベ〜ッと体中泡だらけにしてシュッと入れ替えたら分かりまへんやろ」。
「分かるわアホ!水かけたらしまいやないかい。
もうちょっとましな事言うて…。
ええ方法あるわ!」。
「ほんまですか」。
「大体うちには付け物ちゅうもんがあるやろ」。
「漬物?こうことかなすび」。
「そら漬物やアホ。
違うがな。
わしは『付け物』や」。
「何だんねん?」。
「畳やとか建具そういうもん家の付け物ちゅうやろがな」。
「ああ言いまんな」。
「そうそうそうそう。
嫁はんを家の付け物ちゅう事にしといてわしらが宿替えしたらどうや?嫁はん入れ代わるやろ」。
「あんた頭よろしいな。
そうしまひょそうしまひょ」。
人間追い込まれると何が正しいか判断できなくなってくるんですね。
早速宿替えの用意致します。
嫁はんの方は昨日宿替えしてまた今日やというのでたすき掛けをして一生懸命手伝うのを「お前は来たらあかんで」。
「お前は家におりや」。
2人を抑えます。
シュッと宿替え致しますが嫁はん何せ一晩たってます。
情も移ってますから。
「あんたお疲れさん」。
「どうもお疲れさんでございます」。
「あ〜もう…。
うち嫁はんついてきたが」。
「あ〜うちもついてきたがな。
あかんわ。
こんなんお前家入れ代わっただけやないかい。
なんぞええ方法…」。
「あ!ええ方法おますがな」。
「あるか?」。
「へえ。
今度はわてらが家の付け物ちゅう事になって嫁はんだけシュッと宿替えしてもらいまひょ」。
(拍手)桂文三さんの「嬶違い」でございました。
いかがでした?どちらの奥さんがとか師匠がどちらでっていう何か聴いてる側も混乱してくるんですけどそれが完全に引き寄せられてるって事ですよね。
そうですねうん。
分かりました?分かったと思います。
あれで解決になったと思いますかい?いや…。
奥様を入れ替えてオッケーっていう何かちょっとひょうきんな感じで。
落語でしかできない事でございました。
というところで後半は子どもさんが活躍する噺です。
桂梅團治さんの「いかけ屋」です。
どうぞ。
(拍手)
(拍手)え〜ようこそのご来場でございましてありがたく御礼を申し上げます。
え〜梅團治と申しまして生まれは昭和32年7月17日という。
え〜もう間もなく還暦を迎えようかというようなところでございますが。
女優の大竹しのぶさんと全く生年月日がおんなじでございまして。
見て頂きますと何となくそういう雰囲気が…。
(笑い)かけらもございませんが。
え〜岡山県の倉敷という所の出身でございまして。
まことに風光明媚な所でございまして。
見て頂きますと何となくそういう雰囲気が…これっぽっちも致しませんが。
え〜倉敷でも水島という工業地帯の出身でございましてね。
別に親が工場で働いてたとそういう訳ではございませんが。
う〜んあそこで育ったんでございます。
倉敷市立第四福田小学校という。
ポプラ並木がもう塀の端から端までざ〜っと並んでおりましてまるで東京の有名大学のような雰囲気の小学校でございましたですが。
最近…ここ何年か前ですかな。
あの〜うちの息子も噺家をやっておりまして小梅というんですが。
岡山県県内のですな小学校を回るお仕事を頂きましてその第四福田小学校へ私は行かないのに息子が行ったんでございます。
私は呼ばれないの。
ね。
でまあその小学生の子どもたち私の後輩ですわな。
後輩の前で落語をやって校長先生の部屋へ通されましてね。
校長室ですわ。
で「実はうちの第四福田小学校には大変有名な方がいらっしゃる」。
「来た来た来た来た来た来た。
うちの師匠の名前が出てくんね」と。
「星野仙一さん」。
そらそうですわ。
有名すぎるっちゅうねん。
うちの小学校の先輩に星野仙一さんがいらっしゃいますから。
そらもう大先輩で言うたらもうこんなに有名な人いてませんからな。
こら納得でございます。
ここへ星野仙一さんが来てくれてどうのこうのという校長先生のお話をせんど聞かされましてですな。
ぼちぼちうちの師匠のと思て待ってたんですけど一向に出てこないのでしびれを切らしましてね。
「実はうちの師匠もこの小学校の卒業生なんですけど」言うたら校長先生がひと言「知りませんでした」。
(笑い)知らないんでございます。
僕は35年間ひっそりとやってきましたから。
あ〜学校帰りになりますと何かこういろいろ物を売ってましたですな校門のちょっと外れた所で。
校門の前でどうも売ってない。
ちょっと外れた所で売ってるんですね。
マジックの道具みたいなやつとかですな。
であの〜私がよう買うてたのがヒヨコなんでございます。
ヒヨコが好きでね。
かわいらしいでしょヒヨコね。
今の縁日に行きますとヒヨコも何かあの赤いヒヨコやら青いヒヨコやらいろんなヒヨコいてますけども昔は黄色いヒヨコだけでしたからな。
天然色でございましたから。
あれはみんなオスがいてるんですよね。
メスは卵を産みますんで手放さないんで。
持ち主はね。
オスの方を売りに出すのな。
私何べんも買うてますねん。
買うて育てるんですがなかなかね。
すぐに死んでしまう…。
名前は全てピーちゃんなんでございますが。
もうこれ一番付けやすい。
このピーちゃんがですなえらいもんでかわいがっておりましたら一匹のピーちゃんが鶏になりましてな。
こうトサカも出てきまして朝コケコッコ〜鳴くようなって。
ピーちゃんがコッコちゃんになったんでございますよ。
ほなえらいもんでね。
近所迷惑っちゅうたら近所迷惑ですわな。
学校から帰ってきましたらねコッコちゃんがいないんでございます。
「コッコちゃんはどこ行ったんや?」おかんに聞いても知らんとか言うて。
食卓にね…。
(笑い)コッコちゃんが。
(笑い)「おかん!これコッコちゃんちゃうんか!?」とか言いながらね。
涙流してコッコちゃん食べたんでございますわね。
まあ人間ほど残酷なもんはございませんな。
あ〜本当にえ〜いろいろ子ども時分の思い出というのはございますが学校のそのポプラ並木の所にですね夏場になるとゴマダラカミキリムシという白い点々がついてるカミキリムシがよう出てきたんでございます。
これを捕まえては教室の机の上へカミキリムシを載せましてねこれで相撲を取らして遊んでたんでございますが。
この学校の裏手にですなイチジクの木があるんでございます。
このイチジクの木にそのゴマダラカミキリムシよりも一回りも二回りも大きな茶色いカミキリムシがいてるのを私が見つけたんでございますね。
もう学校の英雄でございます。
「こんな大きなカミキリムシどこにいとんねん」言うて。
ほんであの…ヒロタとミヤケというねこれ実名でございました。
友達を連れて学校の塀をよじ登って裏へ出てイチジクの木からこんなカミキリムシを捕ってたんでございますよ。
で夏場でございますからなカミキリムシというのは。
2人に言うの忘れたんでございますが草がねここの背丈ぐらいまで…我々のね小学生ですからあったんです。
言うの忘れた…一つねその辺にね野壺があったんでございます。
(笑い)ミヤケの姿がねふと消えたんでございます。
しばらくすると野壺の中からミヤケがゾンビのようにはい上がってまいりました。
私とヒロタはびっくりぽんや。
(笑い)すいません。
これが言いたかったんで…。
(拍手と笑い)ほんま泣き叫んでミヤケが追いかけてきたんでございますが。
私とヒロタは友達ですからな思いっきり逃げましたね。
(笑い)私この体形ですから足遅いんですが多分人生の中であれほど速く走った事はないと思います。
今申しましたように昔こういろんな…何て言うんですかな道端というかまあ乗り物に乗ったりなんかして物売りに来たり修繕に来たりなんか致しまして。
紙芝居なんか見てえ〜こう…お菓子こう…水あめなんか呼ばれるのが楽しみやったりなんかしましたですが。
中にいかけ屋さんという商売がございましてね。
鍋や釜の穴の開いたやつを修繕するという仕事でございます。
あの〜今の鍋はですな修繕して使うようにもともと出来ておりません。
そうなんですよ。
ホウロウというぐらいですからな。
(笑い)
(拍手)まことにありがとうございます。
(笑い)そういうお店を…お店というか商いをやってるところへ子どもが飛び込んできたらお笑いになるようでございまして。
「お〜いきっちゃんたけやんうめやんまっちゃんみんなこっちおいでえな。
今向こうでいかけのおったん仕事しとるやろ。
向こう行って遊ぼうか。
え〜?何言うてんのがもう。
わいがいてたら大丈夫や。
皆行こ行こ。
いかけ屋の〜おった〜ん!」。
「ほら来やがった。
ほんまにもう。
ここらの小せがれどいつもこいつも悪いやつばっかりそろってけつかるねん。
このガキらうかつにもの言うたら仕事も何もさしやがれへんねんさかい。
あ〜こらこらそっち行けそっち行け。
そっち行きっちゅうねん。
おっさんな今日はお前らの相手になってられへんねん。
な?仕事がぎょうさんつかえてあんねん。
向こう行き向こう行きって。
向こう行き。
こらこらこら!そこの小さいの。
お前や。
そこへ座ったらいかん。
そこへ座ったらいかん…。
いかんちゅうてんのにニタッと笑て座りやがんねん。
座んのやったらな前のボタン掛けアホ。
かわいらしいのが首出してるわ。
アホやなほんまに。
あっち行けあっち行け」。
「おっさ〜ん!あんたえらいご精が出まんな」。
「びっくりした。
悪いやついてへんと思ったら後ろに回ってけつかんねん。
えらいご精が出ますなてお前精出さなんだらどんならんやないかい」。
「そらそうでござりまんなおったん。
この世の中な働いた上にも働かんならん今日でござりまっけどもななんぼ働かんならん言うたかて体が弱かったら働かれしまへんがなおったん。
その点おったんなんか体がお達者なさかい結構でござりまんなおったん」。
「ようしゃべるガキやなこいつ。
ひと言言うたらあない引っ掛かってきやがんねん。
うかつにもの言えんなこのガキら」。
「おっさ〜ん。
あんたそこで火ぶうぶうやってるがそれどういう目的や」。
「どういう目的?大層そうに抜かすなアホんだらお前。
どういう目的てお前。
ただただカネ湯に沸かしてんのんじゃい」。
「ただただカネ湯に沸かしてるておっさんとこそれ造幣局やおますまい?」。
「ぎょうさんそうに抜かすな。
アホんだらお前。
造幣局やなかったらカネ湯に沸かされんかい」。
「とらとやなおったん」。
「小さい体しやがって人の話横手から『そらそうやな』て。
何がそらそうや?」。
「とらとやおったん。
造幣局やなかったらカネ湯に沸かたれへんそんな事ないなあおったん。
造船所かてカネ湯に沸かちてるがなあおったん。
鉄工所かてカネ湯に沸かちてるがなあおったん。
鋳物屋かてカネ湯に沸かちてるがなあおったん。
ほんなおったんとこそれ造船所の方か?」。
「じんわりなぶってけつかる。
こんな小さな造船所があるか。
アホやなほんまに。
あっち行けあっち行け。
あ〜あの待った待った。
お前なほかの子と同じようにしゃべられへんねん。
舌が回らんねん。
あんな言いたい事があったらゆっくり言うてみゆっくり。
おっさんな仕事やめて聞いたげるさかい。
な?ゆっくり言うてみ」。
「せせせ…せやさかい言うてるがなおったんなおったんそこであの火火…う〜う〜う〜噴い噴い…噴いてなはるでやろなおったん。
ほなそのかかか…釜の中から青青い火火火火火…火が出てまんなおったん」。
「なるほどな。
舌が回らんだけに言う事がかわいらしい。
青い火が出てまんな。
きれいやろがな」。
「ほほたらそっから幽霊出まっか?」。
「ほんまに舌も回らんのにおんなじようになぶってけつかんねん。
こんなとこから幽霊出たりするかいアホやな」。
「とらとやなおったん」。
「またこのガキは。
人の話横手から『そらそやなそらそやな』てわれだいぶんもの知ってると見えるな」。
「わいな何でも知ってるが。
弁護士になったろか」。
「うかつに褒める事もできんな。
そやそや。
お前大きなったら弁護士になれ弁護士に」。
「せやろおったん。
こいつら何にも知らんすぎるがな。
そんなとこから幽霊出たりするかい。
よしんば出たところで釜の中から出る幽霊やさかいに五右衛門の幽霊やなおったん」。
「なるほどな。
へえ〜。
ようもの知ってけつかんねん。
釜の中から出る幽霊で五右衛門の幽霊。
えらいおもろいな。
そやそや五右衛門の幽霊や」。
「おっさん!あんた細君おわすか?」。
「おいこらこら。
お前みたいな小さい体しやがってお前人の嬶まで心配してたら大きなられんなアホんだら。
『細君おわすか?』てお前いかけ屋かて嬶のうてかい」。
「とらとやなあおったん」。
「またこのガキや。
何がそらそや?」。
「とらとやおったん。
この世の中な捨てるお女中もなし捨てる殿方もなしやっぱり鍋釜屋は鍋釜屋みたいなもん同士つるむわな」。
「つるむ?こらまた毒性に抜かしやがったなこのガキは。
いかけ屋人間のように思とらんな。
ほんまにもう。
ああそやそや。
もう〜つるむつるむ」。
「ほなおっさん。
お子さんごわすか?」。
「おいおい。
お前らなあそう取っ掛け引っ掛け相手になったらおっさん仕事する間がないやろ。
『お子さんごわすか?』て嬶あったら子どももいてるわいな」。
「ほなそのお子さんは和子でやすか?姫御前でやすか?」。
「けったいなものの言い方すなアホんだらめ。
いかけ屋の子を捕まえやがって和子さんや姫御前てお前。
男の子じゃ」。
「さよかおっさん。
男の子でっか。
男の子やないとあきまへんで。
男の子な学校行きまっしゃろ。
ず〜っと専門学校出まっしゃろ。
あとは自分の頭の働きを何千万円何億万円財産残しまんねん。
あんた鍋釜屋で出世せんかてな子が出世したら親の名義も出まっしゃろ。
ほな親は子の事を思い子は親の事を思い恩愛の情愛ておもろいもんなあおっさん。
ほんでな男の子はなおなごの子と違うてな肩が張って産みにくいという事を私ら母からかねがね承ってま」。
「憎たらしいガキやなこいつ。
うちの死んだ婆さんとおんなじように抜かしてけつかる」。
こない言うておりましても坊と言われるとちょっとこう義理立てしよるのがかわいらしい。
「坊坊。
お前やお前や。
あんたえらいおとなしいな。
あんたどこの子や?」。
「おっさんわたいな向こうの髪結屋の子」。
「なるほどな。
『氏より育ち』。
おんなじようにお母ちゃんの腹痛めてこの世にほぎゃ〜と出んねやが教育のしかたでこれだけ違うわ。
あ〜あこいつらどこぞの長屋の小せがれば〜っかりや。
はな垂らしやがって。
悪いやつばっかりそろってけつかんねや。
こないぎょうさんいてる中で坊あんた一番おとなしいな」。
「へえわたい病人」。
「ちょっとおとなしいと思たら病人や。
散髪がきれいに刈ってなはる。
どこで刈ってもらいなはって?」。
「横町の散髪屋のおったんに」。
「ほう散髪屋のおっさんえらい上手でんな」。
「へえ向こう商売」。
(笑い)「ほんまに己も達者やったらてこに合わんわ。
どいつもこいつも悪いやつばっかりそろって…。
あ〜らまた向こうから一人悪そうなガキが来やがった」。
「おいこらおやじ!」。
「『こらおやじ』?こら!そういうものの言い方すんのやないぞ。
子どもは子どもらしくかわいらしく『おっちゃん』『おっさん』抜かさんかい」。
「へっ何か言ってけつかんねんこのヘタ!」。
「ヘタ?人間に真ん中ヘタあるかいアホんだらお前。
なんぞ用事かい」。
「金づち貸してくれ金づち」。
「へえへえ。
舌も回らんのに金づち貸してくれ?こんなもん借りてお前どないすんねん」。
「石ほぜくんのじゃ」。
「じゃかあしやアホんだら!金づちっちゅうたらいかけ屋で一番大事な道具や。
こんなもんで石ほぜくられてたまるかい。
おう貸してほしけりゃ貸したらあ貸したらあ。
けど言うとくぞ。
家帰ってな鍋や釜の底をガ〜ンガ〜ンと穴開けてこい」。
「そんな事したらおとったんおかん怖いで」。
「へっ!『おとっつぁんおかん怖い』で一人前の悪さになれるかアホんだら。
おっさんがな子どもの時分こんなん持ったら鍋や釜の底ガ〜ンガ〜ンと穴開けたもんじゃ」。
「ほんで大きなって直しに回ってんのんか?」。
「そんな…」。
「むかつくガキやなほんまに。
貸せへん貸せへん」。
「貸さなんだら前の火消すぞ」。
「おう?おっさんが一生懸命いこした火何で消すねん」。
「小便で消したろか」。
「小便抜かしやがったな!この火が小便で消せるもんなら消してみい」。
「へん!何でもないこっちゃ。
きっちゃんたけやんうめやんまた皆一緒にやったろか。
そ〜れジュジュ〜ジュ〜ジュ〜ジュ〜」。
「うわ〜ほんまに消しやがった。
こら!」。
「うは〜いかけ屋のおっさん泣いてけつかんねん。
イ〜じゃアホんだら」。
「あのな向こうのつじの角になウナギ屋のおっさんウナギ開いとんねんで。
ウナギ開いたらウナギの喉から針が出んねん。
針出たらもらおうか」。
横町をくるっと回りますとウナギ屋さんでございまして。
「あ〜頭痛いな。
え〜?どないなっとんのや。
最前までちょ…。
来た。
またあいつらや。
おいおいおい!あのなこっち来たらあかんで。
お前ら来たら商売になれへんのやさかい向こう行き向こう行き。
向こう行きっちゅう…。
おっあっ見つけた。
おまんや。
ちょっと来い来い。
ここへ来いお前。
お前この間10銭の八幡巻と5銭の八幡巻札入れ替えたやろお前。
おっさん10銭の八幡巻5銭で売ってえらい損したんや。
家へ帰って嬶とケンカんなって…。
あの晩部屋の隅で膝抱えて一晩中おっさん泣いてたんお前知らんやろ。
むちゃしいない。
おい!そっちの子そっちの子。
あのな勝手にしゃく持っていったらいかんて。
そのしゃくまださらやねん。
チャンバラすんのやったらなおっさんこの竹の棒貸したげるさかいそのしゃくこっち返してて。
それ落としたら汚いさかい。
落としたら…あっ!言うてる尻から落としやがんねん。
ほんま何をすん…。
あっすまんなあのそこの子。
そのしゃく拾うてくれるか?うんそれ…。
蹴りやがんねんほんま。
どいつもこいつも悪いやつばっかりそろってけつかんねん。
ほんまに。
おっ僕拾うてくれはったん。
おおきにありがとう。
ほななおっちゃん後でなんぞあんたに買うたげるさかいすまんけどなうんそのしゃくそこでちょっとジャブジャブと洗うてくれるか?うんそっち持ってって…。
そっちと違うねん。
あのこっち…そっち…あ〜あ〜あ〜!小便担桶の中へつけてしまいやがんねん。
あいつが一番悪いがな。
お…おいおい!そんなもん振り回して遊んだらいかんて。
そんなもん振り回したら…あっ!」。
「今ウナギにかかったんと違うか?誰も見てへん。
いやそんな訳にいかんがな。
ほんまお前ら何をすんねんな。
おっさん今日一日商売に穴があいてしもうたやないかい」。
「おっさん穴あいた?ほないかけ屋のおっさんに直してもらいなはれ」。
(拍手)桂梅團治さんの「いかけ屋」でございました。
いかがでした?登場してきた子どもたち私水泳を時々教えたりするんですけれどももし生徒さんがあのような子どもたちだったら結構手を焼くんじゃないかと想像しましたね。
想像を絶しますな2015/12/18(金) 15:15〜16:00
NHK総合1・神戸
上方落語の会▽「嬶違い」桂文三、「いかけ屋」桂梅團治[字]
▽「嬶違い」桂文三、「いかけ屋」桂梅團治 ▽第357回NHK上方落語の会(27年11月12日)から▽ゲスト:田中雅美▽ご案内:小佐田定雄(落語作家)
詳細情報
番組内容
第357回NHK上方落語の会から桂文三の「嬶違い」と桂梅團治の「いかけ屋」をお届けする。▽嬶違い:甚兵衛が長屋の喜六に嫁を紹介したところ、喜六は相手の顔も見ずに承知。代理人が嫁を連れてくるが、喜六はそのとき風呂に出かけており…▽いかけ屋・道ばたで商売をするいかけ屋の周りに近所の子供たちが集まって来る。質問をしたり仕事の邪魔をして、いかけ屋は困り果てるのだが…。▽ゲスト:田中雅美▽ご案内:小佐田定雄
出演者
【ゲスト】田中雅美,【案内】小佐田定雄,【出演】桂文三,桂梅團治
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