2015年12月20日09時12分
北海道七飯(ななえ)町のJR函館線で2013年9月、貨物列車が脱線し、レールのゆがみを示す検査データが改ざんされた事件で、一部のデータはJR北海道の保線担当者らが本社側とやりとりするなかで2回改ざんされていたことが、捜査関係者への取材でわかった。
道警は22日にも、JR北海道工務部の幹部ら社員と元社員の約20人と、法人としての同社を鉄道事業法違反(虚偽報告、検査妨害)などの疑いで札幌地検に書類送検する方針。また、レールの異常を放置したことが事故につながったとして、業務上過失往来危険容疑で当時の保線担当の現場責任者を函館地検に書類送検するとみられる。
事故は13年9月19日午後6時すぎ、JR函館線の大沼駅構内で発生。JR貨物の貨物列車(18両)の6~9両目が脱線した。
社内調査などでは、事故現場は約3カ月前に函館保線所大沼保線管理室が定期検査を行ったが、保線担当者らはレール幅の広がりが最大39ミリ(整備基準値19ミリ)だったのを把握しながら補修を怠っていたことが判明。検査データも改ざんされ、国土交通省や運輸安全委員会に報告された。
捜査関係者によると、同管理室の担当者らはレール幅の広がりを放置していたことを隠そうと、事故直後に検査データを最大39ミリから25ミリに改ざん。またレールは右方向に最大70ミリずれていたが、本社工務部への報告が2度突き返され、そのたびに改ざんし、ずれ幅を小さくしていた。ずれ幅のデータは、改ざん前と後のデータが本社側にファクスで送られていたという。
道警は昨年2月にJR北海道本社などを家宅捜索し、社長や役員を含む130人以上の社員らから任意で事情聴取してきた。その結果、現場の担当社員らは、検査でレール幅などの異常を示す数値を把握しながら補修を怠っていたことを隠そうとした疑いが強まったという。
さらに道警は、本社側もデータの改ざんを把握していたと判断。法人としてのJR北海道の責任を問う鉄道事業法違反などの両罰規定も適用する方針だ。
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞社会部
PR比べてお得!