2012年12月中央自動車道の笹子トンネルで天井板の大規模な落下が起き9人の命が失われました。
それから3年トンネルでの作業用にさまざまなロボットの開発が進められています。
奇妙な形をしたドローンそして台車に、たくさんの機械とカメラを積み込んだもの。
こうしたロボットがトンネルなどの安全を守るため今、注目されています。
生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
「くらしきらり解説」今、橋やトンネルなどの老朽化が大きな問題になっています。
その対策の1つとして進められているのがロボット技術の導入だそうです。
担当は土屋敏之解説委員です。
土屋さん、冒頭で変わった機械が出てきましたがこれをトンネルなどに持っていって何をしようとしているんですか。
土屋⇒橋やトンネルなどにインフラの点検にロボットを使って効率化しようということで国土交通省と経済産業省が進めているものです。
ロボットといっても見たところロボットらしくない検査用の機械という感じなんですが、この中から選ばれたものは来年度以降実際の点検に試行的に導入が始まるということです。
どうして点検にロボットが必要なんですか。
今、橋やトンネルなどの老朽化が一斉に進んでいて点検する技術者の不足が深刻化しているからなんです。
一般にインフラは作ってから50年ぐらいたつとだんだん補修が必要になってくるものが増えるということなんですが全国の道路橋の中には2013年には18%、建設後50年たったものでした。
これが僅か10年2023年には43%まで急増するといわれています。
どうしてこういったことが起こるかというと日本では高度経済成長期にたくさんのインフラが集中的に作られたものですからそれが今ちょうど50年を迎えつつあるということです。
7年8年で半分近くが老朽化してしまうというのは心配ですね。
笹子トンネルの事故も老朽化が背景にあったとされています。
こうしたインフラが壊れてしまう事故はほかにも起きていてこれは待ったなしの状況になっています。
国は法律を改正しまして去年からすべての橋やトンネルを5年に1回詳しく点検しなさいと道路管理者である自治体に義務づけました。
具体的には何をするかというと近接目視といってすぐそばにいってひび割れなどがないか直接見なさいということです。
これは義務になりました。
さらに打音検査ハンマーなどで壁面をたたいて音の響き方で中に異状がないか調べるものです。
こういうことも求められるようなりました。
こういう点検をきちんと行って補修を続けていれば多くのインフラは作ってから100年ぐらいは使えるだろうとされています。
点検の重要さが分かりますね。
これまで点検の制度はなかったんですか。
仕組みとして詳しい点検の基準は統一されたものはありませんでした。
それができたというのは前進なんですが義務づけられたということで、それに伴う人手不足も深刻化しています。
点検する対象が非常に多いんです。
全国の道路、トンネルで1万本以上ありますし橋のほうは桁違いで70万以上もあります。
それを全部5年に1回点検するというのは大変な人手が必要です。
さらにコストもかかりますし点検するには通行規制も多く渋滞を生むことにもなります。
渋滞ができると利用する私たちにも影響が大きくなりますね。
そこで対策の1つとして国が打ち出してきたのがロボットの活用です。
具体的にはロボットをうまく使いこなせば少ない熟練者でも迅速に検査できるのではないか。
それによって通行規制や渋滞も減らせるだろう。
もう1つは点検記録を電子データによって保存しますので年々劣化することが正確にフォローできます。
こういうことを通じて長い目で見れば点検や補修にかかる費用のコストダウンもできるのではないかといわれています。
さまざまなメリットが期待されているわけですね。
実際ロボットでどの程度のことができるんですか。
そこが問題ですね。
そこを調べるためにこの秋から公募したロボットの現場検証一種のコンペが行われています。
VTRをご覧ください。
先月、茨城県で橋を点検するロボットの技術検証を行った様子です。
求められる技術は先ほど触れた2つ、近接目視と打音検査です。
ドローンのようなロボットですが近接目視用でひび割れがないかなど詳しい画像を撮るものです。
形が変わっていますね。
特徴は丸いボール状の枠に入っているものでこれによっていろいろな複雑な形をした橋にぶつからずに一定の距離を保って撮影できるという技術です。
ほかにはドローンと車輪を組み合わせて天井の裏側を走り点検するものです。
接近した鋼の橋に磁石でくっつくものもあります。
そこで映像を撮ります。
こういったものも現れています。
打音検査用のロボットもあります。
右側の青い部分に注目してください。
青い部分の中に金属のピストンのようなものが入っています。
壁面をたたいて音の響き方を調べるものです。
こうした打音検査を機械で行った結果のデータです。
横軸は音程の高さ縦軸は音の強さを表しています。
健全な場所をたたくと青い波形のようなデータが取れます。
異状のある場所では赤い波形として違いがはっきり見えます。
打音検査は熟練した技術者の経験や勘に頼る部分が大きかったんですが見て分かるようになると熟練技術者の不足も補えるんではないかと期待されています。
ほかにもロボットならではの機能もあります。
トンネル内を走行するトラックに積まれたタイプのものです。
走行しながら光と電波、レーザーを壁に当てて一気にデータを集めるということをするものです。
結果を画像にしたものです。
色分けされています。
赤い部分はトンネルの壁がほんの僅かだけ内側に盛り上がっているということを表しています。
内部には隙間ができている可能性があると。
つまり人が肉眼ではなかなか分かりにくい異状も検出できるかもしれません。
こうしたロボットの技術というのは、どの程度、実用化に近い形になっているんですか。
率直に言うとまだ人の点検を代行できるレベルではありません。
ただ人の点検を支援するという目的、例えば全体をロボットを使ってざっと調べて異状がありそうだというところを絞り込んで点検を効率化するという使い方であればこれはかなりいけそうなところに近づいています。
課題は見えてきていないんですか。
まだまだ課題はあります。
ロボットそのものについていうと検査の精度あるいは作業をして分析するような時間を含めたトータルの時間でいうと熟練した人間には及ばないということです。
さらなる改良が望まれます。
もう1つ別の視点での問題です。
法律の壁というものがあります。
今の法令では検査は技能を有する者が近接目視すぐそばに人がいってやらなくてはいけないということです。
使い方によっては人が近づきにくい橋の裏側というのはロボットだけ飛ばして詳しいデータや画像を撮って熟練した人がまとめてそれを診断できるようにすればかなり効率がよくなります。
こういう使い方をするためには、国が法律の解釈を変えたりひょっとすると法改正というものが必要なるかもしれません。
重要なのは点検するだけではなくて異状があったらどう補修するかです。
今後、老朽化したインフラが急増するので迅速に効率的にする技術が求められています。
今後はどうなりますか。
インフラの老朽化問題というのは切実な待ったなしの状況になっています。
事故を繰り返さないように対策を急がれていると思います。
2015/12/18(金) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「ロボットで守る!?橋やトンネル」[字]
NHK解説委員…土屋敏之,【司会】岩渕梢
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【出演】NHK解説委員…土屋敏之,【司会】岩渕梢
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ニュース/報道 – 解説
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