ここ最近、子どもたちがヘルメットをかぶるようになりました。昨今の自転車にまつわる動きのなかで、最良のもののひとつでしょう。
電車で子どもがぐずったら 専門家が教える親が取るべき行動
特に「子乗せ(幼児用の座席)」に乗る子どもたちは、もはや当然。自分で自転車に乗る幼児たちもほぼ全員ヘルメットをかぶります。子どものヘルメット姿は何だか「キノコのキノッピー」という感じで、可愛らしいんですよね。
でも、話は「可愛らしい」どころではありません。ヘルメットはいわば「必需品」なのです。
自転車に乗っていて、不幸にして事故で亡くなる人の死因、その68%は頭部損傷によるものなのです。特に幼児に関しては、身体全体にアタマが占める率が大きくて(つまりアタマが重くて)、転んだ際に必ずアタマを打ちます。
頭部(つまり脳)損傷のたまらないところは、よしんば死に至らない場合であっても、後遺症が残ることが多いことです。
これがほかの部位ならば、たとえば腕を折ったり、脚を折ったりしたとしても、ほとんどの場合、やがて回復するでしょう。ところが脳の場合、いったん損傷を受けると二度と元には戻りません。脳細胞はリカバリーのきかない細胞だからです。その結果、後遺症を一生ひきずるという結果になってしまいがちなのです。
ということは、話は子ども本人だけではありません。その子どものために、親もかぶろう、みんなかぶろう、ヘルメット。
しかしながら、以前から見過ごせない「ヘルメット事情」もあります。
ずいぶん前から中学生たちはヘルメットを強制されてきました。私(疋田 智)の郷里・宮崎県でもそうで、中学時代、白地に青線のヘルメットを義務づけられていたものです。もちろん、工事現場用ヘルメットの流用品。通称で「ドカヘル」とも呼ばれます。
これが、典型的な「逆教育」となっていると思います。逆教育、すなわち「しないほうがいい教育」です。
本来の自転車ヘルメットというものは、硬質発泡スチロールと樹脂でできたもので、軽く、スリット入りで(風が通り)、もしも何かにぶつかったとき、ヘルメット自体が割れることで衝撃を吸収する構造になっています。
ところが中学で強制される「ドカヘル」は、おおむね“その逆の性質を持っている”といえます。硬質プラスティック製で、まず重いです。次に空気が通らないので、蒸れます。男子中学生がかぶっていると、1か月ほどで臭くなります。汗をかく年頃ですから、すぐに剣道着や柔道着のような“かぐわしき香り”を漂わせてしまいます。
さらには、もしも何かが起きたとき、ヘルメット自体が割れてくれないため、衝撃をそのままアタマに伝えてしまう。これは構造上当たり前で、もともとの工事現場用のヘルメットは金槌なり、鉄筋なり、鋭角のものが頭上から降ってきた際に、そのダメージを防止するものだからです。
一方、自転車事故による頭部損傷は多くの場合、衝突後、平たいアスファルトにアタマを打ちつけてしまうことで起きます。つまり「ドカヘル」の性質は、そもそも自転車に向いてないわけです。
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