・
(ドアの開く音)
(亜紀)これどういうことですか?私のことですよね?
(亜紀)答えてください。
この本を書くために私と?
(文夫)そうです。
(文夫)初めからそうです。
最低。
・
(池田)中原さん!
(池田)どうしたんですか?すいません。
すいません。
(池田)何があったんですか?いや。
何も。
すいません。
・
(鳴き声)うん?ちくわ。
おはよう。
うーん。
駄目駄目。
切り替え切り替え。
よし。
ああ…。
(美和)誰かシステム部からのバグの修正の報告書受け取った?
(玲奈)あっ。
すいません。
(沙織)ねえ。
打ち合わせに使うリリースの資料。
印刷できてる?
(圭子)すぐ出します。
(沙織)うん。
急いでね。
(圭子)はい。
いいんじゃないかな。
特性を生かす視点なんかすごくいいと思う。
粗筋も含めて作り始めてみて。
(亮介)はい。
よかった。
徹夜したかいがありました。
あれ?徹夜したの?急がなくてよかったのに。
(亮介)いや。
僕にとっては急ぎなんです。
早く立ち直りたいから。
(亮介)なんて?絶対通したい企画だから頑張っただけです。
最近仕事がすごい楽しいんですよ。
そっか。
それは頼もしい。
はい。
よし。
(亮介)何かあったんですか?ううん。
何にもない。
何かあったら相談してください。
中原さんの相談に乗れるくらいの男にはなるつもりなんで。
ありがと。
はい。
うーん。
(賢三)何ずっと同じページ見てうだうだうだうだ考えてんですか?そんなに怒ることかな?
(賢三)世間の常識ではそうでしょう?まああなたの常識がどうか知りませんけど。
うーん。
(賢三)まあまあまあまあ。
その作品諦めて何か別のもの書いてみたら?いや。
駄目だ。
この作品が出来上がるまで俺は前には進めない。
(賢三)だったら謝るしかないでしょ?・
(ドアの開く音)・
(純一)おはよう。
(一同)おはようございます。
(純一)新作アプリ好評だな。
おかげさまで。
ありがとうございます。
(純一)次の企画も頼むぞ。
第2弾をすぐ出したい。
進めてますよ。
(純一)そうか。
当然監修はまた高山先生に頼むんだろう?
(美和)もちろん。
ですよね?・うん。
ですよね。
(純一)じゃあよろしく頼むよ。
(純一)あっ。
会議室借りるわ。
はい。
(玲奈)分かりました。
中原さん。
ロビーに高山さんがいらしてるそうです。
えっ?
(沙織)何で上がってこないんだろう?いつも来てるのに。
何でだかねぇ。
ちょっと行ってきます。
ハハハ。
ハハハ。
チッ。
何ですか?昨日のことだけど…。
そのう。
あれだ。
何ですか?許してほしい。
えっ?小説に書くことを。
それだけ?それだけって?いや。
私に他に何か言うことがあるんじゃないんですか?いや。
だから小説を書くことを認めてほしいと言ってる。
だから小説小説ってあなたの頭ん中には小説しかないんですか?そりゃそうだろう。
あの小説を書かないと俺は前には進めないんだ。
あなたの踏み台になれって言うんだ?いや。
そういうことじゃないよ。
俺は…。
もういい。
もうたくさん。
あなたには人の気持ちが分からないんですね。
失礼します。
謝れば許してやったのに。
・
(店内のBGM)
(編集長)いいですね。
すごく面白いですよ。
どうも。
(編集長)来月に出せるよう急いで準備を進めます。
(玲奈)ありがとうございます。
はい。
(亮介)中原さん。
うん?
(亮介)高山さんの話聞きました?えっ?何?
(亮介)小説家デビューするっていう。
そうなんだ?ふーん。
(圭子)これ見ました?
(沙織)うん?ああ。
見た見た。
「どこにでもいるヒロインの心理をリアルに描く」か。
(亮介)へえー。
すごいな。
楽しみですね。
うん。
ですね。
よし。
忘れ物もなしと。
OK。
おっ。
えっ?あっ…。
あっ。
もしもし。
(池田)こんばんは。
今どちらですか?えっ。
今はあのう。
帰るところです。
(池田)あっ。
よかった。
実は今中原さんの会社の近くにいるんですけど。
えっ?
(池田)焼き鳥でも食べに行きませんか?あっ。
いや。
焼き鳥?
(池田)すぐ迎えに行きます。
いやいや…。
あのう。
ちょっと。
(通話の切れる音)
(池田)すいません。
強引に誘ってしまって。
いいえ。
(池田)この前泣いていたのが気になって。
はあ…。
(池田)何かあったんですか?いえ。
言いたくなければ大丈夫です。
今日は友達として一緒に楽しめたらと思います。
友達として?
(池田)はい。
落ち込んでるときは肉を食べると元気になりますよ。
だから今日は肉を食べましょう。
いっぱい食べましょう。
おっ。
熱っ。
(池田)うーん。
じゃあいただきます。
(池田)はい。
うん。
おいしい。
(池田)うん。
(田代)そっか。
別居を?
(萠子)うん。
思い切ったの。
(田代)うーん。
でもいいんですかね?
(萠子)何よ?親をないがしろにするなとか言うわけ?
(田代)いや。
そういうわけじゃないけど。
それでいいのかなと思って。
(萠子)だいたい何であなたに私とお母さんのこと話さなきゃいけないのよ?恋人でもないのに。
(田代)いいじゃないですか。
もしかしたらそうなるかもしれませんよ?
(萠子)なりません。
(田代)あっ。
そうですか。
(萠子)ねえ。
仕事の邪魔だからさ帰ってくれる?
(田代)じゃあバラを下さい。
(萠子)はい。
何本ご用意しましょうか?
(田代)1本。
えっ?
(田代)お幾らですか?
(萠子)1本なら差し上げます。
どうぞ。
どうも。
じゃあ。
(萠子)じゃあ。
(田代)あっ。
お母さんとのこともっといい解決方法があると思いますよ。
じゃあまた。
・
(生徒)ありがとうございました。
(みどり)すいません。
ごめんなさい。
(沢田)じゃあ次は誰に読んでもらおうかな?
(みどり)失礼します。
(生徒たち)はい。
(みどり)あっ。
ありがとう…。
(沢田)坂田。
読んでみろ。
(陵)えっ。
(みどり)やれ。
(陵)パス。
(沢田)パスはなしだ。
(陵)えーっ。
(陵)「最近思うこと。
坂田陵」「僕の母は僕たち3人の子供を育ててくれました」「それは大変なことだと思います」「でも僕たちは母の大変さをどれくらい分かっていたのか?」「僕たちの世話をしてくれていることが何だか当然のことのような気がしてしまっていたのです」「兄たちにそれでは駄目だと言われてそのとおりだと思ったしだいです」「あるとき兄の昴の提案で母の職場をこっそり見に行ったことがありました」・
(みどり)《えーとですね。
今日は中華丼。
オムライスになります》
(陵)「そのときの母を見てすごく奇麗だと思いました」「母がいつまでもすてきでいられるよう僕たちも家事を手伝ったり心配をかけないよう努力したいと思います」「そして母にはいつまでもすてきな母でいてほしいと思います」そしてまあ…。
そろそろいい男の人をゲットしてほしいと思います。
(みどり)もう。
(生徒)あれ?沢田っち泣いてねえ?嘘だろ?感動したんだよ。
感動したら泣いていいんだ。
・
(陵)ただいま。
(みどり)おかえり。
(陵)すげえごちそうじゃん。
何かのお祝い?
(みどり)あら。
お祝いがなくちゃごちそう作っちゃ駄目なの?
(陵)そんなことないけど。
(みどり)こら。
まだ。
もう。
(陵)うまっ。
(みどり)ねえ。
パスはないでしょ。
パスは。
(陵)だって照れるじゃん。
陵。
ありがとね。
(陵)うん。
・
(ドアの開く音)・
(昴)ああ。
腹減った。
(碧)何かいい匂いしない?
(昴)おお!うまそうじゃん。
(碧)何これ?
(昴)何で?
(みどり)においを嗅ぎつけてきたな。
あんたたちも手伝いなさい。
(昴)うわ。
何かあったなこれ。
(碧)何だ?何だこれは?
(みどり)何だろう?
(昴)何かあったよこれ。
(みどり)早く手洗ってらっしゃい。
(一同)いただきます!
(一同)うーん。
うまい。
うまっ。
(昴)わっ。
ヤベえ。
のり付いた。
(みどり)えっ?嫌だ。
もう。
(陵)何やってんの?
(碧)あっ。
(昴)わっ。
付いた付いた付いた。
陵は?俺?ごめん。
付いてない。
(昴)この流れは付けろよ。
(碧)とんとんとんだろうが。
(昴)付けとけよ。
母ちゃんは?
(みどり)えっ?あれ?
(笑い声)
(田代)あっ。
萠子さん。
(萠子)何なの?仕事中なんだからね。
あっ。
どういうこと?
(田代)「どういうこと?」って。
お母さんとお話しするぐらいいいじゃないですか。
ここのティラミスおいしいんですよ。
(絹江)私もだまされたのよ。
話があるからって言われて来たらあなたが来るなんて。
(田代)すいません。
まっどうぞ。
(萠子)元気そうだね。
(絹江)ええ。
そっちはどう?一人暮らし不便でしょう?
(萠子)ううん。
すごく快適。
(絹江)ああ。
そう。
ならよかった。
久しぶりにねあなたの子供のころのこと思い出してこの人と楽しくお話ししてたの。
ねっ?
(萠子)どういう話?
(絹江)うん。
小学校のとき男の子とケンカして相手を泣かせてしまったこととか。
(萠子)もう。
それ私の恥ずかしい話じゃないの。
(田代)ずいぶん楽しいお子さんだったみたいですね。
まあね。
(絹江)他にもまだたくさんあんのよ。
(田代)えっ?
(絹江)次は何をお話ししようかしら?
(絹江)嫌?離れて暮らしてもたまにはこうやって話すのも悪くないかもね。
(絹江)そうね。
時々会える?
(萠子)もちろん。
よかった。
(萠子)ありがとう。
(田代)いえいえ。
僕は何にも。
(絹江)ねえ。
萠子。
(萠子)うん?
(絹江)田代さんってホントにいい方よ。
お母さんね田代さんとだったら萠子うまくいくんじゃないかって。
(萠子)それは私が決めることだから。
(絹江)えっ?
(萠子)私がいいと思ったらそしたらちゃんと報告するから。
ねっ。
そうね。
これおいしいって。
(萠子)えーっ?
(絹江)食べてみたら?ねえねえ。
はい。
いただきます。
あっ。
お母さん。
コーヒー頼んで。
(絹江)すいません。
(田代)これがね絶品なんですよ。
(萠子)うーん。
おいしい。
(田代)でしょ?ほら。
(萠子)しかし許せない。
高山の野郎め。
(みどり)まさかそんなことになるとはね。
(萠子)人のことネタにして「小説家です」って胸張って言うつもり?ああー。
腹立つ。
ねえ。
今から文句言いに行こうか?もう。
(みどり)ねえもう落ち着いてよ。
ほら。
ねっ?ほら。
ちくわあげる。
ねっ。
(萠子)もう。
(みどり)ねえ。
亜紀。
それから会ってないの?まあね。
(みどり)そっか。
はい。
お待たせしました。
しかし2人とも元気ですね。
(みどり)やったー。
(萠子)私は吹っ切れたからね。
母親とも距離を置いたからそれなりにやっていけそうだし。
そっか。
(みどり)あのレンタル彼氏はよ?
(萠子)あっ。
あれは…。
あっ。
今はいい。
(みどり)何?「今は」って。
(萠子)今はさ色々一人でさ頑張ってみたいの。
まああいつとそういうタイミングが合えばそうなるかもでしょ的な?ねえ。
ちくわ。
ちょっと。
乱暴にしないでね。
(萠子)うん。
分かってるよ。
(みどり)なるほどね。
私も沢田先生とは先生と母親っていう関係でやっていけそうかな。
いいね。
2人とも方向性決まってて。
うらやましいよ。
あたしゃ。
(萠子)亜紀はさやっぱり男運がねぇ。
うるさいっつうの。
(萠子)痛っ。
まったくもう。
それでもういいの?えっ?まあね。
(萠子)いいに決まってんじゃん。
そんな男さ。
(みどり)もう。
亜紀に聞いてんの。
ほらさよく分かんないけど。
物書く人ってほら。
奥さんとか恋人題材にしたりするじゃない?
(萠子)いや。
だからってさ何でも書いていいわけじゃなくない?亜紀はまださ恋人でもないのよ?
(みどり)そっか。
(萠子)そうだよ。
まあね。
そうだね。
(萠子)まあ一度さ全部リセットした方が私はいいと思うよ?
(みどり)うん。
うん。
(萠子)ねっ?分かった!さあ。
まあ飲もう。
(みどり)飲んでるよいつも。
日本酒いっちゃう?日本酒いっちゃう?
(一同)いっちゃう?まったく。
ちくわはいいな。
悩み事がなさそうで。
気が楽で。
いやぁ。
しかしおなかがいっぱいになりましたな。
うん?うん?ああ…。
はい。
もしもし。
(池田)池田です。
夜分にすいません。
いえ。
どうかされました?
(池田)はい。
あのう。
今から会えませんか?今からですか?
(池田)実は今度仕事で電子書籍部の部長を任されることになりまして。
そうなんですか?すごい。
おめでとうございます。
出世ですね。
(池田)ありがとうございます。
今まで紙のことばっかりやってきたんでやっていけるのかどうか。
でも頑張ります。
池田さんだったら絶対大丈夫ですよ。
(池田)この知らせを受けたとき一番に浮かんだのは中原さんのことです。
中原さんなら一緒に喜んでくれるんじゃないかって。
(池田)中原さんは強い女性だと思ってました。
けどこないだ泣いてるあなたを見たとき思ったんです。
どうしてあんな別れ方をしたんだろうって。
(池田)僕は中原さんのこと何も分かってなかった。
あのとき思ったんです。
この人を守りたい。
そばにいたいって。
(池田)もう一度僕にチャンスをもらえませんか?ごめんなさい。
私池田さんとはお付き合いできません。
(池田)どうしてですか?池田さんとはこう何ていうか。
友達みたいな感じがいいのかななんて。
ホントにすいません。
いえ。
謝るのはこちらの方です。
変なこと言って申し訳ない。
(くしゃみ)小説出すんですか?何ですか?完成したんだ。
読めっていうんですか?君の許しがなければ本は出さない。
読むなり捨てるなり君の好きにしてくれ。
そうやって私に責任を押し付けるんですか?そうじゃない。
そんなもん読みたくない。
あっ。
あっ。
ちょっ。
あっ…。
もう書くのはやめるよ。
えっ?君のこと傷つけるつもりはなかった。
でもいいかげんに書いたもんじゃない。
君のこと面白いと思ったんだ。
失敗ばっかりして。
でもめげずに。
見てるこっちがひやひやしたけど。
でも君のこと見てると元気になれたんだ。
その明るさがあれば自分の小説がうまくいくような気がしたんだ。
結局小説のために私に会ってたんですね。
違う。
両方大事なんだ。
小説を書くことも…。
君のことも。
好きでもない相手のことをあんなには書けないよ。
好きでもない相手のことを毎日毎日考えてその相手のことを文字にしていく。
そんなことができるほど俺は器用じゃない。
あっ。
ちょっ…。
《両方大事なんだ。
小説を書くことも。
君も》《好きでもない相手のことをあんなには書けないよ》《そんなことができるほど俺は器用じゃない》・
(ドアの開く音)
(賢三)いらっしゃいませ…。
読みました。
うん?この小説出してください。
えっ?ホントに自分の作品だって思えるものにして勝負してください。
その代わり私の意見をちゃんと聞いてからにしてくださいね。
いや…。
勝手に書いたことは謝る。
いや。
でも納得できないものはのめないよ。
のめない。
うん。
じゃあ納得できるまで話し合いましょう。
いや…。
それは意外な展開だな。
俺はとてもそこまでは思い付かなかった。
私思ったんです。
男と女って駄目なところがいっぱいあるんだなって。
うん。
あるな。
でもそれを批判し合ってばっかりいたんじゃ何も始まらないなって。
駄目なところこそお互いにツッコみ合いながら生きていかなきゃいけないんじゃないかなって。
うん。
だよな。
私も高山さんも。
似た者同士。
しょうがないですね。
大事な作品なんですよね?ああ。
よし。
じゃあ始めよう。
うん?うん。
始めよう始めよう。
何?座って。
いいから座って。
いや。
ちょっ…。
マスター。
ペン。
(賢三)はいはい。
よいしょよいしょよいしょ…。
ちょっと何?ずいぶん急だな。
だから座って。
それが人生だっちゅうの。
まずねタイトル。
これがいけないな。
『幸せをつかめない女』これのどこがいけない?これ絶望的。
誰も読まないですこれじゃ。
何で?そうかな?『幸せをつかめない女』じゃなくて『幸せをつかみたい女』ああ。
なるほどね。
こっちの方が希望があるからね。
ああ。
なるほど。
悪くない。
分かりましたか?それからねあとこれ気になった。
これ。
うん?もう思い出しちゃうから。
もうホントに。
これ伸治のことですよね?し…。
うん?
(伸治)《分かってくれるよな?》「バンドマンの男は冷たい言葉を彼女に浴びせ別れを告げた」「今まで過ごした時間を全て無にしてしまうような残酷な言葉を前に彼女は何も言い返せなかった」これのどこがいけないの?「彼女は何も言い返せなかった」?うん。
ぷっ。
彼女は何も言い返せなかったんじゃなくって「言い返さなかった」えっ?えっ?なぜ言い返さなかった?だって大人の女はねそういうふうに取り乱したくないの。
人前で。
ああ。
女のプライドだ。
今思うとなぁ。
一発ぶん殴ってやりゃよかったな。
ホントにあの男。
ああ。
これも思い出しちゃった。
すごいいらっとくるんですけど。
思い出した?ハハハ。
笑い過ぎ。
はい。
どうぞ。
うん。
そうだそうだ。
これ。
「やり直そうと強引に腕を引かれたそのとき男が大きな音を立てて椅子から立ち上がりバンドマンの男を挑発するような態度を取ると店の外に連れ出した。
そして…」はいはいはいはい。
これこれ。
ちょっともう。
ちょっと。
これ。
うん?何?これってホントですか?どこどこ?これ。
《恋というのはオーバーのように何度も着たり脱いだりできるものじゃないんだ》
(伸治)《はっ?》《『チャンピオン』という映画の中の言葉だ》
(伸治)《また映画かよ?》《彼女は手ひどい失恋の痛みから立ち上がり一人の大人の女として前を向こうとしてる》《君も一人の大人の男として前を向くべきじゃないのか?》何かちょっとカッコ良過ぎやしませんか?いや。
別に信じたくないなら信じなくていいよ。
また偏屈なこと言って。
偏屈は直らないんでね。
あっ。
まっそれもそうだな。
あっ。
あとこれ。
これ。
「2人は物語を紡いでいくことにどんどん夢中になっていった」「気付くと男は彼女の肩を抱き彼女は男の瞳に映る自分を見詰めた」「男のまなざしに一瞬胸が高鳴ったことに彼女はひどく動揺した」だいたいあんときはどういうつもりで?いや。
別にどういうつもりも何もあんときはあのう…。
まっ流れっていうか。
流れ?うん。
流れで?うん。
ってことはあんときも流れで?《ちょっと。
何するんですか?》あれは…。
あれ。
男のプライドっていうか。
はい?何?プライドって。
挑発するようなこと言うから。
何言っちゃってんだ。
ちょっと待った。
ほらほら。
ここここ。
「彼女には一瞬情熱が込み上げた」って。
感じてないですから。
情熱なんて。
そっか。
それからね無理やりキスって。
女がそんなんで喜ぶと思ってんだ?女性は少しぐらい強引な方がいいんじゃないかな?えっ?ハハハ。
(せきばらい)でもね女心も知らないくせにねそうやってちょっと脚本家なんかよくやってるななんて思ってんだけどね。
今何かちょっとごまかしたでしょ。
うん?何にも。
いや。
ごまかしたよ。
ごまかしてないです。
いや。
ごまかしたって。
いいから早く。
はい。
次。
次次。
納得いくまで話すんじゃなかったのかな?何かいっぱいあるなぁこれ。
色々書いてある。
「悪意を感じる」とかね私に読まれないと思っていろんなこと書いてんなこれ。
「何かにつけて女子会と称して集まり」って何なんですか?この悪意のある文面は。
いや。
そう感じたんだから仕方ないだろう。
この年になってね何でも話し合える友達がいるっていうのは掛け替えのないことなんですよ。
それは主人公の感情とは関係ない部分だ。
作家性の問題だ。
そこだけは譲れない。
何ですかそれ?体育座りして子供みたいに。
だって譲れないよ。
主人公感情だけで済んだらそれはおかしくなる。
文章が。
もしもし?子供ですか?いやいやいや。
ここだけは絶対に譲れない。
痛っ。
(せきばらい)寝てないよ。
何が?全然寝てない。
何も言ってないよ。
「繊細で傷つきやすい彼女になぜ彼らは気付かなかったのだろう?」よし。
これでどうだ?「今は少なくともそんな心配は無用だろう」「彼女はそのとき喜びのあまり子供のように破顔して飼い猫に頬を寄せていた」「瞳は輝きを増しその素肌は薄紅色に染まっていく」「男はそんな彼女を見て自分の行為の正当性はさておき美しいと思った」《何だこれ?》あっ。
お待ちしてました。
あっ。
お待たせしました。
参りますか?うん。
あのときやっぱり駆け付けてきてくれてたんですね。
うん?恋も仕事もうまくいかなかったときに高山さんが駆け付けてきてくれた。
いや。
だから駆け付けてないって。
正直に話す約束ですよ。
そうだな。
うん。
仕方ない。
認めるよ。
うん。
あのときは色々あってしょうがなく…。
しょうがなく?君のことが心配だったっていうのもある。
正直でよろしい。
あのころからかな?君のことをモデルに小説を書いたら面白いんじゃないかと思えてきて。
《うん。
うまい》《うん。
うまい》《すいません》
(従業員)お待ち遠。
はい。
ありがとうございます。
はい。
どうぞ。
はい。
ありがとう。
よいしょ。
よいしょ。
いただきます。
いただきます。
うん。
うまい。
やっぱこれだ。
《あっ!?》私ねここの部分がすごい好きなんですよ。
「彼女の白い素肌は薄紅色に染まり素の魅力があふれていた」最高!駄目だ。
直そう。
えっ?ちょっと。
駄目ですよ。
いや。
ちょっと聞いてて気持ち悪いもん。
気持ち悪いとか。
気持ち悪くないですから。
この薄紅色っていうのちょっと気持ち悪いよ。
薄紅色のここがいいんじゃないですか。
いや。
聞いてるとちょっと気持ち悪い。
「これからどうなっていくかは分からない」「そんなのはだらしないことだと世間は言うかもしれない」「けれどいまさら普通なんてことに惑わされることすらおかしいのだ」「ただこれが運命でないとは誰も言い切ることはできないはずだ」「現に今素の自分で何の気取りもなく素直でいられる」「これだけでも彼女にとってはじゅうぶん幸せなのだ」「高まっていくのを感じながらたとえ裏切られない確証はないとしてもずっと探してきた答えを見つけたような気がした」完成だ。
嘘?おめでとうございます。
できた。
すごい。
いやぁ。
できた。
よし。
さっ。
次何やればいいかな?マスター。
(賢三)じゃあねこれ配ってきてもらえます?おいしそうだな。
小倉トースト。
早く食べたい。
(賢三)すいませんね。
うん。
おなかすいた。
よいしょ。
・
(ドアの開く音)・
(純一)こんちは。
あれ?
(純一)あれ?まだ少し早かったかな?そうね。
うん。
(純一)ああそうだ。
うん?
(純一)出版おめでとう。
何で私に言うの?
(純一)君の本でもあるだろ?でもまあフィクションでもありますからね。
(純一)ほう。
そういうことにしときますか。
そういうことにしといてください。
幸せになれよ。
えっ?昔からの知り合いとしてさ親心っていうの?ありがと。
(純一)うん。
さあ。
マスター。
僕も何か手伝いましょうか?
(賢三)そうですね…。
(一同)乾杯。
乾杯。
(亮介)この小倉トーストすごいおいしいんですよ。
食べてみてください。
(沙織)ふーん。
(賢三)お口直しにいかがですか?
(美和)いやぁ。
おめでとうございます。
色々ありがとうございます。
(池田)ヒロインのキャラが面白いって評判ですよ。
それに女性の心情がリアルに描かれてるって。
そうですか…。
ああ。
ですね。
小説家としての第一歩を踏み出したってことですね。
(バイブレーターの音)
(池田)あっ。
(バイブレーターの音)
(池田)編集長からだ。
すいません。
失礼します。
ああ。
(池田)はい。
もしもし。
君にはホント感謝してる。
何言ってんの。
高山さんの力ですよ。
その力ちゃんと貸してくださいね。
私たちのアプリに。
任しといてください。
はい。
(英語の会話)彼も頼もしくなったな。
(田代)萠子さん。
(萠子)あっ。
(田代)どうも。
(萠子)何で来たの?
(田代)こんにちは。
「何で?」って自分が呼んだんじゃないですか。
(萠子)あっ。
そうだっけ?
(みどり)ねえねえ。
男は当分いいんじゃなかったの?
(萠子)あっ。
この人もうそんなんじゃないから。
(田代)まっ。
すぐにそんなんになるかもしれませんけどね。
(萠子)はっ?ならないって。
(田代)またそんな。
(みどり)私はどっちでもいいんですけど。
人は少しずつ変わっていくもんなんだな。
そうですね。
・
(純一)立花君さ。
・
(沙織)はい。
(純一)今度うちにおいでよ。
おいしいものでも作ってあげる。
(沙織)いや。
私は大丈夫です。
(純一)えっ?いいってこと?
(玲子)社長。
もうその辺で。
(純一)うん?何?何で?
(玲子)社員には手を出さない方がよろしいかと。
(純一)手出してないよまだ。
(玲奈)社長。
ネットに散々書かれてるのにさ。
(圭子)タフっすよね。
うち来る?あの人も一応変わろうとしてるみたいですよ。
付き合う人はね一人って決めたみたい。
へえー。
ずいぶんと進歩したもんだ。
ですね。
あれ?もしかして僕のこと話してます?ううん。
いや。
あのさ。
やっぱり付き合う女性は一人に限るね。
今ごろ気付いたんかい。
ダブルブッキングの恐れはないし連絡先も混乱しない。
そうだね。
あっ。
そうそう。
新しい企画の話あした会社で聞かせてくれよ。
OK。
高山先生も頼みますよ。
ええ。
こちらこそ。
口説いてきちゃう?
(純一)口説いてない。
コミュニケーション。
何言って…。
怪しいね。
(純一)何盛り上がってんの?
(池田)では皆さん。
ここで高山先生よりご挨拶を頂きたいと思います。
(一同)よっ!よっ!どうして突然抜け出したんですか?どうもああいう集まりは苦手でね。
あなたのためのパーティーなのに。
まったくもう。
私たちはこれからどう変わっていくんですかね?もしくは何も変わらないか。
それって何かつまらなくないですか?小説のネタになるような事件が次々と起こるのも大変だからね。
でもそれってネタ作りに困りません?まあ僕としては君がそばにいるだけでもずいぶんと事件だ。
ネタには困らないよ。
それってどういう意味ですか?もう。
私は変わらないと思います。
うん?幾つになっても奇麗でいたい。
自分のこと好きでいたい。
それに高山さんにもずっと好きでいてほしいから。
私のこと。
照れた。
照れましたね?ホントにもう。
照れてないよ。
照れた。
照れました。
2015/12/17(木) 22:00〜22:54
関西テレビ1
[終]<木曜劇場>オトナ女子 #10[字][デ]
「これが私の生きる道」
篠原涼子 吉瀬美智子 鈴木砂羽 谷原章介 江口洋介ほか
詳細情報
番組内容
亜紀(篠原涼子)は、高山(江口洋介)が執筆していた小説を偶然読んでしまい、大きなショックを受ける。そこには、高山と出会ってからの亜紀のことが綴られていた。池田(平山浩行)は、泣きながらカフェ『caldo』を飛び出した亜紀の姿を見つけ、彼女を追いかける。しかし亜紀は、何も話そうとはしなかった。
あくる日、亮介(吉沢亮)は、徹夜して作った企画書を亜紀に提出する。
番組内容2
そのとき、亜紀のようすがどこかおかしいことに気づいた亮介は、何かあれば相談に乗る、と声をかける。そんな中、フルテージに高山がやってきて、亜紀を呼び出す。そこで高山は、小説を書くことを認めてほしい、と言い出し、亜紀を怒らせてしまう。
萠子(吉瀬美智子)は、母・絹江(朝加真由美)と別居することを田代(丸山智己)に打ち明ける。すると田代は、もっといい解決法があると思う、と告げる。
番組内容3
一方、みどり(鈴木砂羽)は、授業参観で三男・陵(浦上晟周)のクラスを訪れる。そこで陵は、「最近思うこと」というテーマで書いた作文を発表する。
別の日、亜紀は萠子、みどりと女子会を開く。そこに、池田から「会いたい」という電話が入り…。
出演者
中原亜紀: 篠原涼子
大崎萠子: 吉瀬美智子
坂田みどり: 鈴木砂羽
栗田純一: 谷原章介
高山文夫: 江口洋介
工藤美和: 市川実和子
立花沙織: 平山あや
前川亮介: 吉沢亮
沢田健太: 千葉雄大
池田優: 平山浩行
山岡伸治: 斎藤工(友情出演)
霜田賢三: 池田成志
他
スタッフ
【脚本】
尾崎将也(『結婚できない男』『梅ちゃん先生』他)
【プロデュース】
中野利幸(フジテレビドラマ制作センター『ディア・シスター』『ラスト・シンデレラ』他)
【演出】
田中亮(フジテレビドラマ制作センター『医龍4』『ラスト・シンデレラ』他)
関野宗紀(『ディア・シスター』『医師たちの恋愛事情』他)
【主題歌】
中島美嘉「花束」
【制作】
フジテレビジョン
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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